THE・NINJA
「今年は暖冬だな」
それがフラグになることもある。
必勝ミドルは、1年前と比べ街の雰囲気が変わっていることに気付いていた。
「怪しいやつも増えてるんだよな」
メシヤが引き寄せているのだが、面白い人間も釣られてやって来ている。
「アカーキー少佐と雲水のじっちゃんとはどんな関係なんだろう」
雲水の元で、ミドルは飛躍的に腕を上げた。
「ホント言うと、ロードワークはあまり好きじゃ無い」
直属のアカーキーは「草を生やすな!」が口癖だ。英語にすると「Don't let the grass grow under your feet」。行動を促す言葉であるが、ネットスラングの観点からも、そうした人は笑われない。
ミドルは足を止める。
(やべえ人がいるな・・・)
異様に眼光鋭い人物。直感でミドルは堅気の人間ではないと察した。彼の向かう方向には、めし屋フジワラがある。
「ねえねえねえ」
なれなれしくミドルが声を掛ける。
「悪いな。急いでるんだ」
左脇が不自然に膨らんでいる。
「い~や、ちょっと待った!」
ミドルが手を伸ばすと、男は反対車線に移動していた。
「え、え?」
あまりの早技に狼狽するミドル。もう一度詰めるのだが・・・。
「速い!」
今度は屋根上に移動する。
ミドルが得意のジャンプ力で追いかける。
(子供相手にあまり付き合っていられないぞ)
この男、元内閣調査室の探偵・白馬安曇と言う。
「なんだあれ!」
白馬はペロブスカイト型構造に分身して、ミドルをまいた。
力を付けてお調子に乗っていたミドルであったが、上には上が居ることを思い知らされた。
「広いなあ、世界と言うのは!」