#40 結衣を取り合う二人のお姉ちゃん
結衣視点です
「も〜夢未のせいで疲れちゃったじゃ〜ん」
未空お姉ちゃんがお風呂の淵に寄りかかっている。
「お姉ちゃんが結衣ちゃんのお胸揉もうとするからでしょ!」
私は今夢未お姉ちゃんに髪を洗ってもらっている。最初は断ったんだけど「結衣ちゃんみたいな可愛いお姫様はお姉ちゃんがなんでもしてあげるからね!」って言われちゃって、結局断れなかった。
夢未お姉ちゃんは髪を洗うのがすごく上手で、頭のマッサージもしてくれてるの。
「あ〜あ、私も結衣ちゃんの髪洗いたかったな〜」
「お姉ちゃんはダメ!結衣ちゃんに何するかわかんないもん!」
夢未お姉ちゃん達は相変わらず睨み合ってる。
「結衣ちゃんは私がお世話するの!歳も近いし、気軽に話せるし!」
「けど私には夢未には無い“お姉さん”の部分があるし、それに夢未にはない経験とかも教えられるんだよ〜」
「結衣ちゃんにはまだそういうのは必要ないの!結衣ちゃんには安心できて頼りになる人が必要なの!」
「だったら葵兄ちゃんで良いじゃん」
「男の人に相談しづらい事だってあるでしょ!」
「「む〜!!」」
二人の言い争いがどんどん熱くなってるよ〜……けど私に体はどんどん冷えていってて、ちょっと寒くなってきた。
「…クシュン!」
体が冷えてきてくしゃみが出た。そしたら二人ともこっちを見た。
「あぁっ!ごめんね結衣ちゃん、寒かったよね」
私がくしゃみをした事で夢未お姉ちゃんがシャワーをかけてくれた。
「夢未〜ダメじゃないちゃんと見なきゃ〜私だったらそんな事にはならないけどね」
「……!お姉ちゃんが突っかかってくるからでしょ!」
も〜せっかく二人の空気が変わると思ったのに〜。
二人で交代交代にしたり、じゃんけんでとかで決めればこんなに喧嘩っぽいことしなくて済むのに。
そう思ってると
「それじゃ私は上がるね〜しっかりあったまってから出るんだよ〜」
そう言って未空お姉ちゃんはお風呂を出て行ってしまった。
「夢未お姉ちゃん、良いの?」
「良いの良いの、ほらそれよりお風呂に入っちゃいな冷えちゃったでしょ」
そう言いながら夢未お姉ちゃんは髪についている泡を洗い流す。
「ゆ、夢未お姉ちゃん……ゆ、結衣が洗っても…良い?」
夢未お姉ちゃんが洗ってくれたし、私もやってあげた方が良いよね?
「え?…洗ってくれるの!?」
「う、うん。結衣の洗ってくれたし……い、嫌かな?」
「ううん!すごく嬉しい!ありがとう結衣ちゃん!それじゃあよろしくね」
よかった、けど夢未お姉ちゃんみたく出来るかなぁ
私はお姉ちゃんさっき夢未お姉ちゃんにやってもらったみたいに髪を洗ったりマッサージをする。夢未お姉ちゃんみたく上手には出来ないかもしれないけど、見よう見まねでやってみよう。
「結衣ちゃん髪洗うの上手だね〜もしかしてお姉ちゃんと同じようにやってるの?」
「う、うん。けど…上手くできてるかわかんない」
「ふふっ、上手に出来てるよ」
良かった、上手に出来てるみたい!
「それじゃあ流すね」
「うん。そしたらまたお風呂入ろっか」
そして夢未お姉ちゃんの髪を洗い終わってまたお風呂に入った。
そしたら夢未お姉ちゃんは私を夢未お姉ちゃんの上に座らせて抱くようにお風呂に入った。
「結衣ちゃん、ちゃんとご飯食べてる?」
夢未お姉ちゃんが私の細い腕を触りながら言う。
「ちゃんと食べてるよ」
「それなら良いんだけど…」
「…ゆ、夢未お姉ちゃん聞いても良い?」
「ん?何を?」
「えっと…どうやったらお胸が大きくなるのかなぁって」
私だって女の子だもん。おっぱいの事は気になるし…人並みには大きい方がいいし。それにこの前温泉に行った時に分かったんだけど、楓ちゃんはもうブラジャーをしてたし…。
「ん〜そうだなぁ、毎日ちゃんとご飯食べてちゃんと寝れば大きくなると思うよ」
「そうなの?けど、さっき夢未お姉ちゃん何かしてもらったって言ってたよね?」
「それは……まあ良いか。えっとね、お胸を揉んだら大きくなるって話があったんだけどね…」
「……夢未お姉ちゃん!結衣のやって!」
夢未お姉ちゃんだったら……良いかな?
「結衣ちゃん…実はこの話本当かどうかは分からないの」
「え…そうなの?けど、夢未お姉ちゃんはおっきくなってるのに?」
「う〜ん私はもしかしたらお母さんのが似たかもしれないし…」
お母さんに似るのかなぁ。そしたら私は……
「結衣ちゃん!?どうして泣いてるの!?」
「ゆ、結衣おっきくならないかも…」
「大丈夫ちゃんと大きくなるよ!」
私が泣きそうになると夢未お姉ちゃんが頭を撫でてくれた。
◆
「大丈夫?落ち着いた?」
「…うん」
「それじゃ出よっか。いっぱい泣いたからお水飲まないと結衣ちゃん脱水症状になっちゃうから」
私たちはお風呂を出た。そしたらお姉ちゃんが私の髪と体を拭いてくれた。
パジャマに着替えてお風呂を出るとパパがお酒を飲んでて未空お姉ちゃんは髪を乾かしてた。
「おっずいぶん長く入ってたなぁ〜それじゃあ俺も入って来ようかな〜」
私たちがお風呂から出たのを見て少し酔いかけてるパパが立ちあがろうとする。けどそれを未空お姉ちゃんが肩を押さえて立てないようにしていた。
「葵兄ちゃんお酒入ってる時入ったら危ないでしょ!お風呂は明日の朝にしたら?」
夢未お姉ちゃんもうんうんって頷いてた。
「え〜やだよ〜だってそしたら臭くなっちゃうじゃん。結衣に嫌われちゃうよ〜そんなの嫌だよ〜」
「それじゃせめて酔いが覚めてから入りなよ〜」
「わかったよ〜それじゃ11時になったら起こして〜」
そしてパパは伝言を残してソファーに倒れて寝てしまった。いつもはお酒飲んだりしないのに、何でだろう。
「結衣ちゃん、葵お兄さんっていつもお酒飲んでるの?」
「ううん、いつもは飲んでないよ」
「じゃあなんで……」
私たちが考えてると未空お姉ちゃんが口を開いた。
「私達がいるからだって。いつもは結衣ちゃんが一人だけにしちゃうから飲まないらしいんだけど、今日は私たちがいて一人にならないからだって」
パパ私のために飲まないでいてくれたんだ。
「結衣ちゃん大事にされてるんだね」
「…うん!」
私は少し嬉しくなって口角が上がる。
「未空お姉ちゃん、ドライヤー使い終わったら貸して〜」
「あいよ〜」
◆
私の髪は夢未お姉ちゃんが乾かしてくれた。夢未お姉ちゃんは私の髪を乾かしてる間「サラサラで良いなぁ」とか「やっぱり長い方が女の子っぽいよね〜」とか言ってた。夢未お姉ちゃんも肩よりも髪が長いし、髪もサラサラだと思うんだけどな〜
「結衣ちゃんはいつも何時くらいに寝てるの?」
夢未お姉ちゃんが自分の髪を乾かしてるとそんな事を聞いてきた。
「ん〜いつもは10時30分くらいに寝てるよ」
いつもの寝てる時間を言うと夢未お姉ちゃんはう〜んと言って
「結衣ちゃんはお姉ちゃんと未空お姉ちゃん、どっちと寝たい?」
と聞いてきた。そしてその言葉に未空お姉ちゃんがピクっと反応した。そして
「もちろん未空お姉ちゃんと一緒に寝るよね!」
「えっ?結衣ちゃんは私と寝るんだよ?こんなに仲も良くなったんだから」
未空お姉ちゃんの言葉に当然のように反応する夢未お姉ちゃん。
……これさっきも見たよ〜
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