ブサイクな幼馴染みの親友から婚約者を奪った女と美人な幼馴染みの親友から婚約者を奪われた女
良く出て来る広告見て思い付きました。
私と彼女は家が隣同士だった。親同士の仲は良くもなく、悪くもなく。ご近所付き合いをそれなりにする仲だった。多分、私達が同じ年だからママ友付き合いをしていたんだと思う。
幼い頃、私達は同じものを好きになった。女児向けアニメの可愛いヒーローが好きだった。
私の両親はどうも親の反対を押し切って結婚していたらしく、当時は双方の祖父母が訪ねてくる事なんかなかった。逆に彼女の両親は皆から祝福されたらしく、偶にどちらかの祖父母が訪れていた。ーーあの頃から経済的に助力があって、ゆとりがあったのだ(私が中学に上がる頃から和解して、解決したみたいだけど、ね)。
私達が当時夢中になっていた女児向けアニメのコスチュームが彼女の家には幾つもあった。思えばそれがきっかけ。私は羨ましかった。妬ましかった。
「私の方が似合うから頂戴!」
可愛いコスチュームは美人な私の方がブサイクな彼女より似合うとマウントを取らずには居られなかった。この頃から人が良いバカな幼馴染みはニコニコ笑顔で「良いよ!」と言ってくれた。
それからの私は色々なモノを彼女から奪った。その度にマウントを取っても、鈍い彼女は意味さえ分かっていない。成長と共にやがて奪うものは人になった。友達は勿論(嘘八百の陰口で孤立させたり)、彼女の初恋の人も。
初恋もそれ以降も、彼女はブサイクな癖にイケメンばかり好きになって、釣り合わないのに恋人になる事を夢に見て。ソイツ等は皆奪ってやった。
それだけの事をしたなら、とうに見せかけの友情は切れて可笑しくないのに、やっぱりバカなアイツはニコニコして私を許して、、、今も私を親友だと言って憚らない。本当にバカなんだから。
だから私に簡単に婚約者を紹介する。
大学も離れ、就職も離れ、社会人を熟していけば流石に昔みたいに会える機会は少なくなかった。だけど大事な用の時は必ずアイツは私に連絡を取った。
婚約者の紹介もそう。結構なイケメンで、大手企業の出世間違いなしなエリート。ブサイクには勿体ない。結婚相手として釣り合うのは私。奪うのは簡単な事だった。その分、浮気性な男ではあるけどね。多少は仕方無いでしょ。偉そうな部分もあるけど、それだけエリートなんだから、いっそ頼りになるってモンよ!
………私はきっとあのバカでブサイクな幼馴染みと一生付き合うんだろうな、親友だもの。結婚式にも来るって言うし、スピーチもやって来れるって言うし♪ ホーント、バカなヤツ!
今日は親友の結婚式だ。幼馴染みでもある彼女は美人で、ウエディングドレスも白無垢も良く似合う。友人代表で私はスピーチをする。
彼女の相手は私の元婚約者……、基ストーカーだ。顔だけは良いから美人な彼女に良く似合う。
彼女とは不思議な縁だ。私が「ちょっとこれは……、」と思うものを何でも引き取ってくれるのだ。物でも人でも何でも。「嫌な相手だな」って感じると直ぐに彼女が私から引き離してくれた。
余り物や人の見る目が無い私。買ってから後悔する事数知れず。親しくなって後悔する友人も数知れず。でも捨てられない物を、切れない人を、縁ごと彼女は持って行ってくれる。
それに気付いた私は、初恋の相手もそれ以降の好きな人も皆彼女に紹介した。彼女が連れて行ってくれるなら、私に取って良くない人。事実、後になると必ず付き合わなくて良かったと思う面が目に付いた。
大学で彼女と離れた後から中々に大変だったから、ちゃんと節目節目で彼女に近況報告をする様にした。すると嫌な事は彼女が皆引き寄せて、連れて行く。
社会人になって、婚約者が出来たけど、タイミングが合わなくて、彼を紹介出来ずに居たら、浮気性が判明した。解消しようとしたらストーカー化して……、しかも「誰がお前みたいなブサイクと付き合ってくれんだよっ!」とかモラハラもされた。多分、本性なんだろう。もう見る目が無いったら……。
別れるにもちょっとリスキーだと思ったから、何とか時間を作って彼女に紹介。嘘みたいにトントン別れ話が進んだ(笑)。
彼女は余り浮気性もモラハラも気にならないらしいし、見た目は完璧なお似合い美男美女夫婦だ。
自然、ニコニコと微笑む私はスピーチをした後、席に戻る。横には今お付き合いしている男性だ。彼女が歯牙にも掛けなかったから、きっとこの人こそ、私を幸せにしてくれるし、私もこの人を幸せに出来る。
……きっと私達は一生ものの付き合いになるだろうね。ずーっと大事な親友でいてね、大好きだよ!
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