#6
「「ごちそうさまでした」」
ご飯の時間は初めてのチーズフォンデュを楽しむ結衣をずっと眺めていた。それにしてもチーズフォンデュを食べたことが無いって今まで何を食べてきたんだ?(大袈裟)これからも色々なご飯を作ってあげないとな。それに今回は喜ぶ顔が見えなかったから、次こそは喜ぶようなご飯を作ってみせるぞ!
さてと、皿洗いは結衣がやってくれるそうだしその間に俺は仕事の依頼とかが来てないか確認しないとな。もしこれで信用が薄れたら今後に大きく関わるからな。
「お姉ちゃん終わったよ〜」
「そうか、ありがとな。そしたらお風呂沸かしてあるから入っちゃいな」
俺の家では基本的にご飯→お風呂→自由時間で過ごしてきたため、結衣にもこの通りにしてもらう。やる事終わったら後は何しても良いよって感じだ。
「…」
なんか凄い圧を結衣から感じられる。いや、気のせいかもしれない…気のせいだと信じたい。いやまさか「一緒に入ろ!」なんて言おうと思ってないよな。さすがに親子でもない子と、さらに男女でお風呂に入るのはヤバい。バレたら俺の社会的地位が終わる。
「…結衣さ〜んどうかしましたか…」
「…一緒に入って」
「…無理デス」
「なんで〜?」
「なんでもデス」
すると結衣は目に涙を浮かべ
「…やっと…やっと家族ができたのに……一緒に入ってくれないの?……結衣とお姉ちゃんは…家族じゃなかったの?」
ヤバい、また泣き落としをしてくるつもりだ。だが2回目だ、さすがに今回は流されんぞ!これでも男……男だから!それに小学生は一人で入るもんじゃないのか?俺の高校の時の記憶だと小学生だった従姉妹(小学2年生)は父親から「一緒にお風呂に入ろう」って誘いを断ってたぞ。断られた父親のものすごく悲しげな顔は今でも覚えてる。しかもその子の一緒に入りたくない理由が「お父さんクサイからやだ!」だった、それを聞いて父親は膝から崩れ落ちていた。
「確かにお姉ちゃんと結衣は家族だけど…お姉ちゃんは男だよ?恥ずかしくないの?それに家族だからって小学生になったらほとんどの子は一緒に入らないんだよ?」
「恥ずかしくないもん!たしかにお姉ちゃんは男の子だけどお姉ちゃんでしょ!それに…今まで家族とお風呂に入ったことないから…」
そうか……今まで親から愛情を注がれないでいたから家族で一緒に過ごす事に強い憧れを持ってたのか。だからさっきも「一緒に寝よ」とか言ってたんだな。
俺は普通の家で結衣のことを考えてた、けど結衣は普通じゃない家庭で育った。それなのに俺は…
「結衣は俺と入りたいんだな?」
「…うん」
心を決めろ葵、これは結衣の為だ。
「周りには絶対に言っちゃダメだからな。その約束が守れるんだったら、一緒に入っても良いぞ」
「ほんとっ?ほんとにいいの!」
「良いよ。それじゃあ入っちゃおうか」
よかった泣き止んでくれた。ていうか一緒に入ると思ってなかったから女の子のお風呂のこと何も知らないんだよな。姉ちゃんに聞くか
「うん!」
「それじゃあ先にお風呂場に行って待ってて、お姉ちゃん少しやる事あるから」
「わかった!」
◆
俺は結衣をお風呂場に向かわせるとすぐに電話をかけた
「どうしたの葵?」
?なんか姉ちゃんの声じゃないような?
「…姉ちゃん?」
「あら〜私の声ってそんなに若々しいの?嬉しいわね〜」
この声は…まあ良いか
「朱音〜葵から電話よー!」
「葵からー?わかった、すぐ行く。……どした?」
「姉ちゃん、俺結衣ちゃんとお風呂入rーー」
「警察呼ぶぞ?」
「ごめん姉ちゃん、いまそんな暇無いんだ」
「なんだよせっかちだなぁ。…まあお前がいつもやってるようにしてやれば良いと思うぞ、お前の風呂はほぼ女だからな」
「そうなのか。わかった、ありがとう姉ちゃん」
「そうそうあと一つ。結衣に頼まれたらちゃんと体洗ってやるんだぞ、恥ずかしがらずになw」
「…姉ちゃん、それってdーー」
「ガンバ!」
「ちょっとまっ……切りやがった」
今度母さんに教わりに行くか。
◆
風呂場に行くと結衣が裸になって待っていた!?俺は反射的に顔を逸らす。
「お姉ちゃん遅い!風邪ひいちゃうよ!」
「ゆ、結衣さん、なにゆえ全裸なのでしょうか」
「裸になんないとお風呂に入れないじゃん」
そういう事じゃないんだなぁー俺が聞きたいのは。
「先入ってるね!早く来てね、お姉ちゃん」
そう言って先に入る結衣。俺を待ってないでそうしてればよかったんじゃ?子供の考えてる事はわからんなぁ。俺もさっさと入るか…
お風呂に入ると結衣は湯船に浸かってた。俺もさっさと入るか。
「…お姉ちゃん、お風呂狭い」(けど、これが普通の‘‘家族,,)
「文句言うな〜これは結衣が望んだ事だぞ」
だから入りたくなかったんだよな〜俺は狭い風呂はあまり好きじゃないんだ
「えへへ〜これが普通」
まあ結衣がご満悦そうだからなんでもいいか。にしても、結衣の体はすごく細いな。今までちゃんとしたご飯は食べてきたのかな?心配だな。
そろそろ十分温まったし髪洗って上がるか。
「お姉ちゃんもう出ちゃうの?」
「違うよ〜髪洗うだけだよ。結衣も一緒に洗っちゃう?」
「うん!」
…いつも通りでいいんだよな。
結衣の髪をいつもやってる通りに洗っていく。
「かゆい所無い?」
「ないよ〜」
「それじゃあ流しちゃうね、あとトリートメントもするから大人しくしてるんだよ」
…やっと洗い終わった。緊張ですごい手が震えてた、これにも慣れないと大変な事になりそうだな。
「結衣、先にお風呂から出てる?」
「う〜ん、お姉ちゃん終わるまで待ってる!」
「そう、それじゃあ早く終わらせないと結衣が茹でだこになっちゃうね」
「そしたら美味しく食べて良いよ〜」
「食べないわよ!」
「えへへ〜」
全く調子がいいんだから。まあ長湯するとのぼせちゃうからはやく終わらせるか。