#130 結衣と奈那ちゃん
お買い物をしている最中結衣はずっと手を握り続けていて、まるで今まで我慢してきた分を取り戻すかのようだった。周りからはただ単に仲のいい親子か姉妹に見えただろうから変な目では見られなかった。そしてしーちゃん達と合流してお買い物が終わった。
家に帰っても結衣はベッタリくっついたままでそれを見ていた奈那ちゃんも真似するようにお母さんに後ろからベッタリくっ付いていた。
「奈那〜どうしたの急に」
「お姉ちゃんもやってるから!」
奈那ちゃんは家ではそんな事をしないからかしーちゃんは困惑の顔を浮かべていた。
けど……………奈那ちゃんとしーちゃんの組み合わせも可愛いなぁ、結衣とはまた違った可愛さがある。結衣はもう親に甘える程の歳じゃないけど甘えるっていうギャップも可愛いんだけど、奈那ちゃんの場合は年相応って感じだから純粋な可愛さがある。
まあ要するに、幸せ空間ってこと。
「奈那〜暑いから離れて〜」
「やぁー!ママとずっといるもん!」
「うぅ…………あーちゃんなんて事してくれたのよ……………」
「うえっ!?あたしが悪いの!?」
なんで私が悪いことになってるの?確かに結衣がくっつき始めたのが原因だけど、真似したのは奈那ちゃんじゃん。それにくっつかれても今は窓も開けてて涼しい風が入ってきてるからそこまで暑くないと思うんだけどな。
「子供、特にちっちゃい子は体温が高いのよ!」
「へぇー」
「あーもう!いいわよ!」
あらら、怒っちゃった。けど奈那ちゃんを引き剥がそうとはしないんだ。まあ母親だし、奈那ちゃんのことが嫌いなわけでもないから引き剥がしはしないか。
「ほら奈那、結衣お姉ちゃんが遊んでくれるって行ってきな」
けど限界が来たのか奈那ちゃんを結衣に預け始めた。
まあこっちもちょっと動きずらくなってきたから離れてもらうか。
「結衣も奈那ちゃんと遊んできたら?お姉ちゃん達夜ご飯作っちゃうから」
「「えーやだ!!」」
「「…………」」
2人の声が重なって抱きしめる力が強くなった。これは……………どうしよう、しーちゃんが鬼の形相でこっちを睨みつけてきてるんだけど。これ最悪私の命刈り取られたりする?
「結衣〜そこをなんとか!今度なんでもしてあげるから!!」
「む〜お姉ちゃんがそこまで言うなら…………」
そう言うと結衣は仕方なく掴んでた手を離して離れていった。離れていく後ろ姿は哀愁が漂っていて見ているこっちまで悲しい気分になっていく。
「ほら、結衣ちゃんも行ったし奈那も離れよ?」
「むーー」
しーちゃんにそう言われた奈那ちゃんもイヤイヤ手を離して結衣の方に歩いて行った。
「いや〜あーちゃんも大変そうlだね」
「そう?まあ大変だけどああいうのが可愛いところじゃない?」
「半年後には小学生になるのに親にこんなにべったりで大丈夫かなぁっていっつも思うんだよね」
「ん〜大丈夫じゃない?女の子って真面目だし、なんだかんだでしっかりとした子に成長するでしょ」
「そうだといいんだけどねぇー」
◇ ◇ ◇
「結衣、手伝ってー!」
「はーい!」
夜ご飯を作り終わってあとは運ぶだけになったから結衣を呼ぶ。あれから結衣は奈那ちゃんと本を読んだりテレビを見たりして仲良く2人で過ごしていた。
「奈那もお手伝いしてー」
「…………」
しーちゃんが奈那ちゃんを呼ぶけど返事が返ってこない。しーちゃんが不思議そうに思っていると結衣が口を開いた。
「あっ奈那ちゃん今寝ちゃってます………」
「えっそうなの?」
結衣の話だとソファーで一緒に本を読んでたらいつの間にか寝落ちしてしまったらしい。
「じゃあ準備が終わるまでは寝かせてあげるか。ありがとね結衣ちゃん」
「は、はい!」
結衣はまだしーちゃんに慣れてないからか話終わるとすぐに私の後ろに隠れるようにこっちに走ってきた。相変わらず人見知りは無くならないけど、これが結衣の可愛いところなのかな。
「じゃあ結衣はお箸とか麦茶用意してね」
「わかった!」
そしてご飯の準備が終わって、しーちゃんが奈那ちゃんのことを起こした。
「「いただきます!」」
今日の夜ご飯はクリームソースとトマトソースを使ったニョッキとパンだ。スーパーに行ったら安かったし、しーちゃんの家ではあんまりこういうのはやらないって言ってたからちょうど良いという事でこれに決まった。
「ママ、これなに?」
奈那ちゃんが自分のお皿に盛られたニョッキをフォークでツンツンとしながら聞いていた。あんまり有名なやつじゃないし、知らないのは無理は無いよね。
「これはニョッキって言ってジャガイモで作った……………パスタ?」
「パスタだね」
「だって!」
「へぇ〜」
◇ ◇ ◇
「奈那ちゃん美味しかった?」
「うん!なんかブニブニしてて面白かった!!」
奈那ちゃんはニコニコの笑顔で言ってくれた。
あ〜可愛いなぁ、まだまだ純粋で心が汚れてないから出来る笑顔だよね。
「……………」
後ろから凄い視線を感じる、なんというか………………嫉妬9割:悲しさ1割の視線を感じる。この視線は…………
「結衣ちゃ〜ん?」
「お姉ちゃん………………許さないから」
「……………」
終わった……………
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