なんとか砲よりベルタ砲
「ペンは剣よりも強しとかそんな崇高なものじゃないな」
ペンが人を殺してしまう。
「準繩さん、もうとっくに始まってるんですよ。戦争は」
スクープは誰も救わない。
「この一年で多くの人間が死んだ。俺はあいつらの考えていることがこれっぽっちも分からん」
続砲がやまないのは、許されているからだ。
「田仲のおんじの頃からなにも変わっていませんね」
もし田仲総理が生きていたら、ここまで貧国にはならなかっただろう。
「こういう時に火事場泥棒が多発する。盗人にかける情けなどない」
生活苦のためにやむを得ず、という話をしているのではなかった。
「ベルタ砲の最大射程は130kmほどでしたが、裁紅谷のベルタ・モーゼルなら桁がひとつ増えます」
弱っているところへ追い打ちをかける輩には、裁きの雷がくだる。
「見えねえなあ。あんな女の子がねえ」
ユダヤ人と一口に言っても、エリとレマは血統のユダヤ人である。
「メシヤもあの二人がそばにいたら安心ですよ」
5000マイルを飛び越えて、迎えに来てくれた。
「そういや安曇、見たぞこの前」
ミドルにつけ回されていたところを神籬に目撃されていたようだ。
「俺も間接的に知ってるんですが、あいつらは管轄外ですよ」
破軍のヘルメシヤは白馬たちとは別組織である。
「アカーキーんとこの部隊だな。やつも本国に戻りたいだろうに」
戦争真っ最中である。
「準繩さん、俺からもいいですか?」
前髪に隠れて表情が読めない。
「御子息はいつまでああしておくつもりですか?」




