KOMATSUの親分
「メシヤ、ちょっくらバイトするか?」
十九川イエスの実家は、江戸時代から続く大手の工務店である。
「お正月でけっこう使ったから、やるよ!」
メシヤは不器用ゆえに、じっくりしっかり作る癖が身に付いていた。
北伊勢市に遷都されてからというもの、大規模な建設ラッシュに湧いている。ただでさえ忙しい十九川工務店にとって、高校生の手も借りたいところだ。
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「930Eなんて日本にあったのね」
マリアが見上げる。KOMATSUの超巨大ダンプは、屋根より高い。
「PC4000までありますわ!」
祖国で破壊と再生を目の当たりにしているレマ。
「ワタシもあれに乗りたいネ!」
自走式破砕機のガラパゴスが鎮座している。エリならその作業を素手でもこなせるだろう。
「メシヤとこまつの杜に行ったことがあるが、帰ろうとしなかったよな」
イエスは土質改良機のリテラに跨がっている。
「うん。こうした建設の時もそうだけど、災害復興の時も大活躍しそうだよね」
KOMATSUは石川県小松市生まれである。
「そうよね。道が寸断された場合、一刻も早く復旧しないと支援も間に合わないわ」
アスファルトで固めるのは後にして、むかしのローマ街道のように4層構造の道を作るのもよいかも知れない。
「真砂土舗装も利点はあるが、いまのままじゃ車道には使えないんだ」
風合いも良く景観性はあるので、好む人は多い。
「崩れた土を運搬するために、船も使わないといけませんわ」
接岸できるように航路・泊地の浚渫、柵の撤去も必要だろう。
(それにしても集中豪雨や災害がよく起こるよなあ・・・)
「メシヤ、お腹でも空いたノ?」
難しい顔をしているメシヤの変化を逃さないエリ。
「そうだね、イエスんとこで働いた後はいつもぺこぺこになるからさ」
中華でもよく使われる小松菜だが、こちらの由来は江戸川区の小松川である。
※この作品は、カクヨム、ノベルデイズでも読めます。