青いイナヅマがGOALを攻める
「アジアカップは残念な結果に終わったわね」
確かに一部記者を責めたくなるが、篠原信一氏の敗戦の弁を思い起こしたい。
「ああ。一歩及ばずだ」
史上最強と言われても、簡単には勝たせてくれない。
「縦のロングボールがやたら通っていた印象だけど、奪えなくてもパス方向に立つ意識は忘れたくないね」
メシヤがサッカーゲームのレバーを押して、ボールを持つコマに寄せた。
「そのロングボールだけど、バウンドしてからプレーしようとしてるんじゃないのかなって場面が多かったわ」
マイボールにならなくても、あるいは先に触れなかったとしても、競ることが重要だ。それだけで、その後のシチュエーションは優位に展開する。
「後半めっきりシュート数が減ったけど、ミドルシュートをガンガン狙って欲しいなあ」
そうするとブロックしに行かざるを得ないので、FWへのマークは薄くなる。
「この辺りの基本事項は押さえておきたいな」
イエスがレバーを捻り、強烈なミドルシュートを叩き込んだ。
「パスコースが全然無くてバックパスが増えてたわね」
動きが止まっていたら、選択肢は狭まる。
「サッカー始めたらまっさきに教わることだけど、パスを受ける相手だけじゃ無くて、出す方も走ろうとしないとチャンスは増えないよ」
パス&ゴーである。
「攻める意識だな」
高い位置でプレスを掛ければロングボールも防げる。
「ロングボールばっかり狙うチームは真ん中がぽっかり開いてるはずだから、そこから落ち着いて組み立てていけばいいかな」
こうした戦術に適しているのも、やはり3-4-3である。
「前線はワントップと両ウイングで固まってきたからFWが3枚ってのはいいんだけど、いまの陣形だと空白のスペースが生まれやすいんだよね」
なぜ成功していた陣形を捨てたのだろうか。
「メシヤは前から言ってるよな。4-2-3-1だとウイングバックの負担がデカすぎるって」
ウィングバックの前後もフリースペースが生まれやすい。
「ウイングバックが回れない部分をボランチがカバーすることになるわね」
このサッカーゲームは、少しだけなら横移動も出来る。
「そう。だからその時は真ん中が手薄になる」
必要以上に走る量も増えてしまう。
「そこへロングボールって訳か」
イエスのキックが綺麗にCFへ通った。
「オリンピックではやり返してくれるわよ」
勝利の女神・マリア。
「負けてらんないよ!」
敵は、フィールド外にもいる。




