#92 【悲報】結衣に彼女ができた・前編
「ちょっえっどういう事!? 彼女できたの!?」
「えへへ〜できちゃった〜」
家に帰ってくるなり唐突に爆弾発言をしてきた結衣に驚きを隠せずにいる。
だってこの前『お姉ちゃんのことが好き!』って言ってくれてたんだよ!? なのに学校に行ったら急に『彼女ができた!』なんて言われたら誰だって驚くでしょ!
「結衣は………お姉ちゃんよりも…………その子の方が良かったんだ…………そっか………」
「お姉ちゃん? どうしてそんなに落ち込んでるの?」
どうして落ち込んでるかって? それは結衣が『お姉ちゃんと付き合う』って言ったのに違う子と付き合い始めるからでしょ!!
「もう良いです! その子と幸せになって下さい!!」
「ちょっと、お姉ちゃんどこ行くの!?」
もうやだ、本気になってた自分が馬鹿みたい!!もう結衣の顔も見たくない!!
「お姉ちゃん……」
***
どうしよう。ふざけて私に彼女ができたって言ったらお姉ちゃん部屋に閉じこもっちゃった。
だってだって! 学校で楓ちゃんから
〜〜回想〜〜
「楓ちゃん、お姉ちゃんにもっと好きを伝えたいんだけど………どうすれば良いかなぁ」
「う〜ん………あっ! 結衣ちゃんに彼女ができたって言えばいいんだよ!」
「え……そしたらお姉ちゃん悲しんじゃうよ?」
「ノンノン!結衣ちゃんに彼女ができたら葵お姉ちゃんも焦って結衣ちゃんのことを本気で手に入れようとするでしょ?だって、葵お姉ちゃんも結衣ちゃんのことが大好きなんだから!」
「……そっか!そうすればお姉ちゃんも私のことを……よし、帰ったら早速やってみる!」
「うん!ガンバ!」
〜〜回想終了〜〜
って事があって、もっとお姉ちゃんとの仲が良くなるって言ってたからやったんだけど………お姉ちゃん予想以上に落ち込んじゃったよ。
私の予想では「結衣!そんな子よりもお姉ちゃんと付き合おうよ!」ってお姉ちゃんからきて私が「しょうがないなぁ〜お姉ちゃんがそこまで言うなら付き合ってあげる!」ってなってお姉ちゃんと正式に付き合うって流れになると思ってたんだけど。
「これ……どうすればいいの?」
お姉ちゃんは部屋にこもっちゃったし、あんなこと言った手前嘘だよって言うのもなんか。
それに嘘って言ってお姉ちゃんになんて言われるか………
「ーー! こういう時はセンパイに聞くのが1番だよね!」
さっそくLIN●で連絡しないと!!
「未空お姉ちゃん助けて!」
『………』
「気づいて!!」
『………』
「おーい!!」
『………』
もう! 全然見てくれないじゃん!! いつもだったらすぐに見て反応してくれるのに!!
未空お姉ちゃんのバカ!
◇ ◇ ◇
未空「なんか馬鹿にされたような……」
未空の友達「どったの?」
未空「なんか誰かに馬鹿にされたような気がした」
未空の友達「………まぁあんたを馬鹿にする人間はいっぱいいるよねぇ」
未空「えっ!? そうなの? 泣きそう」
未空の友達「お〜泣け泣け、そしたら彼女の私が慰めてやんよ」
◇ ◇ ◇
む〜〜未空お姉ちゃんはまったく反応してくれないし、楓ちゃんはスマホとか持ってないから相談は出来ないし。う〜ん…………あっ! 夢未ちゃんがいた! 夢未お姉ちゃんなら出てくれるはず!!
「夢未お姉ちゃん助けて!」
『どうしたの?』
ーー! 良かった夢未お姉ちゃんは反応してくれた。今度からは夢未お姉ちゃんに相談しよ!
「あのね、ーーーって事があって助けて欲しいの」
『あ〜葵お姉ちゃんって一途だからなぁ』
「そうなの?」
『そうだよ、だから結衣ちゃんが彼女できたって聞いてかなりショックを受けただろうし悲しんでると思うよ。それに最初に付き合ってって言ったのは結衣ちゃんの方だから尚更、ね』
「うぅ〜そうだよね。結衣どうすれば良いんだろう」
『う〜んまずは正直に謝るのが一番だね。あとは……甘い物も作ってあげたら?』
「わかった! やってみる」
「あっあと忠告!こうなった葵お姉ちゃんはかなりめんどくさいから気をつけてね」
「ーー?わかった、ありがとう!」
ふむ、とりあえず甘い物………お姉ちゃんって何が好きなんだろう。お姉ちゃんは今まで私に好きな物を教えてくれなかったから何が好きなのかわかんない。
ホットケーキでも作ってみようかな、これなら私でも簡単に出来るだろうしいつもお姉ちゃんが作ってたのを隣で見てたからきっと上手く作れるはず!!
〜〜一時間後〜〜
「あっ! また失敗しちゃった………」
あれから一時間経ったけど全然上手にできない、特にひっくり返すところで毎回失敗しちゃう。焼きすぎて焦げちゃうし、逆に焼けてなくて崩れちゃうし………お姉ちゃんは凄いなぁ、全然失敗しないで綺麗に作ってるんだもん。それに比べて私は………
「結衣! 今!」
「えっ!?お姉ちゃん!?」
急に後ろから声をかけられてびっくりしているとネグリジェ姿のお姉ちゃんがいた………可愛いなぁ。
「ほら早くひっくり返す!! 焦げちゃうでしょ!」
「は、はい!」
なんで急に出てきたんだろう。
「なんでフライ返し一個でやってるの!?」
「え……だって、お姉ちゃんいつも一個でやってるから……」
私がそう言うとお姉ちゃんはため息をついて「はぁ、しっかり教えてあげれば良かった」と言って
「それはお姉ちゃんが慣れてるから、結衣は初めてなんだから二個使いなさい」
そう言って引き出しからもう一個のフライ返しを渡してくれた。
フライ返しを二個にしたらさっきまで全然上手くできなかったのに今度は一発で成功した!
「ありがとうお姉ちゃん!」
「ふん!………あんなに失敗してるとホットケーキが可哀想だったからだし!! 決して結衣の為なんかじゃないかね!」
そう言うとお姉ちゃんは顔を真っ赤にしていた。そして後ろを向いてまた部屋に戻って行こうとしてしまった。
止めなきゃ!
「待って!」
私は急いでお姉ちゃんのネグリジェの裾を引っ張った。
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