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野次馬にさせないで

「なぜもっと静かに言えないんだろうな」

 張り合うと自分まで野次馬になってしまう。


「迷惑な話ですよね」

 だけど、今夜だけならいいだろう。


 SNSでアンチコメントの相手をしないという助言はあるが、その相手が人間かどうかすら怪しい。


「それらは役目を終えたら、消滅するようなアカウントですから」

 なので、いくら「あの時こう言っていたじゃないか!」と騒ぎ立てたところでその頃には綺麗さっぱりいなくなってしまっている。


「誰と誰が肉体関係になったなんてのを管理されるようになっちまったら、いよいよハルマゲドンだぞ」

 驚くことに、この管理アプリを利用しようとする人間がいる。


「プライバシーの侵害も甚だしいですね」

 管理者は巨大な権力を握ることになる。


「色恋に国が関与しすぎだろう。暴行・脅迫が要件だったときは判別しやすかったが、内心で同意していた・していなかったかなんてのは、客観的に判別など出来やしない」

 婚前・婚外交渉はするなという流れにしたいのなら、それはそれで構成要件がハッキリする。


「例の件でしたら、不同意性交等罪施行前です。もちろんこの話自体が真偽不明ですが」

 事実無根でもダメージは甚大だ。これがために虚偽告訴・信用毀損の罪も大きい。遡及処罰は文明人のする所業ではない。


「裁判が長期化するのを心配する声もあるが、争点が整理されていたらすぐ判決はくだる」

 当時の彼が罪になるのだとしたら、暴行か脅迫が構成要件になる。もし被害者とされる人物が訴えるのなら、この一点しか無い。だが、それは無理筋だと分かっているのか、内心の不同意を持ち出している。この件は不同意性交等罪の施行前であるので、無罪確定だ。ここで、無理矢理暴行・脅迫をされたと言い出したら、虚偽告訴になるだろう。経済的地位や社会的関係、アルコールを用いて云々という言い分も、すべて後年の不同意性交等罪の要件だ。よって、争点は何も存在しない。反対に、みだりに社会的信用を毀損させたとして、しかるべき処置が下るだろう。無実の人間を犯罪者扱いするのは、とても罪深いことなのだ。


「わたしはセカンドレイプという言葉がとても気になります。1度目のレイプがあったかも不確定なのに、この物言いは非常にアンフェアで作為的です」


「ニカル。悪魔に魂を売ったやつの末路を、よく見ておくんだな」

「ヒロシさんともその話題になりましたよ」

 ニカルは佐賀でヒロシと対面している。


「あいつは元気だったか?」

 神籬は目線を合わせない。


「ええ。最初は怒っていましたが、話がユーラシアドライブウェイに及ぶと途端に笑顔になっていました」

 こうした楽しい話題で世間が満たされれば良い。


「ビッグプロジェクトから注意をそらせるために、怪情報は出回るものです」

 ネットに繋ぐ時間もほどほどにせねばなるまい。



 『我々が自由であるために、我々は皆、法の奴隷でなければならない』



                 キケロ    






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