#96 その後……
う〜ん……やりすぎたか、あの後からずっと結衣が寝たままなんだけど。流石に下着だけじゃ寒いだろうからパジャマに着替えさせたんだけど……あれはそこまで刺激的だったのかな? 俺はやられた時がないからわかんないけど、結衣がここまでなってるんだし相当なんだろうな。幸い、媚薬の効果も切れただろうし今後こんな事は二度とないだろう。
結衣にために何かスープでも作ってあげるべきか、それともちゃんとしたご飯の方がいいのか? こういう事にはすごいエネルギーを消費するって聞いた時もある様な気がする。…………そうだ! エネルギーを補給できるスープを作れば良いんだ! そうと決まれば早く準備しないとな!
◇ ◇ ◇
よし、出来た!ニラと卵の中華スープ。中華スープって………美味しいよね。
「結衣〜スープあるよ〜」
「………」
う〜ん反応が無い…………訳ではないな。
つま先を動かしてるからか毛布がぴょこぴょこ動いてる。もはやこれは寝たふりなのだろうか? こういう時は気付いてないふりをするか、それともさっさとバレてるのを伝えるのか………どっちが面白いか。
「結衣〜まだ寝てるの〜?」
「…………」
やばい、まだ寝たふりがバレてないと思って嬉しいのかちょっとだけニヤけてるんだけど。まだまだ子供だなぁ、詰めが甘いというかなんというか全てが中途半端だ。
そろそろ終わりにしよう。
「はぁ……結衣〜起きてるのバレてるよ〜」
「ーー!? いつから気づいてたの!?」
俺がそう言うと結衣はガバッと飛び起きた。その顔は驚きを隠せないと言わんばかりに目を大きく見開いていた。逆にあれを見てどうやったら起きてないと思えるのか教えて欲しいものだ。
「う〜ん、つま先を動かし始めた時くらいから?」
「最初っからばれてたの!?」
「うん。あと寝たふりをするならニヤけない方がいいよ、バレバレだったよ」
「うぅ、恥ずかしい。バレてるなら早く起きれば良かった……」
ま、俺としては面白いのが見れたからなんでも良いけどね。
それにしても結衣は気まずいとか感じないのかな。さっきまであんな事をしてたのに結衣はなんとも無かったように話してくる。俺が気にしすぎだったのかな。
「お腹空いたでしょ、スープあるから冷めないうちに飲んじゃいな」
「やったー! お姉ちゃんのスープ大好き!」
そう言うと結衣は机に置いてあったスープを飲み始めた。
俺はキッチンに置いてたった大量のホットケーキを机に持ってきた。結衣はそれを見るなり表情が曇り始めた。
「あ……それ、冷めちゃったね。食べなくても……いいよ、美味しくないだろうし……」
「………美味しいよ」
「そんなはずないよ。だって、焦がしちゃったし、生焼けだし、冷めちゃったし……」
「結衣、どうして自分で作ったホットケーキなのにそんなに悪く言うの」
「だって………お姉ちゃんみたく上手に出来なかったし……」
「結衣、お料理に一番大切なのはなんだと思う?」
「え………?」
そう言うと結衣は少し考える素振りを見せた。そして首を横に振った。
「お料理に一番大切なのは………“気持ち”なんだよ。あの人に食べさせたい、あの人に食べて欲しい、そう気持ちを込めたお料理はどんなに失敗しても、どれだけ時間が経っても美味しいんだよ」
そう言って俺はお皿に盛られたホットケーキを口に入れる。うん、美味しい。
「けど………」
「もうっ! 一回食べてみなさい!」
「むぐぅっ!?」
何を言っても聞かない結衣の口にホットケーキを突っ込んで無理やり食べさせる。
しょうがないよね、こんなに美味しいのに美味しくないって決めつけて食べさせようとしないんだもん。
「美味しいでしょ?」
「美味しい………」
「わかれば良いのよ! ほら、こんなにいっぱいあるんだから早く食べないと明日になっちゃうよ」
「うん!」
◇ ◇ ◇
「お姉ちゃん、ごめんなさい」
「うん? いきなりどうしたの?」
夜ご飯も食べて、お風呂にも入り終わって寝る準備をしてると急に結衣が謝ってきた。
「その……お姉ちゃん嫌がってたのにあんな事しちゃったし……」
「あ〜、気にしなくても良いよ。それにお姉ちゃんも最後ごめんね、最後怖かったでしょ?」
最後どうでも良くなってやり返しちゃったし、最後なんて結衣が嫌がってたのにいじわるしちゃったし。
「ううん、お姉ちゃんにした事が自分に帰ってきただけだから気にしてないよ」
「そっか、ありがとう。結衣は優しいね」
そう言うとなぜか結衣は部屋を出ていった。そして数分後に枕を持ってきてまた部屋に入ってきた。これは………一緒に寝たいってことかな。
「結衣、自分のお部屋があるでしょ〜」
「む〜今日は一緒にいたい気分なの!」
「まったく、しょうがないわね。まだまだ甘えん坊さんなんだから」
「えへへ〜結衣はいつまでも甘えん坊さんだも〜ん!」
「ふふっじゃあ一緒に寝よっか」
「うん! おやすみ、お姉ちゃん………」
「おやすみ、結衣」
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