01:犯罪者なのか否か……
ども、はじめまして、陸 海斗って言います。
年は16才、高校2年生で、弓道部に所属してます。
さてと、自己紹介はこんなもんで良いかな。
で、何で自己紹介する事になったのかと言うと、
「カイく〜ん、こーゆーのはツカミが肝心なんだからね!」
はい、この声のせいです。
何者かはもう、今でも信じたくねーし、信じる気にもならねぇし。
ま、詳しい事はこれからのお話しを見てくれるのが一番だわ。
〜〜〜〜〜〜〜
ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ、ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ。
「だー!うるせーーーーぇ!!!」
はぁ、毎朝5時に起きる為とは言え、異常にうるさいな、この目覚まし。
さて、今の時間わっと。
……………4時ジャスト………夜明け前じゃねぇかよ。
あぁもう!二度寝だ二度寝。
30分ぐらい寝れるだろ。
ドッシーーーン!
「いってーーー!!」
な…………天井から、に、鈍い痛みがぁ………
「おっはよーございまーす、カイく〜ん。」
…………あれ、あの目覚ましボイス機能付いてたっけ?
「おーはーよーおーごーざーいーまーす!」
「うるせぇ!!糞目覚ましが!!」
もう勢いで布団を投げ飛ばす俺。普段はめちゃくちゃ朝弱いんだけどなぁ。
「ヒャン!
いったぁ〜〜い、うら若き乙女を投げ飛ばすなんてぇ〜〜。」
えーと、とうとう俺の目はイカレちまったか?
ベッドの対角線上に人が居るように見えるんだが………
「あ、やっと起きたぁ〜。おはようございます。カイ君♪」
誰だこいつ。言っておくけど俺一人っ子だから。
オマケに外人に知り合いが居る訳じゃ無いぞ。対角線上に居る奴が金髪で青色の目だけど。
「えーと、とりあえず110番110番っと。」
「スターーーーーーーップ!!
落ち着いてカイ君!話せば分かるから!」
「あいにく俺は健全な日本国民なんでね。『犯罪者を見つけたらケーサツにたれ込む』。
ジョーシキだぞ、ジョーシキ。」
「ああああああアタシがはははははは犯罪者ぁぁぁぁぁぁ!?」
「あったりまえだ。住居不法侵入の上、居住者を傷害したんだからな。
っと、ケーサツにたれ込む間に逃げられても困るし…」
「かかかかかかカイ君?
ななななななな何でロープなんかがベッドルームにあるの?
それに、めめめめめ目が恐いよ…………って
ちょっとカイくーん!やーめーてー!」
〜〜〜〜〜〜〜〜
何か奇妙な構図だな。
縄で体中くくられて、うつ伏せになってる女がいて、ベッドに座ってる俺。
端から見たら変な勘違いされるぞ。
「そーかそーか、お前は天使の実習生で、実習の為にこの家に居候に来た……………と、分かった信じよう。」
「って訳に行くかボケェ!!」
ガッチャーーン
「ひぁ!伝説のちゃぶ台返しぃ!」
「ったく、誰がそんなおとぎ話を信じるかよ。」
「むぅ〜〜、じゃあ、証拠があれば認めてくれますかぁ?」
「あぁ、一発で『こいつは天使だ』って認めれるもんを出して見ろよ。そしたら居候させてやる。」
あるわけねえだろ、んなの。
「まずは〜、翼〜。」
おいおい、まさかマジで生えるんじゃあねぇだろうな。
ポンッ
「あー、えーと…………まず、なんだそりゃ。」
「何って翼だよ?」
「生えてねえじゃねかぇか。」
あー、自称天使の肩甲骨あたりに確かに翼はある。
でも、生えてねぇし、なんつーか『浮いてる』って感じ。
良くわかんねぇか。やっぱ。
「どう?認めてくれた?」
「うーーーん、ギリギリ、かねぇ。」
翼には、まぁ違いねぇからなぁ。
「やったーーー…………………
ねぇカイ君、今、何時?」
「え、えーと、………………7時半…………」
5時に起きて弁当作る予定だったのに………
えーと、学校の始業時間が8時半、
学校に行くのに必要な時間がだいたい30分ぐらい。
つまり、タイムリミット30分。
30分………
30分!?
「おい天使!これから俺のやることに一切口出しするな!」
「は、は〜い。」
〜〜〜〜〜〜〜〜
と、言うわけで、こいつとのファーストコンタクトはこんな感じ。
『ケーサツにたれ込む』ってのは天使との話が長引いたせいで断念。
ま、後で無理な話だって判明するんだけど。
「ねぇカイく〜ん。アタシにも自己紹介させてよ〜。」
「はいはい、分かった分かった。」
「えーと、みなさんはじめまして!
天使実習生のクリスティーン・ファン・ドミニオンです!
よろしくねー!
それじゃカイ君!張り切って行くよぉ!」
「はいはい。
まぁ、そういう訳で、みなさんよろしくお願いします!」