5. テスト機のプレゼン
シトラの街 その2
シトラに向かう日程と、担当者の連絡が来た。
ランベル商会のリーダーがサガで、サブがドリーで、他のスタッフは特に特定せず、必要に応じて販売部から何人でも登用してよいということだった。
(販売部から何人でも・・・。記述開発本部からはひとりも出ないのか。フン)
サガと打ち合わせして、どのようにプレゼンするか、テスト機で魔法陣を送信したり書き込んだりしながら方針をすり合わせた。
準備万端でシトラに向かう日になった。販売部長のブクブリッジとサガ。そしてドリーの3人で乗合馬車に乗り込んだ。
***
3日後の夕方にシトラの街に到着した。
商人ギルドにランベル商会が発行させている「ランベル商会専用のカード」をそれぞれ提示して街に入った。
この街にはランベル商会の支店は無いので、まずは宿屋に入って旅の汚れを落とし、温かいご飯を食べた。宿からお客様にメッセンジャーを出してもらって、明日訪問する旨連絡した。
わたしは共同洗い場に行って、来ていた服を洗濯して、よく絞って部屋に広げて干した。
(洗濯はいいとして、洗濯物を絞るのってたいへんだよなぁ。だれか道具を開発してくれないかなぁ)
男性陣はそのまま汚れた衣類は持って帰るようだ。
***
翌朝、みんなで食事をとっていると、宿までお客様の馬車が迎えに来てくれた。
ありがたく乗せていただくが、それほど遠くはないので帰りは歩いて帰れそうだ。
お客様の工房に着いたが、正面はいろいろな魔道具を販売している、なかなか洗練された品のある店舗だった。
裏に回り工房に案内された。大きなテーブルのある会議室に通された。
販売部長のブクブリッジさんが口火を切った。
「このたびは「魔道具JJJ」をご検討いただきありがとうございます。
早速「魔道具JJJテスト機」が出来ましたので、こちらでテストさせていただくために伺いました」
「プロジェクトリーダーのサガです」「システムスタッフのドリーです」
「シトラ工房、工房長のロンテルです」
浅黒い小柄だががっしりした、壮年なのにやたらさわやかな感じの方だった。
会議室に、サガとドリーでテスト機2台をすこし離して設置した。
工房長のロンテルさんと、部下が2人来たので、それぞれテスト機に付いてもらった。
ドリーは送信機に、サガは受信機のほうに回った。
「では早速魔法陣を記述してみて「保存」、「出力」と「送信」及び、「受取」と「書込」をやってみましょう」
ドリーが送信機のほうでプレゼンする。
「とくに今記述したいものが無ければ、こちらで作成したものをやってみますけれど、魔法陣の記述もやってみますか?」
ドリーが聞くと、ロンテルさんの部下の一人が、
「はい」
と前に出た。
書き方を説明しながら、簡単な魔法陣が書きあがった。
「では、ここで魔法陣の名前を4文字でこのパネルに書きます。「保存」を選んで」
パネルを指さし、お客様に操作してもらいながら、
「今の4文字の名称をここに書いて「出力」を選びます」
パネルを指さし、「出力」を指さす。
「受信機の名前をここに書いて、ここでは「ハーバー」です。「送信」を選びます」
パネルを指さし、「送信」を指さす。
サガのいる受信機がピーと言って白く光った。
受信機にお客様がの新しい魔道具を設置する。
「「受信」を選んで、パネルに表示された魔法陣を確認して、名前を4文字でここに書いて「保存」そして道具を用意して「書込」を押します。」
サガが指さしながら説明した。
薄青く光りながら、先ほど書いてもらった簡単な魔法陣が、魔道具に書き込まれた。
さんざんテストしたのだけれど、ドリーもサガも手汗がべっとりで、ほんとは「やったー!」と大声で叫びたいほどだった。
ドリーはにっこり微笑んで、
「では、皆様確認いたしましょう」
と送信した側のロンテルさんと部下のひとりをサガのほうに案内した。