#17
「ほんとに蒼崎さんなんですか!?」
「うん」
いや〜びっくりするだろうなぁ〜自分の生みの親が目の前にいるんだからな。
「あれ、けどこの前絵は完成しましたって…」
「……」
そうだった…この前連絡入れた時あとちょっとで完成しそうだったから、「完成しました」って言っちゃったんだ。しかもそのすぐ後に結衣が風邪ひいちゃって完成しなかったんだ。
「蒼崎さん、どういう事ですか?」
うわっ凄い。圧がすごい、押し潰されちゃいそうだよ。
「え〜その〜なんというか……」
〈ピンポーン〉
はっ これは、救世主の登場だ!ていうかもうそんな時間か
「ごめん、俺の可愛い娘が帰ってきたみたいだから出てくるね」
逃げるようにその場から離れる。いや〜助かった、サボってたなんて口が裂けても言えないよなぁ
「おかえり、結衣」
「ただいま!お姉ちゃん!!……知らない女いる!誰いるの!!」
「結衣さん!?」
「お姉ちゃん知らない人といちゃダメ!お姉ちゃんは結衣のなの!!」
結衣〜そんなにお姉ちゃんの事が好きなのか〜嬉しいなぁ
「結衣、これは今隣に引っk……」
「お姉ちゃんに近づく害虫は…退治しないとね〜♡」
「結衣さん!?落ち着いて!?」
ヤバいヤバい、結衣の目から光が消えてる!どこから出したのか手にはハサミが握られていた。いやほんとにどこから出したの!?
そして凄い勢いで部屋に入っていく。けど靴はちゃんと揃えていく、真面目だなぁ……って感心してる場合じゃない!急いで止めに行かないと!
「イヤァァアア!」
くそ、もう切りかかったのか!
「二人とも大丈夫ですか!?」
そして部屋に入ると衝撃の光景が広がっていた。
なんと結衣が星空さんの胸に顔を埋められ抱きつかれていて、結衣は暴れていた。しかし星空さんは何事も無かったようにしてるし、光さんは微笑みながら眺めてるし!
「あ、神崎さん。娘さんが姉に飛びかかろうとしてたので止めました」
そして平然と経緯を説明する。この落ち着きようがさらにこの場をカオスにしている。
「あ、えっと、怪我は無い?」
「はい大丈夫です。ところで娘さんどうすれば良いですか?」
いつの間にか手に持ってたハサミは床に転がってるし。
「結衣、こっちにおいで」
そう言うと暴れてた結衣は急に大人しくなってこっちに歩いてきた。その目には涙が浮かんでいた。そして俺の所に来て抱きついて
「ごめんなさい……ごめんなさい…もうしないから怒らないで……」
落ち着いて自分が何を仕出かしたのかに気づいたのか?
「結衣、次はこんな事するんじゃないぞ」
「うん…」
「娘さん大丈夫ですか?」
「はい、今まで二人で暮らして来たのできっと急に知らない人が来て気が動転しただけだと思います」
結衣は初対面の人にすごい弱いからなぁ。けどなんで今回はこんな事になったんだろう?
「ほら、結衣。二人にごめんなさいってしてきな」
「……うん」
巻き付けてた手を離して二人に向かっていく。かわいいなぁ
「…ご…ごめんなさい」
「お姉ちゃん達は気にしてないよ。ね、かなちゃん」
「うん」
謝るとすぐに俺のところに戻ってきて隣に座る。二人も気にして無いって言ってたしよかったな。
「すみません、結衣がお騒がせして。それじゃあ話を戻すけど……」
「お姉ちゃんこの人達だれ!」
「そういえば言ってなかったな。えっとな、この二人は隣に住むことになった光さんと星空さんだ。で、この二人はVチューバーで、光さんは結衣が好きな【綺羅星ヒカリ】さんだ」
「え……」
どうした、急に固まったぞ?
「あら〜結衣ちゃん私のファンなの?嬉しいな〜」
そう言って光るさんは結衣を抱き締める
「……」
あ、だめだ結衣の感情のパラメータが完全に振りきってるわ。
「それで妹の星空さんの絵を見てもらってたんだ」
「結衣ちゃん、お父さんねこれから忙しいくなるから向こうで一緒に遊んでよっか」
ん?忙しいくなる?どういう事だ?
「かなちゃん、神崎さんと絵の要望とか話しちゃいな。その間お姉ちゃん結衣ちゃんと遊んでるから」
「わかった。神崎さんお願いします」
あぁそういう事。まあ俺が悪いししょうがないか
「ほら結衣、行ってきていいぞ」
「う…うん」
すっごい緊張してる。これは人見知りでの緊張なのか、それとも好きな人がいるから緊張してるのか。どっちなんだろうなぁ〜
◇
それから数時間、星空さんとと〜っても有意義な時間になった。はっきり言って見せる前よりも格段に良くなったような気がする。これが客観的に見て修正した結果か。
「ひかりねぇ終わったよ」
「は〜い」
そして隣の部屋から光さんとすごくおしゃれになって満面の笑みの結衣が出てきた。光さんにやって貰ったのかな?凄い嬉しそうだ。
「それじゃあお世話になりました。これからもお願いしますね」
「はい、こちらこそ」
「それでは。結衣ちゃんばいば〜い」
「じゃーねー!」
結衣も光さんと仲良くできてよかったな。
「ひかりねぇ…あれ話さなくて良いの?」
「……?あっ!そうだ社長からの伝言があったんだ」
秋葉社長からの伝言?なんか嫌な予感がするな〜
「神崎さん、社長から『今度の土曜日に会社に来てくれ!話がある!』って伝言があります」
今度の土曜日。で今日は金曜日………明日じゃねえかぁぁぁぁああ!!
「え〜無理って伝えてくれる?」
流石にこんな急には無理だ。
「すみません、伝言には続きがあって『来たら念願だったうち専属にしてやるぞ』と」
「喜んで行かせていただきます!」
「わかりました。伝えておきますね」
専属になったらもっとお金を稼げる。俺はお金を稼ぐためだったら何でもやる男だ。
そして二人は帰って行った。まあ隣なんだけどね。
「結衣ごめんね、びっくりしたよね?」
結衣が帰って来るまでには話を終わらせる予定だった。けど色々あってかなり長引いてしまった。
「ううん、だいじょぶ!それに新しいお友達もできたもん!」
「ならよかった。ところで明日用事ある?」
「ないよ〜」
「それだったらお姉ちゃんと一緒に会社に来る?」
結衣が来てからあまり外に連れてってあげられてないからお出かけしようと思ってたんだよね〜
「行きたい!」
「決まりね!それじゃあ明日は朝早いから早く寝よっか♪」
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