#11
今日は初めての結衣の登校日。ちゃんと学校で自己紹介出来てるかな?みんなと仲良くできてるかな?凄い心配になっちゃう。こんなんじゃ全然仕事に集中できないよぉ。
3時半ごろ〈ピンポーン〉
インターホンが鳴った。もしかして帰ってきたのかな?
「はーい」
「ただいま!お姉ちゃん!」
「おかえり〜今開けるからちょっと待ってな〜」
急いで玄関の鍵を開ける。そしてドアを開けるといきなり結衣が抱きついてきた。……もしかして学校でなんかあった!?
「結衣どうしたの?なんかあった?」
「…お姉ちゃん、お友達いっぱいできたよ!」
おお、良かった。いきなり抱き付いてきたからなんか起きたのかと思ったよ。
「そうか、それは良かった。どうだ、学校は楽しいか?」
「うん!クラスのみんなすごく優しかった!それにね、学校をみんなで案内してくれたの!」
結衣がクラスに馴染めそうで良かったなぁ。たぶん楓ちゃんの力もあるんだろうな、あの子はクラスの人気者だって先生も言ってたし。
「それじゃあ毎日楽しみだな!」
「うん!」
この様子だったら心配とかはしなくても大丈夫そうだな。前の学校は途中から行ってなかったって聞いてたから心配だったけど。
「そうだ、おやつにプリン作ったんだけど食べる?」
「食べる!」
「わかった、準備するから手ぇ洗ってきな」
「うん!」
仕事のアイデアが出ない時とかに気分転換でお菓子作りをするんだけどほんとに楽しいんだよね〜。それにそれで人を喜ばせる事が出来るし。そういえば母さんから「あんたそんなにお菓子作りが得意ならパティシエになったら良いじゃない。生活できるか分かんないイラストレーターになるんだったら」なんて言われたんだよな〜懐かしいなぁ。
「お姉ちゃん手洗ったよ!」
「それじゃこれ持ってって食べな〜」
結衣に葵特製プリンアラモードを渡す。いや〜初めてのおやつだから少し張り切り過ぎちゃったかな〜?
「うわっすごい重い」
「多かったら残していいよ、ちょっと大きくし過ぎちゃったから」
これには〈プリン・アイス・さくらんぼ・ホイップクリーム・装飾チョコ(自作)・ポッキーetc〉を使ってる。だって甘い物に甘い物を加えたら美味しさは倍以上になるもん!……なるよね?
「お姉ちゃんこれすごい美味しいよ〜」
結衣さんに好評で何よりです
「そう、良かった〜結衣も甘いの好き?」
「大好き!」
「それなら毎日おやつ作ってあげるからね!何か希望とかある?」
やっぱりおやつは好きな物を食べたいよね!(お茶を飲む)
「う〜ん…この…クロカン…ブッシュ?っていうの食べてみたい!」
「ブフォ!ゴホッゴホッ…」
「お姉ちゃん!?大丈夫?」
「う、うん」
結衣はiPadの画面上に結婚式場で天高く積み上がるクロカンブッシュを映し出していた。……え、これを作れと?いや〜ま〜作ろうと思えば作れるけど……まさかこんなのを注文されるとは思わなかったなぁ。
(※クロカンブッシュとは小さなシュークリームを積み上げ飴で固めたフランス発祥のお菓子。主にウエディングケーキとして結婚式で出される)
「やっぱりできない〜?」
「いや大丈夫!お姉ちゃんに任せない!!」
「ほんとっ!?楽しみだなぁ〜」
う……つい見栄を張っちゃったけど、ヤバいな〜(主に金銭面で)。明日は仕事してる場合じゃないな。
ていうかそれの材料あったかな〜シュークリームは買った物を使うとして〜フルーツとか花(食用)は買わないとな〜、それに飴の材料も買わないと。これは今日中に買い物行かないとな。
「お姉ちゃんちょっと夜ご飯とかの買い物行くんだけど結衣はどうする?一緒に行く?」
「行く!一人じゃつまんないもん」
「よし、それじゃあお姉ちゃん準備するからゆっくり食べて待っててね〜」
準備って言っても髪をとかすとかそこら辺しかしないんだけどね。
「お姉ちゃんってお化粧とかってしないの〜?」
プリンを食べ終えた結衣がそんな事を言う
「う〜んお姉ちゃんはお姉ちゃんだけど男の子だからお化粧する必要がないんだよな〜」
男で化粧ってするの?最近の男の子はオシャレさんだからお化粧するのかな?
「えーお姉ちゃん美人さんだから絶対したほうが良いよ〜」
「結衣ちゃん、良い事を教えてあげよう。スッピンで綺麗な人は化粧はしなくても良いのよ!」
「ってことは咲先生はブスなの!?」
う〜んそうじゃない!
「そういう事じゃないな〜。…結衣はお化粧してみたいの?」
「へ…そ、そういう訳じゃ、ないけど……けど…」
そう言って顔を赤くさせる結衣
わかりやすい、凄いわかりやすい
「結衣、こっちにおいで。お化粧させたげる」
「い、いや、だいじょぶだよ…」
「ほんとにいいの?ほんとに?」
「う〜いじわるー」
あら、拗ねちゃった。素直じゃないな〜まあそういう所も可愛いんだけどね。
「ほら、おいで」
「…ん!」
俺の前に座った結衣に軽く化粧をさせる。いや〜姉ちゃんに化粧の仕方教えて貰っててよかった〜
結衣は土台が可愛いのにさらに化粧なんかをしちゃったら……横を歩く人みんな振り返っちゃうよ〜
「ほら、終わったよ〜鏡見てみな」
「うわ〜」
やっぱりちょっとお化粧しただけで全然違うな〜
「さっ早く買い物に行くよ〜結衣は宿題を、やんないといけないからね〜」
「えー!宿題やりたくない!」
「だ〜め、宿題やらないと夜ご飯無しにするからね」
「……家出する」
「ごめんって、出てかないで〜」
「えへへっ」「ふふっ」
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