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貴方が教えてくれたのは〈愛〉と〈謝罪〉

貴方を愛してしまって、ごめんなさい。

私のせいで貴方は死んでしまったのに、私は今もまだ貴方のことを愛してしまっている。

本当に、ごめんなさい。

何の役にも立たないのに、人に迷惑をかけて、ヘラヘラと笑って、人を愛して、今もまだ生きている。

無知は罪。貴方の気持ちなんてわからないと言ったあの時も、きっと私は貴方を傷付けていたのでしょう。

どれほど泣いても、後悔しても、神に懺悔しても、貴方はもう二度と帰っては来ない。

愛している。だなんて、きっと私には言う資格がない。そんな事はわかってる。

だけどそれでも、貴方が好き。

どれほど心無い言葉を浴びせられようと、どれほど心身を傷つけられようと、貴女さえいれば良かった。

それなのに、私は貴方を殺した。

誰よりも深く愛する貴方を、体を蝕む病に苦しむ貴方を、私を愛してくれた貴方を、私は見殺しにした。

「瑠楼、ごめんなさい。」

貴方が最後に言った言葉、屋上から飛び降りる直前、私に放った最後の言葉。

その時、貴方は何を思ってそう言ったの?

伝えられた言葉は〈謝罪〉、けれど瞳には憎しみが灯っていて、口元には優しげな笑みを浮かべていた。

人の心を分からない私では、優しい貴方の心は分からない。

唯一貴方から教わった心、〈愛〉は私の1番の思い出となって、1番のトラウマになった。

貴方は何度も私に「愛してる」と言ってくれた。だから私も愛を返した。

貴方は何度も貴方の母親に「ごめんなさい」と言っていた。その度に貴方の心が欠けていった。

記憶に残っているのは貴方の私に向けた「愛してる」と母親に向けた「ごめんなさい」。そして最期の私に向けた「ごめんなさい」。この3つだけ。

貴方の記憶も徐々に剥がれ落ちていく。こんな私でごめんなさい。

それでも水望、貴方を愛しています。











「この世界中の誰よりも、貴方のことを愛している」











「嗚呼、嫌だ。貴方との記憶が、貴方との思い出が、私の中から消えていく、、、」












「運命の人が2人いるのなら、私は2人目が現れる前に命を絶つ。そうすれば、永遠に貴方と一緒でしょう?」











教えられた心は〈愛〉と〈謝罪〉の2つだけ。愛する人の死に囚われ、消えゆく記憶に絶望する日々。彼女は人を愛することにすら謝罪を繰り返す。愛した人の本心を知らぬままが故に____

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