#35
「いや〜あの後和葉とよく考えたんだけどね〜子供に学校を休ませてまで旅行に行くのは違うな〜って思ってね」
和葉というのは姉ちゃんの夫だ。ていうか夫と相談しなかったのか……姉ちゃんはしないか。
「まあ大丈夫だよ。それじゃあ明日向かいに行けば良い?」
「いや、うちらが朝送るから大丈夫☆7時には家に着くようにするわ〜」
「りょーかい。後で金は請求するから楽しんできな〜」
「それじゃ☆」
そう言って姉ちゃんは電話を切った。……短縮されちゃったか〜7日くらいだったら莫大な量請求出来たんだけどな〜残念だなぁ。
「お姉ちゃーん?」
なんて考えてるといつまで経っても来ない俺を心配したのか結衣が戻ってきた。
「何かあったの?」
「いや、この前姉ちゃんの子が来るって言ったじゃん、それ覚えてる?」
「うん、覚えてるよ」
「それで〜なんか急に明日からにして欲しいって電話きたんだよね」
「ふ〜ん」
興味なさそうだな。
「結衣は大丈夫?」
「うん」
「そう……今日はご馳走にしよっか!結衣頑張ったもんね!」
俺がそう言うと結衣はパァっと笑顔になった。やっぱり結衣の笑った顔は可愛いなぁ、ずっと見てたいよ〜
「やった!それじゃあ〜パスタがいい!」
「パスタで良いの?もっと特別なやつでも良いんだよ?」
「え〜それじゃあ〜……あっお姉ちゃん!結衣が初めて来た時に作ってくれたやつが良い!!」
最初に作ったやつ……チーズフォンデュか!なんかさっきよりも簡単になったような……もしかして俺が質素なものばっかり作っちゃったから豪華なものが思いつかないのか!?うぅごめんよ結衣。これからはもっと良いもの作ってやるからな!
「お姉ちゃん?どこか悪いの?」
俺がそんな事を思っていると結衣に心配された。
「いや、何でもないよ。よし早く帰ってご飯にしよっか!」
「うん!」
◇
「結衣〜お部屋の掃除はお姉ちゃんがしとくからお風呂入ってきちゃいな〜」
「は〜い」
俺はリビングの掃除をしてくれている結衣に声をかける。運動会で疲れているだろうに、よく手伝ってくれるよ〜。ほんとに結衣は優しいんだよな〜
***
「ふぅ…」
今日は……凄かったなぁ。私は今日の事を湯船に入りながら思い出す。今日は私が通ってる小学校の運動会だった。お姉ちゃんは昨日の夜からお弁当の準備をしてくれたり、忘れ物届けてくれたり、やっぱりお姉ちゃんは凄いなぁ。私もおっきくなったら…お姉ちゃんみたくなれるかな。
それに今日はお姉ちゃんにカッコいい姿も見てもらえた!今日は2回も1位とっちゃったもん。100メートル走は1位の自信あったけど借り物競争は運だから自信がなかったけど、お姉ちゃんが最後私を抱っこしながらゴールしてくれた時はもう……顔がすごく赤くなってたと思う。今思い出しただけで顔が熱くなっちゃいそう!
そういえばお姉ちゃんに借り物競走で何引いたのか聞かれたけど……言えないよ〜だって引いたカードが「好きな人」だったんだもん!これを知ったらお姉ちゃんなんて言うかな……
「………」
なんかのぼせちゃいそう。はやく髪洗っちゃお。
◇
「お姉ちゃんあがったよ〜」
そう言ってリビングに戻るとお姉ちゃんがソファーに横になっていた。
「はいよ〜」
そしてお姉ちゃんはお風呂に向かった。部屋は綺麗に掃除されていて私の部屋も掃除してあった。お姉ちゃん、私と同じくらいしか時間なかったのに、やっぱりお姉ちゃんは凄いなぁ。そして私の部屋には私が取った金メダルが飾られていた。
私は髪を乾かし終わるとリビングでする事がないからソファーでぼーっとしてるとお姉ちゃんがお風呂から出てきた。
「あれ〜結衣寒くないの?寒かったらエアコンつけて良いのに〜」
お姉ちゃんは私がパジャマだけの格好を見て心配するように言ってきた。
「お姉ちゃん大丈夫だよ!お風呂から出たばっかりで体ポカポカだもん!」
「それは出たばかりだからでしょ!もう〜冬はすぐ湯冷めしちゃうんだからあったかくしないとダメでしょ〜」
お姉ちゃんはそう言うと自分が着ていたフリースを私にかけてくれた。
「パジャマだけだとまた風邪ひいちゃうよ。それにこれからはインフルエンザの季節だからそれにも気をつけないと」
「!?」
私は『インフルエンザ』という単語を聞いて肩がビクッとした。
「結衣?どうしたの?」
インフルエンザという単語から連想するのはただ一つ……そう予防接種だ。私は予防摂取がほんとに苦手なのだ。だって針を刺す瞬間すごく怖いし…それにすごく痛い。
「結衣、涙目になってるよ?」
「お、お姉ちゃん、ゆ、結衣、予防接種、す、するの?」
私がそう聞くと「あ〜どうしようかな。今年は結衣もいるし……」なんて言い始めちゃった!絶対に回避しなきゃ!だって……好きな人の前で恥ずかしい姿は見せたくないもん!
「お姉ちゃん今年もしなくていいんじゃない?」
「え〜けど……もしインフルになったら辛くなっちゃうよ?」
「そしたらお姉ちゃんに………辛くならないもん!」
「友達にも会えなくなっちゃうよ?」
「……いいもん!お姉ちゃんがいてくれれば寂しくないもん!!」
私がそう言うとお姉ちゃんは諦めたような顔をして
「今年は………予防接種します!」
と絶望の一言を宣言した。
***
俺が予防接種をすると言ったら結衣は目をうるうるさせて今にでも泣きそうになってしまっていた。え、そんなに嫌だったの?なんかすごく心に来るんだけど。けど今更やっぱりしないなんて言えないし、なんならもう既に予防接種の予約もしてあるからな〜結衣には我慢してもらおう。
「お姉ちゃん……キライ」
「……へ?」
唐突に放たれたその言葉は俺の精神を完璧に打ち砕いた。そして俺はそのままショックのあまりベッドに倒れた。
「お、お姉ちゃん!?ご、ごめん嘘だよ!お姉ちゃんの事は、だ……大好きだよ!」
「ほ、ほんとに!?」
「うん!」
結衣はそう言うと倒れている俺の上にそのまま乗ってきた。あぁ、あったかい。……なんか、眠くなって……きた……。
◇
………今何時!?
そう思って横を見ると結衣が俺の手を握りながら寝ていた。まったく、また毛布もかけずに……風邪ひいちゃうでしょ。俺はそっと結衣の手を外して毛布をかけようとしたら
「ん〜……行かないで〜」
と言ってまた俺の手を握ってきた。……しょうがない、もう少しだけなら良いか。
そして俺もまた眠りについた。
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