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ハラッパーの真ん中で 【第Ⅴ座】  作者: 三重野 創


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ガンザー症候群

《俺が、ガンダムだー!》


「懐かしいモン見てるな」

 キョン子の趣味は男っぽい。


「あなたもサザエさん的なアレですかね?」

 笑う声まで同じになりそうだ。


「マンガの台詞で『お前は俺だ』とか意味深な台詞はよく出て来るな」

 似ているという意味だけで無く、本当に入れ替わっていたりする。


「ボクが先輩で先輩がボクでって展開もありそうっスね」

 よせ、気持ち悪い。


「何かの感想で、気持ち悪いって言った方が正論を言っているみたいな風潮はボクは嫌いっスね」

 気持ち悪いを先に言った方が勝ちみたいなところは確かにある。


 キョン子が『ボクは男だ!』って言いだしたり、俺が『私は女よ!』と言い出したらどうなるかについて語りたいところだが、やめておこう。何でも言い合える関係は、必ずしも良好な関係とは限らない。


「自由に話すことも出来なくなってますね」

 探偵、ヒロインにはなれるが、猫になると言い出したらどうするかってとこだな。


「現実がおとぎ話になって来た感はありますよ」

 俺たちは誰かが造った大仕掛けの生成AIワールドを見せられているのではないか、との懸念は残る。


「暗示ってのも馬鹿に出来ないな」

 私は最強と歌っていたら強くなれるかも知れんが、自分より強い奴なんていくらでもいると思っていた方が、成長は見込めそうだ。


「それなんですけどね」

 珍しく神妙だ。


「物語は作者の思うがママに展開できるわけですよね。リアリティあろうとなかろうと関係なく」

 まあそうだな。


「ただ、それを見聞きした人間がなにか思うところがあって人に話したり行動を開始したりすれば、それは現実の世界を動かすことになると思うんですよ」

 坊さんの説法を聞いているみたいだぞ。


「そうやって考えると、文章もそうですが、自分がなにを話すか、何をやろうと意識するか、何になりたいと念じるかってのが、決して疎かに出来ないことなんじゃないかと」

 俺は思わず両手をパチパチと叩いていた。


「そうかそうか。で、お前は何になりたいんだ?」

 軽い気持ちだったのだが。


「あの・・・、お嫁さんっス。。。」

 花瓶のスノードロップが、ほんのり赤くなった。








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