024 出陣ゾグ砦
ユウキ達は、戦場の経験を積みに来たのにそこから逃げるのでは、なんのためにここに来たのか分からなくなる、という意見で、一度ゾグ砦の進行に着いていくことになった。
カリウスは、グラドが来るまで居るならば手伝ってもらう、と言い同行を許可した。
数日後、ユウキ達はゾグ砦の外に居た。
「獣人が大勢……、あれ?」
ユウキは、獣人の他に妙に青肌の大きい人を何人か見つけた。ニルヴァ城で読んだ本を思い出し、それが魔人であることに気づいた。
「魔人……」
「お、そういえば魔人を見るのは初めてか。獣人は速いのが多いが、魔人はでかくて頑丈なのが多い。並みの刃物じゃあ肌に傷すらつけられないから厄介なんだ。」
「最も、アゼルカイトであればその頑丈さを物ともしないであろう。しかし、その身に精霊と異なる魔力を持ち、この世界と異なる魔術を扱うのが魔人のもう一つの特徴だ、気をつけろ。」
シバスとハインケルがユウキの呟きに答える。砦の外で待機していると、獣人の一団が飛び出してきた。それと同時に砦から、魔法と矢が飛んでくる。
「反撃!」
矢に魔法、魔法に障壁が展開された。
「被害軽微!」
「正面前進!」
ハインバック指揮官の声が響く。兵士達と魔王軍と衝突した。上と前からの攻撃を防ぐ事を重視しつつ隙を突いて少しずつ魔王軍を倒していくという戦略である。
「ユウキ、落ち着け。俺達は後詰めだ。苦しくても戦況をよくみておけ。」
「……」
「これが、本当の戦争なのですね。」
「リリアちゃん?」
「獣人も魔人も、ニルヴァ城の外に出て初めてみるなかりでした。話に聞くのは被害ばかり。大勢の人々の死ばかりを聞いてきました。ですけど……」
眼前の戦闘は、決して不利な戦いではなかった。
「タカトットでもそうでしたが、多くの戦士は互角に戦えます。大きな被害の要因は2つ。非戦闘員が大勢の巻き込まれた場合、そしてより強い敵がいる場合です。そしてもうすぐその内の一人がここに来ます。」
「そして、一人を倒すために戦う多くの者が死に至る。」
リリアは、苦しそうな表情で目の前の戦いを見つめていた。
日が沈む頃に、後退命令が下り、矢や魔法が届かない程に離れ、夜営が始まった。
「ゾグ砦から直接届かないといっても遠くない。届かないふりをしているかもしれないし、届かせられる敵が新たに来ているかもしれない。過去に宵闇に隠れて獣人が襲撃してきたこともあった。ここは決して安全地帯ではないのだ。警戒はしているが、気をつけてくれ。」
ジュリウスはそう伝えて、他の兵士達を見舞いに行った。
「だが、緊張しすぎてもいいこと無いぞ、このままゆっくり休もうぜ。明日はいよいよ俺達が前衛だ。」
シバスは指定された宿舎に入って行き、ユウキもその後を追った。
ハインケルは医務室に入り、治療を行っているリリアに声をかけた。
「リリア様、明日に障ります。本日はこの辺りで、休息しましょう。」
「ですが……」
「ここにいるのは、安静にしていれば完治出来る者達です。むしろ完治が早まれば、交代要因としてより早く戦闘に出なければならなくなります。一先ず本日はお休みください。」
「……分かりました。」
ハインケルの言葉を聞き入れ、リリアは医務室を出た。すると目の前にジュリウスが居た。
「リリアさん、少し二人きりで話せないかな?」




