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12・現実はこうなのだから仕方がない

 オッサンと話をして、彼らも若いころは魔物討伐をメインにしていたらしいが、森を駆け巡るのは40にもなると無理があるとの事だった。

 かと言って、肉用になる魔獣は日帰り範囲にはなかなか見つからず、大抵は近隣の村で間借りしながら狩りを行い、加工は村の衆が担当するらしい。


「と言っても、ここの頃は神聖国とイザコザが多いらしくて狩場に入れねぇらしいぞ」


 と、教えてもらった。


 その間にも冒険者が増え、僕らの指導や案内に興味のない人々はさっさと依頼を確認して受付へ向かったりさっそく出ていく者もいる。


 そんな事をしていると梶や楠が階段に姿を現した。


「おい、あれ、鍛冶王の作じゃねぇのか?」


 という野太い声が聞こえ、僕の少し向こうをドワーフらしき巨漢が人をかき分けて階段へと向かっていった。

 それを眺めていた僕と、後ろからやる気なさそうについていくドワーフの目が合った。


「お、ここにも居るじゃねぇか」


 そういって、そのドワーフは僕のところへとやって来た。


「スゲェな。風竜素材かよ。もしかして、加護持ちか?」


 と聞いてくるので頷く。


「なるほどな。で、これはどのくらいの時間で作ってもらえた?」


 と、聞かれたので夕方に採寸して翌日の昼だと答えると唖然としていた。


「そんな短時間でここまでの物を作るかよ!」


 と驚いている。そして、実は、鎧は弓のついでだと、弓も見せる。


「おいおい、そんな弓、どうやって引くんだよ」


 と言われたので、ちょっと引いて見せると驚いている。


「いやいや、ソイツは既に弓じゃねぇだろ。弓の概念から飛び出したナニカだぜ」


 と、笑い出すが、目は先ほどより真剣になり、マジマジと弓を観察している。


「すまねぇが、ちゃんと引き絞って見せてくれ」


 と言われたので引き絞って見せる。教会でもあのドワーフにそうやって見せたな。


 同じように顔を近づけて弓に見入るドワーフ。


「なるほど。コイツは加護持ちじゃねぇと無理だな。が、その仕組み自体は使える」


 と独り言を言っているところに、質問攻めにあう梶や楠、栗原を避けて僕の隣へとやって来た千葉と大池。


「え?コンパウンドボウが作れるんですか!?」


 と、身を乗り出すように聞く千葉にドワーフも驚いている。


「お?おお、作れると思うぞ?ただ、一つを特注で作るとなると、素材の無駄が出るから、最低4張りからになるがな」


 と、腕組みしながら言う。やはりドワーフはこうした新しい技術への挑戦には興味があるらしい。が、教会のように無尽蔵の資金で好きに何でも作れる環境にはない場合、採算性を考えなきゃいけない分、足を踏み出すのにためらいがあるらしい。


「それなら、大池は?あと、誰か居ないか・・・・・・」


 と、大池を巻き込み、さらにモブの標的も探している。


「あのう、それ、私たちでも?」


 と、耳の尖がった金色っぽい毛の獣人が声をかけて来た。どうしてこうも獣人というのは顔面偏差値高いんですかね?またイケメンだよ。


「え?あ、うん、構わない?」


 と、千葉がドワーフに尋ねる。決めるのはドワーフだしな。


「ああ?おお、お前らか。銀級の稼ぎがあるなら問題ねぇ」


 と、切れ長の目をしたイケメンに答えるドワーフ。


「お前たち召喚者の面倒は教会が見るんだろう?」


 と、千葉に聞くドワーフ。どうやらそうであるらしく、千葉が頷く。


「分かった。じゃあ、5日後には出来ている。お前たちは場所分かるな?こいつらも案内してやれ。そうと決まればさっさと帰るか」


 と、そのドワーフは満足げにギルドを後にし、残された獣人二人がこちらへと声を掛けてくる。


「案内役の受注をしようと思うんだけど、私らは君たちについて行こうか」


 近づいてきた二人はエルフ並みの高身長だった。そして、千葉と大池がべつのパーティだと聞いて、自分達も分かれてついていくと言い出した。


「大丈夫大丈夫。もともとはソロでやってたから問題ないよ」


 と言って、うち一人が僕らのパーティに加わる事となった。


 その頃、ようやくドワーフから解放された楠が合流してくる。


「も~う、薙刀と鎧にあそこまで食いついて来るとは思わなかった」


 と、愚痴り出す。僕も絡まれていたことを伝え、案内役となる獣人と大池が千葉の提案に乗って弓の製作依頼を行ったことも伝えた。


「そこまで流れるアンタら凄いわ」


 そりゃあ、そう呆れるしかないよね。僕もそう思う。


 僕らがそんな事をやっていると、他も面々もだいたい案内や指導を行う冒険者が決まったらしい。


「それで、狩りで良いんだよね?だったらムオニオを拠点にしたいんだけど」


 と、獣人が言う。


「ああ、そこは私らがよく拠点にしてる集落で、燻製の巧い職人が居るんだよ」


 と付け加えて来るので、そこへ行くことになった。


 そして、シルッカの村から徒歩で向かうというので、みんな荷物を背負っての移動となった。


「凄いね。加護持ちって、重くないの?」


 と、僕と楠が大量の荷物を背負う姿に驚く獣人。


「普通のリュックくらいかな?重量が三割くらいに感じる」


 と、僕が言うと、楠も同意らしい。


「そうそう、教会で言われたときは信じられなかったけど、これは確かに良いわ」


 ちなみに大池は10kgほどを担いで嫌そうにしている。


「なんか違うぞ、お前ら」


 と言われたが、現実はこうなのだから仕方がない。


 ちなみに獣人もかなりの荷物だが、ケロっとしている。


「まあ、がんばれ。3日もあれば着くし、道中そんな危険な事もないからね」


 そして、野宿しながら拠点となる集落へと向かう途中で、獣人が女性だと判明し、僕が男だと知って双方が驚いた。


「アンタが驚くのはおかしいから」


 と、ジト目の楠に言われたが、なんで?

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