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ガチムチのオネエ口調モヒカンとガチムチのマッチョが付き合う小説を書いて下さい!

街の外れにあるボクシングジムは、昼間から汗と鉄の匂いが満ちていた。

サンドバッグを叩く音、縄跳びのリズム、トレーナーの怒号。

その中でも特に目立つ二人がいた。

ひとりは、モヒカン頭の大柄な男――ゴウ。

肩幅はドアより広く、腕は丸太のよう。

そして何より特徴的なのは、その見た目からは想像できないほどのオネエ口調だった。

「ちょっとアンタ! フォームが雑すぎるわよ! 腰、もっと入れなさいってば!」

もうひとりは、無口な筋肉質の男――リョウ。

彫刻のように整った体躯に、無駄のない動き。

必要なことしか喋らないタイプだ。

「……了解」

それだけ言って、再びサンドバッグを殴る。

ドンッ、と重い音が響く。

ゴウは腕を組み、ため息をついた。

「ほんっと不器用なんだから。でも、そこがいいのよねぇ」

「聞こえてるぞ」

「聞こえるように言ってるのよ」

そんなやり取りが、このジムの日常だった。

二人は昔、地下試合で出会った。

殴り合い、壊し合い、それでも立ち上がった相手。

決着はつかなかった。

代わりに残ったのは奇妙な感情だった。

「アンタさ」

ある日、トレーニング後の更衣室でゴウが言った。

「なんでそんなに強くなりたいのよ」

リョウは少し間を置いて答える。

「負けたくないからだ」

「シンプルすぎて逆に怖いわね」

ゴウは笑ったが、目は少しだけ優しかった。

「でも嫌いじゃないわ、そのバカ正直さ」

タオルで汗を拭きながら、リョウはちらりとゴウを見る。

「お前は?」

「アタシ?」

ゴウは鏡の前でモヒカンを整えながら言う。

「生きてる実感が欲しいのよ。殴って、殴られて、それでも立ってる感じ」

「……物騒だな」

「アンタも似たようなもんでしょ」

その言葉に、リョウは否定しなかった。

沈黙が少しだけ流れる。

しかしそれは不思議と気まずくはなかった。

むしろ、居心地のいい沈黙だった。

それから二人は、自然と一緒にいる時間が増えていった。

飯を食うときも。

走るときも。

試合のあと、傷を冷やすときも。

ゴウは相変わらずうるさい。

「ちょっと! もっと野菜食べなさいよ筋肉バカ!」

「……筋肉は褒め言葉か?」

「半分はね」

一方でリョウは、言葉少なに隣に座る。

だが、そこにいること自体が当たり前になっていった。

ある夜。

ジムの屋上で、二人は並んで座っていた。

街の明かりが遠くに揺れている。

ゴウがぽつりと言う。

「ねえ」

「なんだ」

「アンタさ、もしアタシがいなくなったら寂しい?」

リョウは即答しなかった。

珍しく、少し考える。

そして短く言った。

「うるさくて困る」

「はあ!? それだけ!?」

ゴウが怒ったように振り向くと、リョウは続けた。

「だが……いないと落ち着かない」

その一言で、ゴウは固まった。

「……なによそれ」

「事実だ」

夜風が吹く。

ゴウは少しだけ笑って、空を見上げた。

「アンタってほんと、言葉足りないわね」

「お前が多すぎるだけだ」

「ふふ……それもそうね」

しばらく沈黙。

そしてゴウは、いつもの調子で言った。

「じゃあさ」

「なんだ」

「一緒にいなさいよ、これからも」

リョウは空を見たまま答える。

「最初からそのつもりだ」

ゴウは目を丸くしたあと、ふっと笑った。

「……あら、プロポーズ?」

「違う」

「即否定やめなさいよ!」

屋上に笑い声が響く。

殴り合いから始まった関係は、いつの間にか形を変えていた。

言葉は不器用でも、距離は確かに近い。

モヒカンのオネエと、無口なマッチョ。

その二人は今日も、拳より少しやさしいやり方で、隣に立ち続けている。

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