011 奇襲
ユウキ、アイカ、シバスはタカトット在住のハンター数人と共に魔獣討伐に来ていた。
「大鶏に止めを刺すなんてやるじゃねぇか!」
「ガキにしては見所あるぜ。ちゃんと動けていたし。ハンターなら直ぐにC位行けるか?」
「ありがとうございます。」
「まあ、せっかくの業物使ってんだそのくらい出来なきゃだめだろ。」
「嬢ちゃん強いな、さすがお抱え魔術師だ。ヒルケーとは大違いだ。」
「うるせー、俺は独学なんだ。ちゃんとした師匠がいれば俺だってよ-。」
「私は師匠だけではありませんよ!」
ユウキとアイカが、若手と中堅のハンター数人に絡まれているのをシバスはA級ハンターのジョウズと共に離れて見ていた。
「シバスが子守りなんてしてるから、どんな奴かと思ったが、普通のガキじゃないか。」
「普通ねぇ。冗談だろ?」
「普通だよ、だからちぐはぐなんだ。見た目、言動、雰囲気と実力、護衛、武器が釣り合ってねえ。」
「……まあ、そうかもな。」
「リッカは? 長期休暇って話は聞いていないが。」
「留守だ、タカトットの宿に居る。さすがにこの時期だ、そんなことしてる場合じゃないって断られたよ。」
「つまり……あいつはそういう事か?」
自然な流れで真剣な目をしてユウキを指差し聞いてきたジョウズに対して、シバスは苦虫を噛み潰したような顔をした。
「……そうだ。」
「どうりで。」
「まだ極秘だ、話すなよ。」
「さすがに分かってる。お前より先輩だ。」
「俺が甘かったか。」
「そういうことだ。」
ジョウズは得意げな顔をして、他のメンバーに声をかけた。
「もう少し休んだら帰るぞ!」
夕焼けになる少し前、タカトットの街壁が見える場所までユウキ達はたどり着いた。ジョウズが足を止め目を開いて驚き叫んだ。
「シバス! タカトットが襲われているぞ!」
「マジかよ!」
「なんですって!」
最前線まで、半月程かかる。小さな村や町が襲われたという話があってもそれはタカトットから離れていた。襲撃されても大事にはならないという油断があった。そのため、一行の殆どは壁内から火の手と煙の見えるタカトットを見ても信じられなかった。
「行かなきゃ!」
ユウキが走り出す。
「待て!」
シバスがすぐに捕まえた。
「俺達が出発してから戻って来るまでで、あの様子だと魔獣じゃなくて魔王軍の可能性が高い。一人で闇雲に向かっても、今のお前じゃ死ぬぞ。」
「…………ですよね。」
「少なくとも仲間で行動するべきだ。アイカ、今日は確か庁舎の方に居る予定で合っているよな?」
「そうです。姫様達はそちらに。」
「ジョウズ! そっちは落ち着いたか!?」
「襲われているのは、俺達の帰る街だ。逃げるわけに行かないよ。」
ハンター達が声を挙げる。
「よし、獣人は素早いから壁を越えたら周囲の警戒を怠るな。何処に何人潜んでいるか分からない。目指すは告知されている避難所、ニルヴァ庁舎だ! 行くぞ!」
「「「「おう!」」」」「「「はい!」」」「「分かりました!」」
街門に着いたユウキが見たのは十数人もの死体だった。
「!」
ユウキを含めて三人が、顔色を青くさせる。
「言っておくぞ、ここにあるのはほんの一部だ。気分が悪くても庁舎に逃げるまで気を張れ!」
シバスが先頭になって門をくぐる。生きている気配を感じないため、生存者も敵もいないとして
さらに進んでいく。
「!」
「ひぃ!」
「チィッ」
ジュエンがホルフに向けられた刃物を防いだ。
「来たぞ!」
その叫びと同時にジョウズは最初の一人を切り伏せる。しかし、既に4人の敵が迫っていた。
「何!」
「嘘だろっ!」
シバスが一人を盾で防ぎ、ユウキを狙ったもう一人に剣を振るい威嚇する。
「ガァァァ-!」
「ドズッ! この野郎!」
ドズは左手を飛ばされ、シェニの槍とエネの剣は空振った。
「来るなよぉ!」
「当たらないっ」
最後の一人は、魔術師の攻撃で近づけなかった。
ユウキは、自分に迫ってきた相手の注目がシバスに逸れたのに気づくとそのまま切りかかった。
「遅い」
「前に行きすぎるな! ユウキ!」
「バカな……」
ユウキの行動に気づいたシバスが、声をあげる。それを隙と見た一人の攻撃を躱し、油断した所を、首をはねた。
「こいつは任せろ。お前らは他の奴を援護しろ。」
「ヒャッハハハハ。」
ジョウズは、ドズの腕を切り飛ばした獣人の動きから、C級では相手にならないと判断した。
アイカは離れた相手が弓を持っていることに気付き、集中させないようにヒルケーと共に攻撃を続け、
ジュエンは、痛みと恐怖で動けないドズとホルフを矢から庇って離れられなかった。
「チィッ」
ユウキの剣を回避した獣人は、もう一人が切られたのを見て動揺し、反撃に移れなかった。そのままユウキと交代したシバスと援護に来たシェニに倒された。
「使えねぇ。」
二人が倒された事を認識した一人は逃亡して、弓使いも、姿を隠した。




