#50 結衣インフルエンザにかかる
俺が朝いつも通り起きると隣では結衣が尋常でない程の汗をかいたまま苦しそうにうなされている結衣がいた。
俺はとりあえず冷蔵庫から冷えピタを持ってきて結衣のおでこに貼る。すると少し顔が緩んで、気持ちよさそうな顔になったような気がした。
とりあえず病院の予約をしないとな。この季節だしインフルエンザにかかってるかもしれないしな。けど……そしたら少し可哀想だな。せっかく明日夢未ちゃん達に会えたのに……いや、まだインフルエンザって決まった訳じゃないんだし決めつけるのは良くないな。俺はそっと結衣の頭を優しく撫でる。
「……お姉ちゃん」
少しして結衣が目を覚ました、けど体を起こすことはなかった。体を起こすのも辛いのか、早く病院に連れて行ってあげないと。ただの風邪だとしてもちゃんと診てもらわないと治るのが遅くなるからな
「結衣、起きてすぐで悪いけど熱測ってくれる?結衣寝てる間にすごく汗かいてたし、顔も赤いから」
「……うん」
俺はそう言って結衣に体温計を渡す。結衣が図り始めたのを確認して俺は冷蔵庫からゼリーを出す。
そして体温計を見ると38度もあった。これは……確定かなぁ。
「結衣食欲はある?」
俺がそう聞くも結衣は首を横に振る。
「結衣これから病院行こうね」
「うん……」
俺は着替えを結衣に渡す。流石に熱がある状態で一人で着替えさせるのは大変そうだったからちょっとだけ手伝ったけど……立ってるのも辛そうだ。
◇
「結衣、大丈夫?辛い?」
俺は隣で辛そうに座っている結衣を安心させるように手を握っている。あれから急いで結衣を病院に連れて行った。辛いからか結衣はずっとぐったりしていて、俺に寄りかかっている状態だ。
「神崎さーん、診察室にお入りください」
病院についてすぐに呼ばれた、予約しててよかったな。この状態で待たせるのは嫌だし結衣も辛いだろうからな。早く横にしてあげたいよ。
「今回はどんな症状ですか?」
診察室に入ると前回お世話になった先生がいた。
「熱が38度くらいあって食欲も無くて立ってるのも辛そうです」
「そうですか、それでは診察をしますね」
それから結衣はインフルエンザの検査をすることになった。
そして結果は無事?陽性だった。先生から薬の処方箋をもらい安静にするように、しっかりと栄養を摂るように言われた。
家に帰って結衣をすぐにベッドに寝かせた。さっきからずっと辛そうにしてて見るのも辛かったからな。
さてと、栄養のあるご飯で食べやすいもの……前はりんごがあったから良かったけど、今は無いからなぁ。かといってお粥とかは食べずらいよな〜どうしよう。
「お姉ちゃん……寒いよ」
俺が考え事をしてると結衣が俺の服の袖を引っ張ってきた。
「そうなの?わかった、毛布持ってくるからちょっと待ってて」
俺はすぐに毛布を持ってきて結衣にかける。
「お姉ちゃん……そばにいる?」
「結衣安心して、お姉ちゃんはずっとそばにいるよ」
「手……握って?」
結衣はスルッと布団の間から小さな手を出してきた。俺はその手を握って
「お姉ちゃんがずっと握ってるから安心して眠りな」
俺がそう言うも結衣は小さく首を横に振って
「……寝るの怖いの。目を瞑ったらどこかに行っちゃいそうなの」
「結衣……大丈夫。お姉ちゃんがずっとそばにいるよ。怖くなったらお姉ちゃんのこと呼んで。そしたら何でもしてあげるから」
「……絶対だよ?」
「うん、絶対」
俺がそう言いながら握る手を強くすると結衣はゆっくり目を閉じていった。そして少しして寝息が聞こえてきた。けど聞こえてくる寝息はいつものような軽いものではなく少し辛そうな感じがする。俺は握っていない方の手で結衣の頭を撫でながら早く良くなりますようにと願う。
少しして結衣が目を覚ました。
「結衣起きれる?それともまだだるい?」
「うん…ちょっと重い」
「そっか、喉渇いたでしょ?ちょっと待っててね、飲み物取ってくるからね」
俺はそう言って握っていた手を離して冷蔵庫から飲み物を持ってくる。
「はい」
「ありがとう……」
結衣はコクコクと水を飲み始めた。よっぽど喉が渇いてたらく、コップに入ってた水を全部飲み干した。近くにペットボトルとか置いといてあげた方がいいかな?その方が俺が近くにいなくても飲めるし。
「それじゃあ……寝なくても良いけど横になってな」
「……うん」
俺がそう言うと結衣はゆっくり横になった。
今後は結衣は手を布団の中にしまったままだった。
「今度は手は握ってなくても良いの?」
「うん。お姉ちゃんが近くにいるだけでいいの」
「そっか」
そういうと結衣はまた眠りについた。
………あ、そういえば薬飲ませてない。食後30分以内って言ってたけど、ご飯食べてないけどお昼時だし飲ませた方が良いのかな?けどな〜もう寝ちゃったしな〜わざわざ起こすのも気が引けるな〜しょうがない、夜ご飯の時に飲ませるか。
◇
もう6時か、夜ご飯作らないとな。さっき買い物に行ってりんごとかゼリーとか買ってきたからな。食べ易いの作ってあげないとな。
今回はリンゴを薄く切って(多少は食べ応えがあるように切る)そこにはちみつとすりおろした生姜を均等に塗って電子レンジで温める。なんかの本で風邪の時こんなのを作ると良いって書いてあったから作ってみた。味も蜂蜜のおかげで甘くて食べやすいだろうし、生姜のおかげで体もぽかぽかになるだろう。
「結衣、ご飯作ったから起きて〜」
「……お姉ちゃん起こして〜」
目を覚ました結衣は両腕を上げて起き上がりやすいようにしている。俺は背中を支えるようにすると結衣は首に手を回して起き上がった。
俺は結衣にさっき作ったリンゴを渡す。
結衣はお皿を受け取り食べ始めた。お腹が空いてたのか結衣はりんごを直ぐに食べ終わった。
「結衣、お薬置いとくから飲んでね〜」
「…うん」
結衣が完食したのを見計らってお皿を回収して、飲み薬を結衣に渡す。
お皿を洗ってベッドに戻ると結衣少しソワソワしていた。そして
「お姉ちゃん、体ベトベトするからお風呂入りたい」
あ〜ずっと寝てたし汗をかいただろうし気持ち悪いよなぁ。けど体が本調子の時にお風呂に入れる訳にはいかないしなぁ。
「ダメ……?」
「う〜んやっぱりまだ元気じゃない時に入るのは危ないからなぁ、今日は我慢できない?」
俺がそう言うと少し結衣が残念そうな顔をした。うぅそんな顔しないでよ、精神がやられちゃうよ。
「ん〜……あっ!お姉ちゃん」
「どうしたの?」
「お姉ちゃんが体拭いてくれれば……」
「え……」
今、なんて?体を……拭いて?は……犯罪臭がする。いや……家族だから大丈夫、だよな?
「わかった、じゃあちょっと待っててね」
俺はお風呂場からタオルを持ってきてお湯で温める。
「お姉ちゃんくすぐったいよ〜」
結衣は俺が脇とかを拭くときゃっきゃと笑う、めっちゃ可愛い!
「はい、おしまい。それじゃあとはもう寝ちゃいなさい」
くすぐったさで逃げる結衣やっとのことで拭き終わる。
「うん……おやすみなさいお姉ちゃん」
「おやすみ、結衣」
そう言うと結衣は目を閉じて眠り始めた。そして少しして「すぅ…すぅ…」といういつもの寝息が聞こえてきた。
結衣の免疫強すぎないか?
皆さま最後まで読んで頂きありがとうございます!今回で50話になりました。最近は読んでくれる人が増えてきて毎日pv数が200を超える事が増えてきました、感謝しています!小説初心者なので所々設定が過去と変わっている所があるかもしれませんが、もしあったとしても温かい目で見守ってくれるか、指摘してくださるとありがたいです!
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