003 仲間たちと顔合わせ
「さて、そうと決まれば他のメンバーとも顔を会わせる必要があるな。」
どこか暖かい目でユウキを見るアルバートが言った。リリアに釣られて勇者になったのはきっとばれているのだろう。
「ジャディン、待たせてある者達を呼んでくれ。」
「はい」
ジャディンが城に戻っていく。
「さてユウキ殿、いや、ユウキ君、改めてお願いしたい。精霊剣アゼルカイトに求められし勇者ユウキ、汝はこれより、世界を廻り力を集め、突如として現れた異界の魔王と戦っていただきたい。この世界と私達の未来を君と精霊剣アゼルカイトに賭けよう。」
「はい、謹んでお受けします。」
「ユウキ様、共に困難に挑む仲間として改めてよろしくお願いいたします。」
「よ、よろしくお願いいたします。リリア様」
そう返すとリリアは、ユウキを見つめてクスリと微笑んだ。
「これから共に過ごすのに、堅苦し過ぎますね。ユウキさん、と呼びましょうか。私のことはリリアと呼んでください。」
「えっと、リリア……さん」
「ふふ、これから仲良くなっていきましょうね、ユウキさん」
「二人とも、そろそろ他の者達も来るだろう、リリアは既に知っている者も居るだろうが、彼らとも絆を深めてくれ。」
先程の兵士が戻ってきた。その後ろから4人続いて来た。
「陛下、お待ちいただいた皆様をお呼びいたししました。」
「ありがとう。さて、私がそれぞれ紹介していこう。こちらが召還された私達の勇者、ユウキ君だ。」
「よろしくお願いします。」
「よろしくな、坊主」
戦士らしき男性が答える。弓使いらしき女性に肘で突かれた。
「こちらが、私の娘リリアだ。」
「皆様、よろしくお願いいたします。」
「続いて、リリアの御付きでメイだ、」
そう言われて、リリアの側に控えていた少女が綺麗なお辞儀をした。
「彼女は、リリアと共に育ってきた、礼儀作法から護衛まで幅広い技能を持っている。」
昨日も今日もリリアの側にいた彼女が仲間の一人であることをユウキは始めて知った。
「そして、彼が元近衛騎士ハインケル、10年前の対魔王戦争生き残りである猛者だ頼りにしてほしい」
「命有る限り姫様と勇者殿を守ると誓おう」
昨日読んだ本によると、連合軍代表であったこの国の前皇帝を含め各国の国主が討たれ、連合軍生存者は開戦時の3割弱だったとあった。強面の老騎士はその生存者らしい。
戦士らしき男性が、話しかける。
「それはすごい、魔王に挑むならそんな人がいてくれるとありがたい」
「私は、あの時魔人の襲撃者にやられて意識不明の重体だった。気がついた時には戦線が崩壊しており、離脱する医療班の中で私が見たのは魔王の巨体と敗北する勇士たちだった。私が志願したのは、生き残った贖罪のためである」
「なんともまあ、先の見えなくなる話だこと」
「とりあえずその辺で、彼はシバス殿、この度の勇者護衛依頼を受けていただいたA級ハンターだ」
「ご紹介どうも、剣と小盾を使う前衛だよろしく。主に魔獣退治を行っている、魔王軍とは、町や村の防衛に際して殺しあったことがある。」
「続いて、彼のパートナーでリッカ殿」
「皆さんよろしくお願いします。彼は少しひねていますが、A級の腕はありますので頼りにしてください。」
「ああ、野営、探索、魔獣は俺達を頼りにしてくれ。」
「最後に彼女がアイカ、我が国の優秀な魔術師だ」
アルバート様が、4人中最後の一人を紹介する。
「よろしくお願いいたします!」
緊張したように声が張っている。
「「よろしくお願いします。」」
「以上の7人でユウキ君と魔王を倒すための力を付ける旅に出てもらう。ただ、いきなり出発しても大変だろうから、今日一日この城で過ごして、それから出発となる。仲間として絆を深めてほしい。」
この日の午前は、実力が知りたいと訓練所でハインケルとシバスとメイが手合わせしたり、ユウキがアイカとリリアに魔法を見せてもらったりした。午後には、城下町で買い物と常識の勉強をした。旅に必要な食料品や消耗品は既に揃えているため、アクセサリーや小物を購入した。ユウキは知らない世界に楽しさを感じた。
一日が終わって客室に戻り、一人になって思う、これで良かったのだろうか? 疲れた体は、自問を置き去りにして眠りについた。




