#99 準備
いつものように学校からの宿題を終わらせて動画を見ていると未空お姉ちゃんからメッセージが届いた。
そしてそのメッセージを見て驚愕した。
『結衣ちゃんは葵お姉ちゃんの誕生日プレゼント用意した?』
「え? お姉ちゃんの誕生日っていつなの?」
『来週の土曜日、5月14日だよ。知らなかったの?』
うそ……でしょ。そんなの聞いてなかったし、教えてもくれなかった。どうしよう、絶対お姉ちゃんの誕生日はお祝いしてあげようと思ってたのに未空お姉ちゃんから教えてもらってなかったら危うく来年まで待つことになっちゃう所だった!
「知らなかった。教えてくれてありがとう!」
『いいよ、ところでプレゼントの用意ってどうするの?』
どうするも何も今週中に買いに行かないといけないじゃん! けど………一人でお買い物に行くって言ってもお姉ちゃん心配性だから「結衣だけで行って何かに巻き込まれたらお姉ちゃん死んじゃう!」って言って絶対についてきちゃうし………
「今週末空いてる?」
『いいよ、一緒に探そっか。きっとそうでもしないと葵お姉ちゃんの事だから「一緒に行く」なんて言ってくるしね』
さすが未空お姉ちゃん、よく分かってる。
『じゃあ………今週の土曜日に10時にお迎えに行くね!』
「わかった!」
そして未空お姉ちゃんとの会話は終わった。
ふふっお姉ちゃんの為のお買い物、楽しみだなぁ。そうだっ! 今のうちにお姉ちゃんの好みとか聞いておかないと!
◇ ◇ ◇
そして約束の土曜日になった。
お出かけの準備を終わらせて今は未空ちゃん達が家に来るのを待ってる。そういえばどうやって来るんだろう? やっぱり電車でくるのかな?なんて考えてると
〈ピンポーン〉
来たかな?
「はーい!」
そして玄関を開けるとそこには……
「おはよう、結衣ちゃん」
「お、おはようございます! 朱音さん!」
未空ちゃん達のお母さんの朱子さんが立っていてその後ろに未空ちゃんがいた。なんで朱音さんも一緒にいるんだろう?
「あ〜大丈夫、今日は葵に用があってついてきただけだから、お買い物楽しんできてね」
お姉ちゃんに用があって………それは災難だなぁ。
「そうなんですか、あっけどお姉ちゃん今はいないですよ?」
「え、そうなの? 珍しいわね、葵が家を出てるなんて」
「あ〜けど多分すぐ戻ってくると思うので家の中で待っててください」
「そう、わかったわ。じゃあ未空しっかり見てるんだよ」
「わかってるって! 行こっ結衣ちゃん」
「うん! じゃあ留守お願いします」
「はいよ〜」
そして私は朱子さんに家を任せて未空ちゃんとお買い物に向かった。
◇ ◇ ◇
「未空お姉ちゃん、お姉ちゃんの好きな物ってわかる?」
今日はいつも言ってるショッピングセンターじゃなくて未空お姉ちゃん達が住んでる方にあるショッピングセンターに来ている。家から電車で30分くらいで着いた。
「う〜ん、食べ物とかはわかるけど…………性別も変わったからわからない事が多いんだよねぇ」
「そうだよねぇ。まあいっか、見て回ってから決めよ!」
「そうだね。あ、あと予算が足りないなら少しくらいはお姉ちゃんが出してあげるからね」
【1件目・アクセサリーショップ】
「これなんてどうかな? ネックレス」
アクセサリーショップに入って色々探していると未空ちゃんがネックレスを持ってきてくれた。
確かにお姉ちゃんの雰囲気に合う青色のジュエルっぽいのが付いたのは似合いそうだけど…………
「未空お姉ちゃん、その………予算が7000円までなの………」
「あ……その、ごめん」
良いなとは思ったんだけどそれの値段が………【18,000】これは買えないかなぁ。
ネックレス・却下
【2件目・お洋服】
「未空お姉ちゃん、これなんてどうかな?」
私はお店で見つけた【娘・LOVE♡】と書かれたTシャツを見せた。それを見た未空お姉ちゃんは苦笑いを浮かべてる。
「う〜ん………葵お姉ちゃんは確かに結衣ちゃんのことは大好きだろうけど、やめておいた方がいいと思うな」
「そっかぁ」
値段も4千円で良い感じだと思ったんだけど、冷静になって考えてみると友達のお母さんがこんなTシャツ着てたら嫌だね。
【娘・LOVE♡】洋服・却下
【3件目・調理器具】
「う〜ん………」
「結衣ちゃん、そんなに悩んでどうしたの?」
「えっと、良い包丁があったんだけど高くて………」
そう言って見ていた包丁を指差す。その包丁の値段は【10,000】と書かれていた。これは予算オーバーだけど長い目で見るなら買ってもいいんだけど………
「これくらいならお姉ちゃんも出してあげるよ?」
「う〜ん、もう少し他のところ見てから決めるね」
包丁・保留
【4件目・電気屋】
そういえば最近、「モニターもう一枚欲しいよぉー!」ってお姉ちゃんが叫んでたような………モニターってどれくらいのお値段なんだろう? 【10,000】かぁ〜包丁と同じくらい………どうしようかな。
「モニターかぁ〜、確かにパソコンをよく使うなら1、2枚じゃ足りないよねぇ」
「そうそう、最近欲しいって言ってたし」
「どうする? これにする?」
「ん〜もう少し考える!」
モニター・保留
◇ ◇ ◇
「「疲れたぁ〜」」
あの後にも色んなところを回ってプレゼントをどうするか決めていた。そして候補が【包丁・モニター・お化粧道具・枕】の四つまでなんとか絞り込んだ。
「結衣ちゃん、もうそろそろ決めないと帰る時間になっちゃうよ?」
「う〜ん……………決めた!」
「おっ何にするの!?」
「プレゼンとは……………にする!」
「それにしたんだ、じゃあ買いに行こっか!」
そして私たちはそれを買いに行った。
◆ ◆ ◆
時間を少し遡って朝、紅音達がきた時に戻る。
家に帰るとリビングに姉ちゃんが座ってコーヒーを飲んでいる姿が見えた。
結衣達はお買い物に行ったのかな? お姉ちゃんも一緒に行きたかったなぁー!
「おっやぁ〜っと帰ってきた。お姉ちゃん暇だったんだよ?」
「ごめんごめん、ゴミ捨てに行っててさ。ところでなんで急に来たの?」
「あぁ、そうだった。来週葵の誕生日じゃん?」
あ〜そういえばそうだったな。もう1年経つのか、歳はとりたくないなぁ。
「誕生日プレゼントは何がいいか聞きに来たんだ」
「ん〜何でもいいけど欲を言えば、包丁・モニター・棚が欲しいかなぁ」
「そう、じゃあその中から何か選んで郵送するわ。楽しみにしててね」
「うん」
そう言って麦茶を飲む。やっぱり麦茶が一番だよね。
「どう、最近は? 結衣ちゃんと仲良くやってる?」
「大丈夫だよ、この前にはお花見にも行ったんだよ。綺麗だったなぁ」
「ふふっ大丈夫そうね。困ったらいつでも頼っていいからね」
「おうっ!」
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