007 評価と疑問
しばらくして、シバスとアイカが戻って来た。
「大丈夫か? 数は問題なかったか?」
「ああ、お前達こそ大丈夫か?」
「あの程度何てことない、そんなことよりユウキだよ、あいつは?」
「ウルフを一匹、危なかったし、怪我もしたけどね。見たところ、緊張だけのようだし次もウルフは行けると思う。」
「さすが、勇者様。なんとかできる思ってたわ」
「ウルフを追いたてる時、かなり不安そうだったけどな」
「あれはリリア様を心配していたんです。ユウキ君もそうですが、リリア様だって山まで来たこと無かったんですから。平原のウルフよりも小さい魔獣としか戦闘経験ないんですからね。」
「だが、メイが居る。彼女は今回の旅で姫様専属の護衛だ。年の割に無茶な鍛え方をした姫様の剣であり盾、十分な強さがある」
シバスは、ふと疑問を持った。
「なあ、思ったんだが姫様にもっと経験を積ませても良かったんじゃないのか? 魔術は凄いし、剣も振れてるが動きに粗が目立つ。訓練してたというが、あれじゃあ出来の良い素人に近い。」
ハインケルは迷ったが、仲間として正直に答えることにした。
「かつて姫様の教育方針として『勇者にとってどのような存在であるべきか』という議題があった。その結論としては勇者が庇護すべき存在であるとなった。」
「庇護すべき?」
「先日も話していたが、勇者とは最終的に強くなったが、初めから強かった者ばかりでない。アゼルカイトに召喚される者が強いか弱いか、男性か女性か、子供か大人か、善人か悪人かということまで考えられた。そして、勇者足る人物が召喚された際にその人にとって弱者であることがリリア様に求められた。」
「弱者って、でも、弱くもないだろ。ここ数日見たところ、DどころかCにだって姫様より使えないのが居る、武器と魔法が両方安定して使えるだけで弱いとも言えないぞ。少なくともユウキよりは強い。」
ユウキは素人であり、10年をかけて聖女として育てられたリリアよりも弱い。それが4人の共通認識だった。
「だが、ユウキ殿はそう思っているだろうか?
」
「どういう意味ですか?」
「姫様はずっと城にいたため世間知らずに育てられた。小物屋で戸惑っていた姫様に対してユウキ殿は姫様が気に入った髪留めを手に取り店員から買い取り釣り銭を受け取っていた。彼には姫様が出来ない事で出来ることがあったのだ。」
「そういえば、リリア様が間違えた帰り道を訂正していました。初めて来たにしては、迷っていませんでした。」
「そういえば、ご飯残さないわね。昔のシバスは凄く好き嫌いが激しかったのに」
「うるせぇ、苦くて不味くて、あの頃は食えたもんじゃなかったんだ」
「最初はそうだけど、食べられるもの作っても、食べてくれなかったじゃない。」
「いや、だって、見た目が……」
「今は十分だろう、食料も姫様の嫌いなものは買ってきていなかったはずだ。」
「やっぱりリリア様も嫌いなものはあるんだ。」
しばらくして。
「話がずれた。とにかくユウキ殿は姫様を一方的に頼りにする存在ではないと認識しているということだ。」
「だとしても姫様が強くても問題なくないか?」
「それはどうかしらね? 結構話し込んだし、そろそろ支度に戻りましょう。あの子達も起きてくるかもしれないし」
「続きはまた今度ですね。」
「この話続けるのか?」
ハインケルが困ったような表情して。4人はそれぞれ今日の支度に戻っていった




