#37
「とりあえず、ご飯食べよっか?結衣手伝って」
「うん」
「二人は隣の部屋に荷物置いてきな〜」
「「はい!」」
いや〜まあまだまだ会ったばっかりだからな。これから数時間もすれば仲良くなってるでしょ!
一応4人分作っておいてよかった〜
「結衣仲良くできそう?」
「…頑張る」
「二人とも良い子だからきっと仲良くなれるよ」
「うん…」
相変わらず結衣は表情が固い、どうしたらいつもの結衣になるかなぁ。何かきっかけがあれば良いんだけどな〜
「葵兄ちゃん置いてきたよ!何か手伝うことある?」
未空ちゃんが荷物を置いて部屋から出てきた、夢未ちゃんはまだ色々準備してるらしい。
「う〜ん特にないからテレビ見て待ってて」
「りょーかーい」
そして未空ちゃんはテレビを見始めた。そしたらちょうど夢未ちゃんが出てきて姉の姿を見るなり
「お姉ちゃん!何でお兄さんのお手伝いしてないの!お父さんからも手伝うようにって言われたじゃん!」
「え〜けど兄ちゃんが手伝うことは無いって〜」
「普通はそう言うの!!」
二人の言い争いを遠くから結衣が不思議そうに眺めていた。
「お姉ちゃん、二人とも仲悪いの?」
あぁそういう事か、結衣はそういう経験が無いのか。
「いや、二人とも仲は良いと思うよ。ほら“喧嘩をするほど仲がいい”って言うだろ?」
「へ〜」
結衣は興味なさそうに返事をする。
ていうか元気な未空ちゃん、真面目な夢未ちゃんでバランスが取れてるのか。
「それじゃあ結衣この三つ持っていって、それで先食べてて良いよ」
「わかった」
俺はそう言ってプレートを結衣に渡す。
そして俺は自分の分を用意する。今回はパンにしようかと思ったけどホットケーキの粉残ってたからパンケーキを作ってみた。あと、手作りのジャム(いちご味)とメープルシロップ他にもホイップクリームとかも添えてある。
「「頂きまーす!!」」
と元気な二人の声が聞こえてきた。結衣は緊張してるのかロボットみたくなっていた、ちょっと面白い。
俺がテーブルにつくと二人とも美味しそに食べている。やっぱり美味しそうに食べてくれると嬉しいな。
「兄ちゃんまだお菓子作りしてる?」
ふとそんな事を聞かれた。
「ときどき作るかな〜」
「それじゃあ今日教えてくれない?」
「良いけど……何でだ?」
俺がそう聞くと未空ちゃんは顔を真っ赤にしながら「ひ、秘密!」と言われてしまった。まあ秘密なら聞けないよな。なんて思ってると
「お姉ちゃん好きな人出来たんですよね〜妹は何でも知ってるんですよ〜」
「ちょっ夢未!なんで言うんだよ!ていうかなんで知ってるんだよ!」
と悪そうな笑顔を浮かべている妹から暴露されてしまった。こういうのも日常的にあるのかな、バラしたりバラされたり。毎日が楽しそうだ。
「なんで兄ちゃんも笑ってるんだよ!」
「いや〜楽しそうだな〜って。あっ彼氏はどんなのが好きなんだ?好きなのあげた方が好感度高いだろ?」
「彼氏じゃないー!……まだ、か、彼氏じゃないもん」
「まだって事はこれから彼氏になるんだろ?じゃあ尚更じゃないか」
「あーもう!結衣ちゃんからもなんか言ってやってよ!」
そして黙々と食べていた結衣に話を振られる。結衣は予想してなかったのかフリーズしてしまった、そして少ししてから
「い、良いと思う、よ?」
と言った。そしたら「援護射撃は求めてねぇんだよー!」と未空ちゃんが発狂していた。
◇
騒がしい朝ご飯を終えて今は二人がお皿を洗ってくれていた。俺が二人はゆっくりしてなって言ったけど夢未ちゃんに
「お兄さんは結衣ちゃんさんのとこにいてあげてください。人見知りの子は知らない人がいるといつも以上にストレスが溜まっちゃうんです。なので、そういう時は親しい人が近くにいてあげないといけないんですよ!」
と言われてしまった。まあ確かに結衣はずっと緊張しっぱなしだったから近くにいてあげたほうがいいのかもな。
俺は言われた通り結衣の方へ行く。
そしてソファーで座って本を読んでいる隣に座る。結衣は最近ライトノベルにハマっている。けど見ているのは表紙の絵や挿絵とかだ。理由は……その表紙とかは俺が描いたものだからだ。書いた人からしたら嬉しいけど、保護者としては恥ずかしい気もする。
「お姉ちゃん、み、未空ちゃんって、好きな人いるんだよね?」
俺が隣に座るとそんな事を聞かれた。
「ん〜多分な」
「お姉ちゃんはさ、もしだよ、もし結衣に好きな人ができたって聞いたら…どう思う?」
結衣に好きな人、か。ん〜どう思うんだろうな、素直に応援したいような気もするけど……俺から離れていっちゃうような気がして寂しくも感じちゃうな。ていうかこんな事を聞くってことは…
「結衣好きな人いるの?」
俺がそう言うと結衣は急に顔が真っ赤になって耳まで真っ赤になっていた。
「へっ?い、いやいないけど、もしできたら、お、お姉ちゃんは、どう思うのかな〜って」
「ん〜俺は応援するよ、子の幸せは親の幸せだからな!」
そう言うと結衣は「ふ〜ん」と少し嬉しそうな反応をして読書に戻った。
…さっきの話に気になったのかな。
「お兄ちゃん終わったよー!」
「お〜ありがとな〜」
俺は未空ちゃんにそう言うと遅れてきた夢未ちゃんが
「お姉ちゃんは何もしてないでしょ!全部私が洗ってたし拭いてたじゃん!」
「あれ?そうだっけ?」
と笑う未空ちゃん、う〜ん姉ちゃんの血を引いてるな〜。
「あ、あのっ!お兄さん!私の絵見てくれますか?」
「おっいいぞ〜」
夢未ちゃんがそう言ってきた。実は夢未ちゃんも将来は俺みたいな絵を描く人になりたいらしく時間がある時に絵の練習をしているらしい。前のお正月であった時に俺に「お兄さんの弟子にして下さい!」って言われた時はびっくりしたな〜。
「最近描いたのはこれなんですけど……どうですか?」
そう言って見せてきたのは今人気で勢いのある新人Vtuberの綺羅星ヒカリのイラストだった。光さん良かったですね、ファンがちゃんといますよ。
「ん〜良いと思うよ。けども〜少し色の明るさとかは考えた方がいいかな〜このままだとそれぞれの色が主役になっちゃってるから……」
「なるほど、ありがとうございます!」
俺が夢未ちゃんと話をしていると隣からすごく視線を感じる、ジトーっとした視線が凄く感じる!怖いよ結衣〜。
これ以上夢未ちゃんと話してたら命を狙われそうだ。
「結衣も一緒に絵の練習する?」
俺はこの視線を切り抜けるために結衣に提案を出す。
「…うん!」
よかった、あのジトーっとした目からやっといつもの笑顔に戻ってくれた。
それから俺は二人に色々な事を教えながら仕事をしていた。俺が教え終わると二人で一緒に色々な絵を描いていた。いや〜どうなるかと思ったけど仲良くなれそうでよかったよ。
ちなみに俺らが絵の練習をしている時は未空ちゃんは一人で勉強をしていた。
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