#18
……よし、そろそろ起きるか〜今日は出かけないといけn
「お姉ちゃーん♡!」
「ゔっ!!」
起きようとした瞬間に腹部に強烈な痛みが……目を開けると結衣がお腹の上に乗っていた。なんだ、このラノベのような展開は…
「お姉ちゃんだいじょうぶ?」
「結衣……何したの……?」
「えっとね〜今日お姉ちゃんより早く起きちゃったから起こしてあげようかな〜って」
「そ…そうだったの。起こしてくれるのはありがたいけど……お腹の上にダイブするのはやめよ?お姉ちゃん死んじゃうから」
危なかったからな、俺が起きようとして意識を覚醒させてなかったら死んでただろうなぁ。
「わかった!」
……?
「……結衣さん?結衣さんがどけてくれないと動けないんだけど……?」
起きたのに一向に退けようとしない結衣。まあ結衣くらいだったら乗られてても起き上がれる……と思う、多分きっとおそらくメイビー
「……最近お姉ちゃんと一緒にいれてなかったもん」
「毎日一緒にいるでしょ?」
「そういう事じゃないの!今日は離さないもん!」
そう言ってぎゅーっと抱きついてくる結衣。寂しいのかな?
「このままじゃ動けないなぁ………しょうがない、お姉ちゃんちょっと本気出しちゃうぞっ☆」
「へ?キャア!」
抱きついてる結衣をそのまま持ち上げる。結衣はやっぱり恥ずかしそうだけど嬉しそうだ。
「お、お姉ちゃんっ?」
「今日はずっと一緒にいたいんでしょ〜?着替えとトイレ以外はず〜っと一緒にいてあげるからね〜」
「ほんとっやった〜!」
すごく嬉しそうにする結衣……あれ?思ってた反応と違うな〜俺の脳内シュミレーションだと「やっ!」とか「離して!」とかが来ると思ってたんだけどな〜。
「それじゃあ早くご飯食べよっ!もちろんご飯の時もお膝の上でいいんだよねっ!」
「は、ハイ」
そして家を出るまでは大変だった、何をするにもずっと結衣が背中にくっついていた。まぁ結衣からほのかに甘い匂いがしてくるから苦ではなかったんだけどね。
ていうか何で同じジャンプー使ってるのにそんなに良い匂いするの?俺からは何もしないんだけど…
まぁこんなどうでも良い話は置いといて出かけないとな。そろそろ家出ないと約束の時間に間に合わなくなっちゃうからな。
「結衣そろそろ行くから着替えてきな」
ずっと背中にくっついてた結衣はもちろん着替えてない。ちなみに社長との約束の時間は9時だ。今は8時20分だから余裕を持って着くにはあと10分以内に出ないと間に合わない。
「え〜お姉ちゃ〜んが着替えさせて〜」
「しょうがないなぁ。ほら降りて?」
「え〜降りたくな〜い」
「降りないと着替えられないでしょ?それともこのまま行く?」
流石に女の子だからパジャマのままで出かける訳はないだろう。
「行く!」
………無理やり降ろすか。
「は〜い着替えてきてくださいね〜」
「む〜」
嫌々着替えに行く結衣。さて、俺も結衣が着替えてる間に色々準備しないとな。
「はい、終わったよ」
「よし行こっか」
◇
車で走る事10分目的地に着いた。ここら辺には大手の出版社や大企業の本社が集結してる一等地だ。その中で一際大きいこのビルが今日の目的地の『VIKプロダクション』(Virtual・Is・Kingの略)だ。この会社はVチューバー界では最大手の会社らしく、約100名程度のVライバーが所属しているらしい。昨日あった【綺羅星ヒカリ】こと明星光もここに所属している。
ビル内に入ると沢山のVライバーのポスターが貼られていた。その中でも一際目立っているのは『㊗︎500万人突破!』と書かれている綺羅星ヒカリのポスターだった。ヒカリは活動開始からわずか半年で登録者数が500万人を超え、今新人ライバーの中で最も注目されている。
「蒼崎神様でいらっしゃいますか?」
社長との約束の時間まで10分ほどあるためエントランスに飾られていたグッズを眺めていると全身黒スーツの人(美女)に話しかけられた。
「はい、そうですが……あなたは誰ですか?」
「突然失礼しました、私は秋葉社長の秘書をやっております【的場】と申します。では社長がお待ちですので社長室にご案内いたします」
そう言って的場さんに社長室まで案内されることになった。
そしてエレベーターに乗り込もうとしたタイミングで
「すみませ〜ん!私ものせてくださーい!!」
遠くから綺麗な金髪の少女が走ってきていた。そしてそれを見た的場さんは何事もなかったように【閉】のボタンを押そうとしていた。
「ちょちょちょ、待ってあげましょうよ」
「何故ですか?社長との用事には彼女は必要ありませんよ?あと私は彼女があまり好きではありません」
私情でエレベーターを閉めようとするなよ。
「良いじゃないですか少しの間くらい!」
数秒後走ってきていた少女が入ってきた。そして息をしながら
「ありがとうございました!!って的場さんじゃん!」
「おはようございますアイナ様。本日は打ち合わせはありませんよ」
この美少女のアイナは中学生くらいの身長で金髪をサイドテールにしている。そして
「急に呼ばれたのよ〜社長に」
「そうなんですか……休日にあなたに会う事になるとは…厄日ですね」
厄日って!どんだけこの人の事嫌いなんだよ。
「ところであなた達は?」
「あ、初めまして神崎葵です。こっちは娘の結衣です」
「葵さんに結衣ちゃんね。よろしくね!」
うおっ凄く可愛い笑顔だな、笑顔だけで周りの空気が浄化されそうだ。しかも凄い【陽の者】のオーラを感じる。教室の隅で絵を描いてた俺とは対極だな。
「結衣ちゃんは今いくつ?」
俺の後ろに隠れてた結衣にアイナが話しかける。もちろん人見知りの結衣は知らない人に話しかけられておどおどしている。
「え…えっと…」
「あれ〜?緊張してる?大丈夫だよ♪」
そう言って抱き着こうとするアイナ、それから逃げる結衣。二人は俺と的場さんの周りをグルグル回っている。
「アイナ様お辞め下さい。エレベーターの中ですよ」
「え〜良いじゃんちょっとくらい」
「少しくらいは高校生としての自覚を持って行動してください。そんな事をしてるから中学生に見られるんですよ?」
こ、高校生だったのか……てっきり小学校高学年か中学生だと思ってたんだけどな。
そして少しして社長室の前に着いた
「秋葉社長、蒼崎様をお連れしました」
的場さんがそう声をかけると中から
「おっ来たか!入って来てくれ!」
と社長の声が聞こえてきた
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