6.本稼働
シトラの街 その3
シトラ工房の全部署の方々と説明と指導を繰り返して、「魔道具JJJ改造版」を各部署に設置し終えて、いよいよ本稼働の日が決まった。
各部署にひとりずつランベル商会からサポートに付いてもらい、本部にはドリーとサガが付くはずだった。
当日サガは、会長賞で南国ロマーノに旅行がプレゼントされていた。
(このタイミングか~。何もなければいいなぁ)
***
「では魔法陣を各部署に送信します。魔法陣の名前を書き「出力」を押します。
いちばん近い部署の名前「ビーチ」と書いて「送信」を押します。あとは部署側からの連絡を待ちましょう」
しばらく待つと一番近い部署から連絡が入った。
「受信時のピー音と白い光はあるけれど、「受信」を押しても、魔法陣が出てこない。」
「もう一度やってみましょう」
結果は変わらなかった。
「ほかの部署でやってみましょう」
結果は変わらなかった。
ドリーは各部署と連絡を取り合って、本部の方には丁寧にお詫びして、本稼働の延期と、その日程の連絡を別途7日以内にいたしますと約束した。
そして今回作成した魔法陣と送信機と受信機の1台をお預かりして記述開発本部に向かった。
記述開発本部では、天敵ロックドアが待っていた。ダメだったという報告だけ入ったらしく、預かった「魔道具JJJ改造版」2台を渡し、詳しく状況を説明した。
「うちの営業はなにをやってるんだ!かわいそうに」
ロックドアは、そっと手を添えて魔法具を引き受けてくれた。
ドリーにめったに親身にならないロックドアなのに、きもいわねぇと思いながら答えた。
「会長賞で、南国ロマーノに旅行中です」
天敵ロックドアは無表情だが、頬がピクピクしていた。
サガが楽しいロマーノから戻り、7日後には「魔道具JJJ改造版」の修正記述をすべての魔道具に書き込み、するっと何事もなかったかのように稼働した。
サガのお客様の評価は大変よく、ドリーの評価はとても低くなった。もうね~。そんなもんなのよね~。