#13 結衣、風邪をひく
【月曜日】
今日もいつも通り目覚ましが鳴る前に起きる。「今週もまた仕事か〜」って普通の人はなるんだろうな〜。その点俺は家での仕事だからはっきり言って平日と休日の違いがない。
「今週も頑張りますか〜それに社長からのあれも終わらせないとそろそろ電話が来そうだしなぁ」
取り敢えず朝ご飯だな、やっぱり朝ご飯を食べないと体にも悪いし、集中力も無くなるし、デメリットしか無いもんな。
最近は朝にパンとかも食べるようになったな。前までは俺一人だったから毎日同じ献立でもよかったけど、さすがに結衣が来てからはなるべく同じのが続かないようにしてる。なぜって?そりゃ毎日同じ物だったら嫌だろ?
今日はホットサンドだ。先日母さんから料理の事を聞いたら次の日にホットサンドメーカーが届いた。そこには手紙も付いていて
【愛する我が娘へ】
結衣ちゃんのためにお料理のお勉強する事はいい事だと思うわ。けど、もう少し聞く時間帯を考えてくれるとお母さんは嬉しいな。それと時々でいいから結衣ちゃんと一緒に家に顔を出してちょうだい。お母さん寂しくて倒れちゃう。
……普通にLI●Eで言えば良くね?
まあこんなどうでもいい話は置いといて早く作んないとな。
「……ん〜」
「お、結衣起きたのか。おはよう」
「…おはよう、お姉ちゃん」
少し結衣の顔が赤いような、寝起きだからか?
「結衣どうした、怖い夢でも見たのか?凄い魘されてたぞ?」
俺が朝起きると隣で結衣が苦しそうに魘されてたのだ。どこか悲しそうでもあった。
「う〜んわかんない」
そう言うと急に結衣は後ろからくっ付いてきた。初めてだな、結衣がこんな事するなんて
「どうしたの、寂しい?」
「わかんない…けど、一緒にいたい」
「そうなの?まあいいけど。もう少しで朝ご飯出来るからね」
「……」
なんかいつもと違うな。体調でも悪いのかな。
「はい、出来たよ。先に食べてな」
「…食べたくない」
珍しいな、今までこんな事無かったのに
「どうして?」
「お腹が変な感じする」
「ん〜食欲が無いの?」
「うん」
もしかして……
「結衣、立ってるのだるい?」
「…うん」
これは…風邪かな。うん。
「結衣ソファーに行って横になってて」
「わかった」
そう言うと結衣はおぼつかない足取りでソファーに向かう。この時期に風邪をひくのは珍しいなぁ。
「ほら、熱測って」
「うん」
数分後……
「お姉ちゃんはいこれ」
結衣から渡された体温計には【37.9℃】と出ていた。風邪の確定演出じゃないですか〜
こんなことしてる場合じゃないな、急いで学校に連絡して、病院の予約もしないと。あーあと楓ちゃんに連絡帳を持ってって貰わないと!
「結衣、熱があるから今日は学校お休みね、あと病院にも行くからね。お姉ちゃんちょっと楓ちゃんに連絡帳渡してくるからここで寝ててね」
「ん〜大丈夫、学校行けるよ〜」
「行けるわけないでしょ。立ってるだけでも辛そうにしてるのに」
ここ最近忙しかったからな、その疲れがきたのかな。
「む〜」
「寝てるんだよ〜」
玄関を出るとちょうど楓ちゃんが出てくる所だった。
「あっ結衣ちゃんのお姉さんだ、おはようございます!」
「おはよう楓ちゃん。今日結衣学校お休みするからこれ持ってってくれる?」
「いいですよ。風邪ひいちゃったんですか?」
「そうみたいなの。引越しとかの疲れが出たのかな?」
「大変ですね、結衣ちゃんにゆっくりしてねって伝えてください!」
「ありがとね〜それじゃ行ってらっしゃい」
「行ってきます!」
よし、連絡帳も渡せたし次は病院だな。
部屋に戻ると結衣はソファーで寝ていた。
「結衣、着替えられる?病院行くよ」
「ん〜着替えられる」
「用意した服そこに置いとくから着替えといてね」
俺も着替えないとな。
「ま、待って…」
袖を結衣に引っ張られた
「やっぱり……着替えるの…手伝って……」
「はいよ〜、ほら肩に手置いて……次はバンザイして?」
「うん」
「はいおしまい。それじゃあマスク付けて待ってて……よし行くよ」
「お姉ちゃん……抱っこ…」
子供って不安な時とか風邪の時はいつも以上に甘えん坊になるって聞いた事あったけど、本当だったんだな。
「はいはい、ほらおいで?」
「ん」
病院が近くにあるって凄い便利だよな〜(徒歩1分)。何気にここら辺って立地いいよな。近くに小学校とか中学校もあるし、病院とかスーパー、駅もそこそこ近い。なのに家賃すごい安いんだよな(東京にしては)
【病院】
病院に着くと数人の親子が待っていた。この時期にも病院に来る人はいるんだな。……って早く受付を済ませないとな
「すみません。予約をしてた神崎です」
「神崎様ですね。診察の準備が出来てますので通路をまっすぐ行った2番のお部屋に入ってください」
「ありがとうございます」
診察室に入ると若い女性の医者が待っていた。
「こんにちは、お願いします」
「はい、こんにちは。それでは症状を教えてください」
「朝起きた時………で今に至ります。熱は先ほど測った時に38℃近くまでありました」
「風邪ですね。お薬出しておくのでそれを飲ませて安静にさせて下さい。結衣さんは一度吸引の薬を飲んでいただくので移動お願いします。お母様はお薬に説明がありますので残ってください」
医者がそう言った瞬間に抱っこされてた結衣が急にキュッと握る力を強めて
「や!お姉ちゃんと…離れたくない…」
「結衣、お薬飲まないともっと辛くなるよ?」
「それでいいもんっお姉ちゃんがいればいいもん!」
結衣がぐずり出すとそれを見てた医者が
「結衣ちゃん、お薬飲まないとお姉ちゃんとバイバイしないといけなくなっちゃうよ。それにお薬はすぐ終わるから大丈夫」
そう言って優しく結衣の頭を撫でる
「…すぐ終わる?」
「ちょっと吸うだけだからすぐ終わるよ」
「……行く」
結衣〜よく頑張ったね!今すぐ抱き締めたいけどガマン。
「天野さん、結衣さん連れてってください」
「は〜い、結衣ちゃんすぐ終わるからね」
天野さんと呼ばれてた看護師さんが結衣を連れて別室に向かう
「それではお母様に伝えたいのは1つです。お子さんの近くにずっといてあげてください」
「近くにいる、ですか?」
薬の話はどこ行ったんだ?
「ええ、子供は不安な時や風邪の時とかはすごく精神が不安定な状態になります。そのため信頼できる大人が近くにいる事で安心する事ができ、治りも早くなります。さらに言ってしまえばお母様は結衣さんにすごく信頼されてます。きっとお母様が心の支えになってるはずです」
「わかりました」
話を終えると結衣が帰ってきた。
「お姉ちゃん!」
帰って来るなりすぐに両腕を広げて抱っこのポーズをしてくる。
抱っこをすると
「結衣ちゃんすごく大人しかったですよ」
と伝えてきた。よかった、暴れはしなかったか。
「それでは隣の薬局に行ってお薬を貰って安静にさせておいてください。ではお大事に」
「ありがとうございました」
「……ありがとう」
結衣がほんとに小さな声でお礼をすると医者は小さく手を振っていた。なんか和むなぁ
さ、はやく薬もらって帰らないとな
最後まで読んで頂きありがとうございます。
いいね、ブックマークをしてくれると嬉しいです。コメントなどもお願いします!




