コピーロボットが欲しい
「そんな風に考えたことない?」
メシヤのコピーなど出来るのだろうか。
「コピーできると分かった途端に価値が暴落するのが世の習いだヨ」
エリは1度見た攻撃を完全にコピーする。
「モノマネをどう捉えるかにも繋がりますわ」
レマは仕事柄、形態模写が得意である。
「画像データで複製できるものの価値は、確かに下がってる感があるわね」
そのオリジナルの元データを生み出すのに、クリエイターは四苦八苦している。
「AI画像が悪く言われるのは、あまりにも溢れすぎているからだろうな」
手作り人形にも魂は宿ると言うが、あそこまで粗製濫造されると、宿る暇が無い。
「そうは言っても、自分の分身が欲しいときってあるよねえ」
自分はぬくぬくと眠って、コピーロボに学校へ行かそうという魂胆である。
「そんな事に使ってたら、バードマンに豚にされるわよ」
メシヤが1号、マリアが3号、イエスが4号、エリは2号と言ったところか。
「あの、わたくしは?」
「マンガ版だと5号もいたんだよ」
「藤子アニメがやらなくなっていまの子供には馴染みがないだろうが、リメイクしない手はないな」
あの松本人志氏の初恋は、どうやらパー子らしい。
「コピーロボットの体験を共有できるのよね」
いまどきなら同時進行でできるのではないかと言われそうだが、2ついっぺんに人生を経験したら、破綻しそうである。
「迂闊に鼻を触れないヨ」
花粉症のシーズンはアウトである。
メシヤが食べかけのフライドポテトを残して捨てた。
「さっきから変だと思ってたけど、あんたメシヤじゃないわね」
場が一斉に凍り付いた。
「え、僕だよ。メシヤだよ」
心なしか表情が暗い。
「メシヤが残してしかも乱雑に捨てるなんて怪しいネ」
エリが眉を顰める。
「背格好は一緒だが、雰囲気がどことなく、な」
イエスが腕を組む。
「メシヤさまではないのかしら。あら? お鼻が赤いですわ」
レマがハンカチで拭うと、チャカポコした音と共に、コピーは木偶人形と化した。




