表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

視線服

作者: 出雲 寛人

とんでもない発明をしてしまった。


集めた視線を具現化し、編み込んで服にするという発明だ。


まずはテストで一着作ってみた。


自分で着てみると、なにやらずっと自分を見られているような感覚になる。


あらゆる方向から自分の体に視線がささっているような、むずがゆい感じがする。


これは僕には向いてないが、友達のジョンなら気に入りそうだ。


早速連絡を取ってジョンを呼び出した。


ジョンに着せてみると、「おお!色んな人に見られてる感じがする!」と興奮してハイになっていた。


「これって、どんな人の視線を集めたんだ?」


「スクランブル交差点に行き交う人の視線を集めたよ。100人くらいかな。」


「すごいな。もっと増やすとどうなるんだろうな?」


「試してみよう。」


そして、1000人くらいの視線を集めて、ジョンに着せてみた。


以前よりもハイになっていた。


「スポーツする時とかは力を発揮できそうだけど、勉強する時には向いてないな!」


なるほど。


では逆に、1人の先生から視線をいただき、服を作ってみた。


ジョンに着せて勉強させてみると、「まるで先生が後ろから見ているような感覚だ。これは集中出来るぞ。」とのことだった。


誰の視線を、どのくらいの数集めるかによって、いろいろな用途に使えそうだ。


応用して、逆に視線をかいくぐる服も作れた。


ジョンに着てもらうと、まるでカメレオンのように、周りの景色に溶け込んでいた。


しかし、服が覆っていない顔や手や足は見えていた。改良の余地がありそうだ。


次に、視線を集める服を作ってみた。


ジョンに着せて一緒に街を歩いてみた。


すると、ジョンを見た人の目から視線が具現化し、ジョンの服に結びついた。


その光景を見た人が次々とジョンを見て、多くの視線が集まった。色々な色の視線があった。


あらゆる方向から視線が集まったため、身動きが全然取れなくなってしまった。


僕は力ずくでジョンの服を脱がした。


その瞬間強風が吹き、視線を集める服は上空へ飛んでいった。


その服に釣られるように、具現化した視線も上空へ飛んでいる。


その服から視線を外すと、具現化した視線も取れた。


しかし上空にいて、常に移動をしているため、その場所その場所で視線を集め、姿形を変えていた。


僕はずっとその服を見ていた。


僕の目から出ている具現化した視線をロープ代わりにして、上空の服までたどり着いた。


そして姿が変わる服の上で空中散歩を楽しんでいた。


-その頃ジョンは-


「きゃー!上半身裸の男がいる!」という騒ぎが起き、警察に追われているのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ