001 異世界召還
学校で勉強して、遊んで、なんでもない1日だった。帰り道、晩御飯何かな? 宿題嫌だな、等を考えていた。夕日が少し眩しく感じて、意識が遠くなって、そして……
「子ども?」
「姫と同じくらいか…」
「本当に成功したのか!」
ガヤガヤ……
いつの間にか少年は、広い部屋の中心にうつぶせになっていた。周囲には、変わった服を着た人々が居て、何人かは、物騒で武器を持っていた。一段高い場所には豪華な衣装を纏った凄そうな人が、飾り付けられた大きな椅子に座っていた。
「司祭よ、精霊剣はどうなっている」
偉そうな人がはっきりと、誰かに問いかけると、周囲の声は止んだ。
「はい、縁は通っています。彼は選ばれし勇者です。」
「そうか」
少年は、何が起きているか分からなかった。少年が身を起こし立ち上がると偉そうな人が語りかけてきた。
「はじめまして、私はアルバートこの場所で一番偉い人と言えば分かるだろうか。ところで言葉は通じているだろうか?」
「えっと、はい」
いきなりすぎて、訳が分からない少年は訊かれたことに答えることしか出来なかった。
「良かったよ、伝承によると問題ないと記されていたが不安だった。だが、こちらの質問を聞き取り返答が出来るなら大丈夫だろう。部屋を移動しよう、ここは広すぎる」
「勇者召還の儀は成功であるとする各自通常警備に戻れ!」
偉そうな人、アルバートの側にいた強そうな人が、大声で伝えると、周囲の人々は大扉から出ていった。そして、「着いて来い」と偉い人が言ったため残った10人程の人達と共に後を着いていくことにした。
「ここだ」
強そうな人がそう言って、扉をノックして返答を確認してから開けた。中には、数名の少女達がいた。座っていいと示された椅子に着く。
「さて、まずは自己紹介からしようか。私はニルヴァ皇国皇帝アルバートという、訳あって君を勇者として召還した者だ、これからいろいろ説明するのでよろしくお願いする。」
「私は騎士団長レイモンドだ、そちらはナルハランドの司祭ノール殿そして、」
「第一皇女リリアですよろしくお願いいたします。」
「後の者は護衛と給仕である、とりあえず私たち4人を覚えておいてくれ。では君の名は?」
「悠紀です、よろしくお願いします。」
「ユウキ君だね、よろしく。さて、まず君を召還した理由について話そう。12年前に世界を征服すると宣言した魔人の王が異界より現れた。その魔王を倒すため力になってほしいというのが私たちの願いだ。」
「魔王ですか」
「そう魔王だ、体が大きく、強く、頑丈な異界の者を倒すには精霊剣アゼルカイトに選ばれた勇者の力が必要なのだ。」
「アゼルカイト」
少年、ユウキは重要そうな単語で相槌を打つことしか出来なかった。
「ノール殿、精霊剣を彼に」
「かしこまりました」
ノール司祭が近づいてきて両手で持った剣を恭しくユウキに渡してきた。受け取ったときに不思議な力としか表現出来ない何かを感じた。
「創世より存在する外敵に抗う剣だ、剣を選ばれし者が持つとき世界より祝福されるという。君が多くの精霊の加護を得たことをこちらも感じ取れたよ。だがそれだけで勝てるなら、私たちは君を召還したりしない。その力を扱う技術を身につけてほしい。」
精霊の加護という不思議な力と精霊剣アゼルカイトという武器を手に持ったことで、ゲームや漫画の主人公になったという高揚感と、僕なんかでいいのだろうかという不安をユウキは抱いた。
「ただし、君が心から戦いたくない嫌だというのであれば、精霊剣に祈るといい、君がいた世界に戻してくれるだろう。」
「帰ることが出来るのですか!」
ユウキは帰るという言葉が聞こえてきて思わず身を乗り出した。
「召還の伝承に帰還についても記されている。召還が出来たのだから帰還も出来るはずだ。ただし、往復は出来ないと思ってほしい。」
帰ることができると聞いて、ユウキは両親を思い出した。心配をかけると思ったが、それでもこの世界での冒険に彼は期待していた。
「そうですか……」
「さてまだまだ色々と話すことはあるが今日はこれから城の中を案内しよう。リリアよろしく頼むよ」
「分かりました御父様、ユウキ様ご案内致します。」
「よろしくお願いします」
とてもかわいい少女だ、ユウキの顔が赤くなった。




