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2. 既視感

2話目以降はグロテスクな表現が含まれます。

苦手な方はご注意下さい。

午後6時00分


俺は、信頼していた人に急に冷たく突き放されたような気がして胸が苦しくなった。


「知らない」と言われただけとは思えないくらい……

胸が痛んだ……


何で……急に……

何か予定でも思い出したんだろうか……


こちらに対する温かさが急になくなってしまったような声に底知れぬ不気味さ……


そしてなぜか



”既視感のようなもの”を覚えていた



「おい、大丈夫か?」


わけもわからず呆然としていた俺に修斗が心配して声をかけてくれた。


「……あぁ、ごめん。ぼーっとしてた。」


すると、瑠奈が


「先生に何があったのかはわからないけど、とにかく今は由香ちゃんを探そう!」


と言う。


そのとおりだ、今は由香のことが最優先だ。

他のことは後で考えよう。


「じゃあ、まずは事務室に行って由香ちゃんが帰ってきてないことについて話しておこうぜ。」


「学校を探すなら説明しておかないと不審者扱いされちゃうかもだしな。生徒が家に帰ってないってことなら先生たちも一緒に探してくれるだろうし。」


修斗の言うとおりだ。


ただ、他の先生も竹中先生と同じようになってしまうのではないかという不安もあった。



           ◇



事務室で事情を説明すると、学校内の捜索を許可され、先生たちも由香を探してくれることになった。


俺は想像していたようなことにならなくて安堵すると同時に、より一層ことの重大さを理解して由香に対する心配が大きくなっていた。



俺たちはまず教室に向かおうと学校の階段を登っていた。


すると


「うわっ!!」


修斗が足を踏み外し、階段から落ちて尻餅をついてしまっていた。


「大丈夫か!?」「大丈夫!?」


俺と瑠奈が心配すると……



「痛ってて……急に押すなよ……」



えっ……?どういうことだ?


俺も瑠奈も修斗のことは押してない。

修斗は誰に押されたんだ……?


「はあ、まあいいや……あとから行くから先行っててくれ。」


「え?あぁ、わかった……」


意味はよくわからないが、大怪我はしていないようでよかった。


少し心配だが、彼は先に行けと言ってくれているのだ。

由香を探すことを優先しよう。


「悪いっ!先行ってるっ!」


俺と瑠奈は教室に向かって走り出した。



          ◇



教室には誰もいなかった。


由香は忘れ物を取りに学校に行った。

帰っているなら途中で出会うはずだし、やっぱり何かがあったのだ……


すると、俺は教卓の横で何かを見つけた。



「由香の……ランドセル……?」



おかしい……


由香は忘れ物を取りに学校へ行ったんだぞ……?


忘れ物がランドセルだなんて……

そんなことあり得るのか?


しかも、どうして教卓の横に……


そこで俺は一瞬、竹中先生のことが脳裏をよぎった。


由香のことを知らないかどうか聞いた時の反応が明らかに不自然だったからだ。


もしかしたら、噂の神隠しは竹中先生が人為的に起こしたものなんじゃないか……と、そう考えてしまう。


「それ、由香ちゃんのだよね?どうしてそんなところに?」


瑠奈が疑問を口にする。


「俺は……少しだけ竹中先生のことを疑ってるのかもしれない……」


「そうだね……ちょっと怖いな……」


彼女は胸の前で指を組み、不安そうな目でこちらを見つめている。


「そうだよな……もし本当に怖かったら門の近くまで送ってくよ。」


本当は一刻も早く由香を探しに行きたいが、瑠奈の安全も大切だ。


そこからは一人で帰れるかと聞こうと思ったが


その前に、彼女は首を横に振り真剣な表情で


「私も一緒に探すよ!由香ちゃん心配だから」


と、言った。

彼女はとても不安そうだった。


だけど、彼女は由香のために……


「ありがとう、瑠奈。」


俺は彼女の手をとり、そう言った。


「えっ!?……あ、うん。」


彼女は下を向いて固まってしまった。


そうだった、友達とはいえ異性だし触れられるのは嫌だったか……


「ごめんな……」


「あっ!いや、全然大丈夫だよ!ちょっとびっくりしただけ!」


「そ、そっか。」


たしか、瑠奈は修斗のことが好きだったよな。

俺はもう少し気を使ったほうがいいのかもしれない……


ただ、今はそんなことを考えてる場合じゃない。

今すぐ由香を探さないと……


どこにいるのだろうか……


「ねぇ、たしか美那ちゃんが本好きだったよね?風邪で休んでる美那ちゃんのために図書室に本を借りに行ったとかないかな?」


……確かにそうだ!!


この瞬間、少し希望が見えた気がした。


「そうだな、行ってみようっ!!」


頼む……いてくれ……由香。


俺たち2人は教室を飛び出した。


そのとき


「うわっ!!」「うおっ!!」


誰かとぶつかりそうになった。


「――って、修斗か。もう怪我は大丈夫なのか?」


そう聞くと彼は


「あぁ、もう大丈夫だ。それよりお前ら……なんか良い感じじゃなかった!?」


あぁ、さっきの……

見てたんだ……


瑠奈の方を見ると下を向いている。


「ちっ、違うもん!!」


そうだよ、瑠奈はお前のことが好きなんだぞ?

とんだ鈍感野郎だな……


いや……もしかしたら、由香のことが心配な俺たちを和ませようとしてくれたのか?


修斗は昔からそういうやつだ。



そして、3人で図書室へ向かおうとしたとき、修斗がボソッと何かを言った。


うまく聞き取れなかったが、


『俺はお前を許すよ』


そう、言っていた気がする……


階段のときのことだろうか……

俺は押してないんだけど……


と、一瞬そう思ったが、修斗が言っているのはもっと”重大な何か”なような……


そんな気がした……



           ◇



俺たち3人は図書室までやってきた。


「誰もいないね……」


瑠奈がそう言うと、図書室の奥の方で『ガサッ』っと何かが動いたような音が聞こえた。


「今なにか……聞こえなかったか?」


俺がそう二人に言うと


「え?そうかな?」

「俺も聞こえなかったぞ?」


気のせいだったのか?


いや、もしかしたら由香かもしれない。

そう思った俺はそちらに近付く。



――そのとき、黒い影のような何かが俺に襲い掛かってきた!!



「ッ!!」


俺は走り出し、二人の手をとって無我夢中で逃げ出した


「ちょっ!!おいっ、どうしたんだよ!?」

「何かあったの!?」


二人には見えていないのか!?!?

あのおぞましい黒い何かがっ……!!!!


俺は、二人と一緒に教室に駆け込み、ドアを勢いよく閉めた。



あれは……なんだったんだ……!?!?


見た目がそこまで恐ろしいわけじゃない……


だけど、俺はあまりの気持ち悪さに吐き気を催していた……


「オエッ……」


「だ、大丈夫か!?」

「大希くん……!!」


理由はわからない………


ただ俺はアレを見た瞬間、とんでもない恐怖、拒絶感……


そして……


憎悪を覚えていた……

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