白いマットのジャングルに
「俺たちも武道やってるけど、総合格闘技は格闘技を総合しているようには見えないな」
ミドル、口を慎みなさい。
「真剣勝負って、得てしてそういうものよ」
あっという間に勝負が決してしまう。
「ノールールじゃ死人が出るぞ」
第一のルール。ルールは無いと言うことだ。
「技は豊富に持っていると思うけど、決め技が限られてるのかな」
柔道は試合で見られる技意外に、数多く存在する。
「堅苦しいのが嫌でこういう世界に飛び込んだハズなのに、型にハマっちまってるよな」
エンターテイメントとして捉えたときに、意外性は重要だ。
「タイガーマスクは強さとエレガンスを兼ね備えていたわね」
技の総合百貨店だ。
「ああいうのを見ちゃうと、今の格闘技は物足りなくなるよなあ」
ススムの身のこなしもタイガイだ。
「仇討ちじゃないんだから、ただ勝てばいいってわけじゃないよね」
「いや、勝ちは重要だ」
不敗よりも必勝だ。
「どのスポーツでも格闘技でも、異種目からガンガン取り入れればいいんだよな」
芸術や料理の世界とて同じである。
「それで上手くいくかは分からないけど、試してみる価値はあるわ」
ウィルの研究も、中途でどんどん脱線する。
「ヒッショーの得意分野じゃん」
確かにミドルの技は多彩だ。
「キョーコ、あんまりおだてちゃ駄目よ。ミドルはすぐ変なこと始めるんだから」
変な王子さんなら、そこまで気味悪くないだろう。




