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側室(仮)の驚愕。

明けましておめでとうございます。本年も、宜しくお願い致します。



…どうしてこうなった。




私は長いため息をつき、胸中でそう呟いた。



あれから色んな攻防戦がありましたが、結論だけ言いますと…止められませんでした。



宥めても、妥協案を提示しても無駄。頑として首を縦には振りません。


ホノカ様の性格について、もう1つ追記するならば『頑固』ですね…。



臆病で後ろ向きな部分は、現在遠い彼方です。

多分睡眠不足で思考能力が低下してる上に、ハイになっちゃってるんでしょうね。アドレナリンでも分泌されてるんでしょうか。



でも、あくまで高潮しているのは精神だけ。食事も睡眠も満足にとっていなかった体はフラフラ。

そんな子を一人で放っておく訳にはいかないです。護衛の方も困惑気味でしたし…。



…私が焚き付けてしまったも同然ですし、腹をくくります。万が一の時は、私も一緒に責任を負いましょう。

…サラサのお父様、ごめんなさい。余波が其方へ行かない様頑張ります。



覚悟を決めた私は、まずホノカ様の侍女とカンナに、彼女の身支度をお願いした。


顔色の悪さと目元の隈、あと乱れた髪をなんとかしていただかないと。


そんな心配をしてみたが、侍女二人の手腕は見事だった。



隈や顔色の悪さを、完璧に隠しつつも不自然では無い絶妙なメイクや、清楚な白を基調とした衣装に、鮮やかな翠の帯の組み合わせが、寧ろ、その細さや色白さを魅力に変えている。


触れれば消えてしまいそうな、儚げな風情の美女の出来上がりだ。…まぁ、中身は我が儘盛りのお子様ですが。



「…ああ、ほら、ホノカ様。足元気を付けて下さい。」


「うん。」



綺麗なお姉さんの手を引きながら、私は小さな子供に話し掛けるように、注意を促す。私の手をしっかりと握りながら、ホノカ様は素直に頷いた。


……私、女子高生だった筈なのに…なんで母ポジションになっているんでしょう。こんな大きい娘を産んだ覚えは無いのに。



でも危なっかしいんですよ!足元がふらついているんです。一人で歩かせていたら、壁にぶつかりそうで怖い。



もういいです…何処までもお付き合いしますよという、ヤケとも諦めとも言える境地になってきた。



カンナは心配していましたが、そろそろ戻って来そうなイオリへの伝言を頼んで、私とホノカ様という不安な二人組は、後をついてきて下さる護衛の方を連れ、ルリカ様のお部屋を目指した。



「……………?」



ホノカ様にあわせ、ゆっくりと回廊を進んでいた私は、ふと顔をあげた時、目の端に何かを捉える。



「……!」



その正体を認識した瞬間、私は建物の影にホノカ様を引っ張り込む様にして隠れた。身構えた護衛の方にも、手招きして物陰に隠れてもらう。



「…な、何っ?」


「しー!!」



状況が分からず戸惑うホノカ様に顔を寄せ人差し指をたてた私は、潜めた声で沈黙を強制する。


のまれる形で頷いたホノカ様に、一先ず安心し、こっそりと壁の向こうを窺うと、其処に居たのは…ルリカ様でした。



お部屋に閉じこもっていると思われたルリカ様は、護衛と侍女を従え、何処かへ向かう途中の様です。



「…何で隠れるの。」



ホノカ様は、私の袖を引っ張りながら、憮然と呟く。

目当ての人物を前にして隠れる事を不服に思いつつも、ちゃんと声を潜めている所が可愛いと思う。



「だってホノカ様、ちゃんと言いたい事、纏められているんですか?」


「………………大丈夫よ。」



心の準備も無いまま対面しても、言いたい事の半分も言えないと思います…それに、ホノカ様が突発的な事態に強いとは思えないのですが。



でも、負けず嫌いな部分が刺激されたらしいホノカ様は、唇をへの字に引き結び、数秒間を置いてそう答えた。


…全く説得力が無いです。



「…では試しにどうぞ。」


「えっ…えと、…ルリカ様の陰険!意地悪!お父様を馬鹿にしにゃいで!」


「はい却下。」



もう、良く考えて下さいとかいう問題じゃない。噛みましたよこの子!!一番大事な部分で噛んじゃいましたよ!



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