人物紹介&設定集(5月11日更新)
~登場人物~
○アスト・フランデレン(19歳)
とあるキッカケで出会ったフィノーラと恋に落ち、半ば駆け落ちに近い状態で帝国へと亡命した魔法主義国家出身の元近衛騎士。現在は科学主義国家『キルミアナ帝国』にある商業都市『ミロクボンド』で監視付を条件に一般人としてフィノーラと共に暮らしている。
一流の魔法使いであり、一流の手品師でもある。基本的に温和な性格をしているが身内と子供を泣かせる者には容赦ない。そして結構モテモテ体質だが一途でフィノーラ一筋。
いつもは魔法で隠しているが、本物の猫耳と尻尾がある。王国では『猫に呪われた男の子』という悲劇の象徴として有名であったが、その実態はというと… 。
○フィノーラ・ヴェルシア(18歳)
科学主義国家『キルミアナ帝国』の超精鋭部隊、『対魔装甲機兵団』の元大尉。退役した現在は軍人時代の経験を活かしながら探偵業を営む。
アストと相思相愛の恋仲であり、彼があっさり国を捨てたように、彼女もまた軍をさくっと辞めた。昔はかなり固い軍人口調であったが、アスト達と一緒に過ごしている内に今の口調に落ち着いてきている。それでも偶に昔の口調に戻ることも…。
紅い色を好むため、現役時代は『クリムゾン・ストライカー』という異名が付いていた。現在は『返り血の紅探偵』などと不本意極まりないあだ名が付いており、目下彼女の最近の悩みとなっている。
○ヴィリアント・リーガ(21歳)
空白地帯を拠点とする空賊『蒼風一味』の若き首領。数年前、遭難事故に巻き込んでアストとフィノーラが出逢うキッカケを作った張本人。腐れ縁から始まった3人の仲は、現在では親友関係にまで発展している。
立場も価値観も白黒ハッキリさせるのは嫌いであり、常に両方を兼ねる灰色を好む。そのため相手の種族や素性を気にせず、誰とでも分け隔て無く自然に接することができる。
過程より結果を重視するタチで、全てを手にするためなら準備に幾らでも時間を使う。なので一度仕事を始めると不気味なくらいに順調に進み、あっという間に完遂させてみせる。今回もまた何か企てているようだが…。
○ショウ・カザキリ(26歳)
商業都市『ミロクボンド』在中の警察官。いち警部のくせに街の実権を握ってたりする。
その正体は帝国軍特殊部隊出身のエージェントであり、危険人物だらけである『ミロクボンド』の監視役を政府から任された役人である。アストとフィノーラの2人とは現役時代に戦場で何度か会ったので顔見知り。
ヴィリアントとは兄弟分であるらしいが詳細は不明。しかし言うだけあって性格や思考は似たところがあり、何事に対しても過程より結果を重視するのは一緒である。
○アイカ・クラリーネ(17歳)
魔法主義国家『マルディウス王国』からやって来たアストの魔衛騎時代の後輩。オマケの2人と違って実力はアストの御墨付き。
基本的に真面目な性格であり、相手が亜人だろうが空賊だろうが真摯な態度で向き合う。祖国に対する忠誠心も高く、品性奉公、才色兼備とまさに騎士の鏡と言えるパーフェクト少女……なのだがアストに恋心を抱いており、彼の事となると暴走する節がある…。
年齢を偽ったり、違和感のある愛称を呼ばせたり、アストが縁談を断ったことを何故か気にしたりと妙な行動をとる。さらには独断で帝国への潜入任務を継続したりと滅茶苦茶であるがそれを含め、どういうわけか王国軍上層部は彼女の行動を黙認している。
○ミレイナ・トンプソン(18歳)
空白地帯出身の亜人…『化猫族』の少女。彼女が経営する定食屋『ねこじゃらし亭』は知る人ぞ知る名店であり、連日客で賑わっている。
アストに恋心を抱いており、フィノーラとは互いに認め合った恋のライバルである。が、残念ながらアストには友人以上親友以下にしか思われていない…。
昔はアストをのことを殺意すら抱くほどに憎んでいたがとある理由で考えを改め、彼に再会すると同時に和解した。その後アストに対する罪悪感が好意に変わり、さらに恋心へと昇華したらしい。この話をフィノーラにすると、何故か彼女は目を逸らす…。
○エリゼネア・カリーヌ(17歳)
アイカの同僚で貴族出身のお嬢様。六王家の一角『インダルディア家』の縁者である。彼女たちが所属する『王家直轄魔導隊』自体レベルが低いのだが、エリゼネア自身の実力はその中でもダンチで低い。
典型的な王国貴族で非魔法族を当然のように見下す。しかも、王家の親戚とだけあってプライドが一層無駄に高く、かなり傲慢な性格をしている。半ば箱入りだった為、自分の無能っぷりを自覚できていない…。
アストとフィノーラの2人に半殺しにされるなどの散々な目にあったが、現在は経過報告を兼ねて王国へと帰還中。そして上官から告げられた驚愕の真実に心臓を一時停止させている頃である…。
○ローラ・ディオーノ(23歳)
王家直轄魔導隊の四番隊隊長。実力は王国軍全体で見れば並程度である。才能は悪くないが、実戦経験が一般兵以下なので実力不足感は否めない。かませ犬2号。
エリゼネアほどでは無いが魔法族至上主義に変わりなく、やっぱり亜人や帝国の人間に差別意識を抱く。
現在、エリゼネアと共に王国へと帰還中。余談だが2人はフィノーラと戦って以来それがトラウマになり、薄暗い路地裏を見ると反射的に恐怖を感じるようになったとか…。
○リザ・クロムウェル(?歳)
蒼風一味のナンバー2。見た目は幼女だが、その正体は古来より存在せし『千年亡霊』と言う名の大悪霊。かつて、彼女の魂を回収しに来た死神がその姿を見ただけで逃げ出したという逸話を持つ。
実年齢はとんでもないが、うっかり『おばあちゃん』と言った日には大変なことになる…。
魔力とも妖力とも違う特別な力…『霊力』で様々なことが行使できる。ヴィリアントとは誰よりも付き合いが長く、同時に彼が交流を持つ相手とも大抵面識がある。
○アリシア・インダルディア・カリーヌ(?歳)
マルディウス王国を統治する『六王家』の一つ、インダルディア家の第二王女。アストが国を出る少し前に縁談の話を彼に持ちかけたが断られた。しかし、諦めきれずに彼が行方をくらました後も独自に捜し続けていたようである。
自身の実力を家名の贔屓目無しで評価して貰うために身分を偽って軍に入隊してるらしく、その関係でアストのことを知ったらしい…。
ローラ達にアストを連れ戻すように命じた張本人である。アストが帰ってくるのを今か今かと首を長くして待っている………筈なのだが…。
○ジェームズ・クラッド(18歳)
街のジャンク屋でアスト達とは御近所さんの顔馴染み。『ねこじゃらし亭』の常連客であり、ほぼ毎日通っているらしい。運悪くアストと同じタイミングで来店して暴走したミレイナによく振り回されるが、それでも店に通い続けている…。
正真正銘の帝国人だが、人外なアストやカザキリ達とツルムだけあって彼もそれなりの人外である。その本性はいずれ…。
○リゲル・ドラグノフ(?歳)
街で診療所を営む隠れ名医。何故か街の病院に所属することを拒むが、患者の為に出っ張ることがたまにある。その医療技術は帝国一なのでは?と、噂されている…。
自他共に認める博打好き。しかし運には基本的に見放されているようで、彼が賭場で勝利の栄光を手に入れた場所を見た者は誰一人いない。けど妙なタイミングで幸運を招き寄せることもあるとか…。
彼の容姿や特徴でなんとなく分かるかもしれないが、実は…。
○フィーア・レインス(8歳)
魔法使いと飛鳥族(亜人)のハーフ。空白地帯の故郷で両親たちと静かに暮らしていたのだが、草薙衆に拉致られ人体実験を施される。人為的に第四人類を産み出すことを目指したその実験は結局失敗し、爆発的に増えた妖力と飾り程度の微量な魔力を代償にアルビノと化す…。
最早亜人を人として見てない魔法使いと亜人が子を生すこと自体が奇跡に近く、しかも両方の親に愛される子供は本当に稀である。しかも一時的にとはいえ帝国軍特殊部隊の魔の手から逃れ、その後も親切な人に拾われたり、フィノーラに助けてもらったりと恐るべき幸運の持ち主である。
~世界設定~
○ベルフィーア
アスト達の生きる世界及び大陸の呼称。くの字型の大陸が一つだけ存在し、それを大海原と少数の島々が取り囲んでいる。自分的には『ユーラシア大陸とアフリカ大陸以外は列島だけ』というのをイメージしている。
かつては大陸全土に無数の国家が存在していたが、二大国家の広域殲滅兵器と大規模破壊魔法の撃ち合いの果てに大陸中央部は焦土と化した。その結果この大陸にはキルミアナ帝国とマルディウス王国の二大国家しか残っておらず、大陸の半分以上はどちらの領土でもない空白地帯となっている。
人間や魔法使いだけでなく、『化猫族』や『鬼族』などの『亜人』…それに『竜』などの怪物染みた原生生物も存在する。。
○キルミアナ帝国
大陸最南部に存在する科学主義国家で大陸の4分の1を占める国土を持っている。魔法主義国家の王国とはかれこれ3千年間も戦争を続けている…。
人外の巣窟である王国と長年渡り合うだけあって軍事力も文化水準も半端ない。しかし、諸事情により航空技術はあまり発達しておらず、未だに宇宙進出の目途が立っていない…。
帝国なので皇帝が存在しているが長い歴史を経て数世紀前に民主主義に移行し、皇族はただの象徴となっている。しかし民主主義の欠点である『まとまりの悪さ』が年々悪化してきており、ここ最近の政界では毎日のように不毛な権力争いが行われている。それでも『国家存亡の危機』と『打倒王国』の時にのみ驚異的な統率力を見せる時もあったりする…。
○マルディウス王国
大陸最北東部に存在する魔法主義国家。国力は帝国とほぼ一緒。
3千年もの栄華を誇っており、政治体制が建国当時からほとんど変わってない。同時に軍事魔法以外の技術や文化水準についても建国当時から大して変化しておらず、良くも悪くも変化が無い国である。
国家運営の要である政治、軍事、経済、宗教、技術、学問の六つをそれぞれ取り仕切る王族…『六王家』が国を統治しており、定期的にこれらを纏める代表が六王家から選出される。基本的に六王家は自身が取り仕切るモノ以外のことに口を出すことは禁止されている。
○イトリア無法地帯
通称『空白地帯』。特大の戦火により一度焦土と化し、国境も勢力も全て綺麗になくなった。
現在は豊かな自然だけが戻り、かつて国を保有していた亜人や難民達、さらには空賊達の溜まり場となっている。しかし同時に二大国家軍の主戦場でもあり、依然として前線基地と戦闘区域が多数存在する。
二大国家の領土を省いた全領域が空白地帯であり、純粋な広さのみなら大陸で一番の広さを持つ。因みに、空白地帯の中にまともな国家勢力は未だに復活しておらず、精々小さな集落や村しか無い。
○亜人について
この世界の住人のひとつ。『魔力』は持っていないが『妖力』というものを保有している。様々な種族が存在しており、かつては国家を形成していた種族も居た。
『妖力』は種族によって効力や出力に違いがあり、『魔力』ほど応用が効かない。ごく稀に魔法使いと交わってハーフが生まれるが、亜人として生まれるか魔法使いとして生まれるかの二択であり、両方の特徴を受け継ぐことは無い。
○この世界の戦争事情
かつては帝国も戦闘機や人型機動兵器を多数用いていたが、王国の砲撃魔法がミサイルを迎撃可能になるほど発達したころにはただのデカいマトにしかならず、今では前線から退いている。かなりの耐久度と防御力を誇る空中戦艦だけは、移動要塞として未だに現役であるが…。
余談だが王国の砲撃魔法は大気圏を突破する程の射程と精度を誇っており、帝国が宇宙への進出を目指してシャトルやら人工衛星を飛ばす度に全て撃ち落としている。そのため技術的にはとっくに可能であるにも関わらず、この世界は依然として宇宙開発が進んでいない…。
○魔法
王国には大きく分けて三系統の魔法が存在している。
・魔導式
己に宿る魔力を自在に操り、属性を持たせることをメインとした魔法技術。王国では基本中の基本魔法であり、『魔導式が使えない者は魔法を使う資格無し』とさえ言われている。
魔導式の本質は魔力そのものを変化させることにある。魔力に『燃える属性』を与えれば炎として変化し、『斬れる属性』を与えれば剣として変化させることができる。上級者ともなれば二重三重に属性を付与させることもできる。
しかし所詮は魔力の塊なので反魔力物質や魔力による直接的な介入に滅法弱い。
・魔術式
反魔力物質に対抗するべく編み出された新技術で、現在の戦場の主力。魔力を『手』とし、自然の物質や力を『素材』や『道具』として扱う。
粒子規模で物質や物理法則、さらには自然現象に介入して人為的に超常現象を巻き起こすことができる。地中の物質を選別して超合金を造ったり、重力を操作して物を飛ばしたり、気温や気圧を調整して天候を操ったりとやりたい放題である。しかも魔導式や呪術式と組み合わせて強化することも可能。
魔術式で造ったもの自体には基本的に魔力が伴うことは無い。そのため魔術式で造ってブン投げた物に反魔力物質を使った場合、消せる魔力が何も無いので無意味な結果に終わる…。
・呪術式
最も出鱈目な魔法と言われている最終手段。夢想をダイレクトに現実にする驚異の技術であり、種類によっては反魔力物質さえ無効化する。
あまりに強力な魔法なため副作用が半端ない。そのため使用者への負担を軽減するために詠唱、生贄、特殊な魔法陣や儀式等が必須である。
呪術式としての魔法は主に『召喚魔法』や『呪法』等の非現実的な物が分類される。別名『その他』とも言われてたりする…。
因みに、魔法を扱えるのは生まれながらにして魔力をその身に宿す王国の人間(魔法使い)だけ…と、いうのが世界の常識である。
○魔法近衛騎士隊
王国が誇る最強部隊。一騎当千の戦闘力を誇り、帝国と開戦してから3千年経った現在も最強の座に君臨し続けている。通称『魔衛騎』。
○対魔装甲機兵団
正式名称『2K(Knight・Killer)大隊』。魔衛騎と唯一対等の存在と言われている帝国最強の特殊部隊。装甲兵なのに生身の時も充分に化け物染みた強さを持っていたりする。通称『対魔機兵』。
○王家直轄魔導隊
王族の象徴、御飾り部隊、パシリ、かませ犬、なんちゃって精鋭部隊、王家直轄(笑)…この部隊の説明はこれで通じると作者は信じています…。
○草薙衆
太古より帝国の皇族を守護を任された古き時代の猛者。銃器や化学兵器が闊歩するこの時代に刀一本で皇族を守り続けているとんでも集団である。実力は確かなのだが、空白地帯の激戦区に身を置く者達と比べたら少し見劣りする…。