#79 お姉ちゃんはキスに弱い
「も〜結衣!たまにって言ったでしょ!」
私がお姉ちゃんの振り向きざまにほっぺたにキスをするとお姉ちゃんは顔を真っ赤にしながら怒っていた。う〜んこれは怒ってるっていうよりも……恥ずかしいのかな?
「えへへ〜だってお姉ちゃん可愛いんだもん!」
「もうっ!そんなに褒めたって何も出ないよ」
そう言いながらもお姉ちゃんは嬉しそうな顔をした。
この前に未空お姉ちゃんとキスの練習したからもう恥ずかしくないし、お姉ちゃんからも「たまにはキスしても良い」って許可も出たからねこれからは隙あらばどんどんキスしちゃうもんね!
「じゃあお姉ちゃんはごはん作ってくるからね」
「うん!手伝って欲しい事あったら呼んでね!」
「ふふっ何かあったら手伝ってもらうよ」
お姉ちゃんはそう言うと台所に向かっていった。私はそれを見届けると毛布をベッドに戻してこたつでiPadを開いた。さっそく未空お姉ちゃんにこの事連絡しないと!
◆◆◆
「未空お姉ちゃん!」
『どうしたの〜?』
「今日ね!お姉ちゃんとキスできたの!」
『お〜凄いじゃん!どうやったの?』
「えっとね、こたつでのんびりしててその時に目を瞑っててもらってその時に」
『お〜!これで一歩前進したね』
「うん!それでね、お姉ちゃんにキスしたらお姉ちゃんのお顔が真っ赤になっちゃってねすごいあたふたしてたの!」
『あ〜葵お兄ちゃんそういうのには弱いからね〜』
「?未空お姉ちゃんもした事あるの?」
『いや、お姉ちゃんはちっちゃい頃にキスした事ある?って聞いただけだよ』
「その時はどんな反応してたの?」
『う〜ん、結構昔だからあんまり覚えてないけど……あたふたしてたのは覚えてたなぁ』
「へぇ〜昔と変わってないんだね」
『まぁ大人はそんなに変わらないから』
「子供は変わりやすいの?」
『……それは葵お兄ちゃんに聞きな。そろそろ勉強の時間だからごめんね!』
「わかった!ありがとう未空お姉ちゃん!勉強頑張ってね!」
◆◆◆
お姉ちゃんは昔からキスとかに弱かったんだぁ〜。まああんな感じだとなんか予想出来ちゃうよね。それにしても……子供は変わりやすいのって聞いた時何で返信に間ができたんだろう?それに自分で答えないでお姉ちゃんに聞いてって言ってたし……何か言いずらい事でもあるのかなぁ。
私はお姉ちゃんに聞こうと思って夜ご飯を作ってるお姉ちゃんのところに向かった。
「ねぇねぇお姉ちゃん」
「うん?どうしたの結衣?」
お姉ちゃんは野菜を切る手を止めてこっちを向いてくれた。
「さっきね未空お姉ちゃんとLIN●でお話ししてたんだけどね、未空お姉ちゃんは子供は変わりやすいって言ってたんだけど、それって本当なの?」
私がそう聞くとお姉ちゃんは驚いたような顔をしたけどすぐに落ち着いたいつもの顔に戻った。
「そうね〜子供は変わりやすいの、とってもね。子供はまだ何色にも染まってないからね」
「……わかんない」
「子供はねちょっとした理由で変わっちゃうの、良い方向にも……悪い方向にも、ね。………お姉ちゃんが結衣を連れてきたのもこの理由があるからなの」
私を連れてきた理由?確かにお姉ちゃんから私を連れてきてくれた理由は聞いたことは無かったなぁ。
「……まあ、結衣はまだ知らなくて良いよ」
「え〜!気になる!」
お姉ちゃんは少し答えるのに躊躇するとそのままはぐらかされてしまった。
「じゃあいつ教えてくれるの?」
私がいつ教えてくれるのか聞くとお姉ちゃんは少し困ったような顔をした。そして何かを諦めたような顔になって
「そうねぇ……結衣がもっと大人になったら………小学校を卒業したら教えてあげる」
と言った。
小学校を卒業したら、か。それじゃああと2年はあるのかぁ、それまでには忘れちゃいそうだなぁ。けど、もしかしてお姉ちゃんは教えたくないのかなぁ。
まあいっか。今はそんな事どうでも良いし、きっとすぐに忘れるよね。
「結衣、人参の皮剥いてくれる?」
「うん、わかった!」
◇
夜ご飯を食べ終わって今はお姉ちゃんとお風呂に入っている。最初は私一人で入ろうと思ってたんだけど、今日は珍しくお姉ちゃんから一緒に入ろって言ってくれたんだ!
「結衣、結衣はお姉ちゃんと過ごすの楽しい?」
二人で湯船に入ってるとお姉ちゃんが私の肩に手を置きながら聞いてきた。
「うん!」
「そっか、じゃあ良かったよ」
「なんで急に聞いてきたの?」
今まで何回も入ってきたけどこんな事は一回も無かった。けど、何でいきなりこんな事聞いてきたんだろう。
「……さっき、結衣がどうしてお姉ちゃんが結衣を連れてきたかって聞いたじゃん?それで、もしかしたら結衣はお姉ちゃんと暮らすのが楽しくないんじゃないかなって思ちゃって」
そう言うとお姉ちゃんは少し悲しそうな顔をしながら理由を言ってくれた。
そっか、いつもは聞かない事をお姉ちゃんに聞いたからお姉ちゃんは心配っていうか怖くなっちゃったのかな。なんか、少し申し訳ないなぁ。
「けど、考え過ぎだったね」
「そうだよ!だって結衣はお姉ちゃんの事大好きだもん!」
私はそう言うとお姉ちゃんの手を握って自分の胸に持ってきた。
「ちょっ結衣!?」
「ほら、こんなにドキドキしてるんだよ。楽しいに決まってるじゃん」
「そうだね」
お姉ちゃんがそう言うと私のほっぺたにそっとキスをしてきた。
「あれ?お姉ちゃん、たまにしかしちゃダメなんじゃなかったっけ?」
「……と、特別だからね!」
ふふっお姉ちゃんもほんとはしたかったんだ!あんな事言ってたけどしたいんだよね!
けど、お姉ちゃんだけキスするのはずるいよね!
私はお姉ちゃんのほっぺたにキスをし返した。
「もうっ!」
「ふっふっふっお姉ちゃんだけ出来るなんて思わないでね!」
相変わらずキスをするとお姉ちゃんは顔を真っ赤にしていた。
やっぱり顔が真っ赤な時のお姉ちゃんは可愛いな〜
「もう……髪の毛洗うよ!」
「は〜い」
◇
お風呂から出て髪の毛も乾かして歯も磨き終わって今はお姉ちゃんのお膝の上でお姉ちゃんの仕事風景を眺めていた。お姉ちゃんは絵がほんとに上手で絵が今にでも動き出しそうなくらいだもん。
「結衣、そろそろ眠くなってきた?」
私がお姉ちゃんの膝の上でうとうとし始めるとお姉ちゃんが作業の手を止めて聞いてきた。
「ううん、まだぁ」
嘘、本当はすごく眠い。寝ても良いならもう今すぐお姉ちゃんの膝の上で寝たいくらい。けど……もっとお姉ちゃんの絵を見てたいって気持ちもある。
「も〜本当は眠いんでしょ?」
お姉ちゃんが私の頭を撫でながら言ってくる。
「うう〜そんなこと無いもん!」
私はそれでもまだお姉ちゃんと一緒にいたいから嘘をつく。
「お姉ちゃん知ってるんだから、結衣が眠い時は自分の髪で遊んでること」
「!?!?」
何で知ってるの!?私はお姉ちゃんに言われるまでずっと髪の毛を指に巻いて遊んでいたのだ。そして私はそれは眠い時にしかしないのだ。
「それでもベッドに行かないの?」
「………」
「しょうがないわね、今日は特別よ。そのまま寝ていいよ」
お姉ちゃんが諦めてこのまま寝ていいって言ってくれた。えへへ〜久しぶりにお姉ちゃんの上で寝るよ〜
「………お姉ちゃん」
「どうしたの?」
「おやすみのちゅーしよ?」
ダメかな、流石に。お姉ちゃんはすごく悩んでる様な気がする。
するとお姉ちゃんが顔を真っ赤にしながら私のほっぺにちゅーをしてきた。
「えへへ〜おやすみ〜」
「おやすみ、結衣」
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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