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ハラッパーの真ん中で 【第Ⅴ座】  作者: 三重野 創


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金回りは水回りから

「先輩、このあいだはありがとうございました」

 年末に様子見に行った件だな。


「お前、ええとこのお嬢のくせにあんなんじゃ躰壊すぞ」

 長年実家暮らしの若者がいざ独り暮らしを始めると、キョン子のようになるケースは多い。


「いえいえ。ボクもあれじゃいかんと性根を入れ替えましたよ」

「ホントかよ」

 西本願寺先生の次回作に乞うご期待だ。


 年頃のせいか、格好はちゃんとしてるんだよな。

「職場の掃除とかはちゃんとやる方なんスけど、自分のことだとどうも後回しになっちゃうみたいで~」

 良いことを言ってるようだが、それじゃ駄目だ。


「ところで、なんか臭わないか?」

「ボクじゃないっスよ!」

 違う違う。


「いや。なんつーか腐った臭いだな、こりゃ」

「キッチンっスかね?」

 確かにそっちの方角だ。


 ミニキッチンの排水口を覗く。

「うわっ、くせえ!」

 ぬめりという名のスライムモンスターだ。


「ひえええ」

 そういやここの掃除担当は決まってなかったな。


「キョン子、パイプユニッシュだ」

 棚の下に仕舞ってある。


「これを入れればいいんスね?」

「注意点がひとつある」

 キッチンはS字トラップになっているものだが、こういうミニキッチンはたいていストレートトラップになっている。そのまま投入するだけじゃなんの意味も為さない。


「ははあ。このドーナツ状の水溜まりになってる部分に入れるんスね」

 そう。でなけりゃパイプユニッシュが素通りだ。この溜まっている封水と椀トラップで悪臭と害虫を防ぐ。


「臭いわけだぜ。金回りは水回りからっていうが、こういうのを放置してたら金が貯まるわけがないな」

 セミナーなんかに参加するより、目の前の厄介事を処理した方がよっぽど有益だ。


20分後。多めの水で綺麗さっぱり洗い流した。

「ふう。だいぶ臭いが取れたな」

「これでゴキ減ですね!」






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