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男の娘(成人済み)は小学生と暮らす  作者: リアン
5年生編
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#98 遅めのお花見

「結衣〜今週末空いてる〜?」


「空いてるよ〜なんで〜?」


4月も終わりが近づいてきた、その中で俺は春にやる行事をやっていないことに気づいた。それは………お花見だ! ニュースでもうそろそろで花が散っていくと聞いていてもたってもいられなくなったのだ。それに本当だったら春休みにやりたかったんだけど俺の手術のせいで出来なかった。だからやるとしたら今週末か来年になってしまう。


「お花見に行こうと思ってるんだけど、行きたい?」


「行く!!」


おぉ良い反応だ。


「じゃあ決まりね。楽しみだね」


「うん!」


◇ ◇ ◇


そして土曜日になった。元々は日曜日に行く予定だったんだけど、その日は天気が崩れそうで危ないって事で土曜日になった。


俺たちは家から少し離れたところにある大きい公園に向かった。そこにはたくさんの桜の木が植えられていて毎年三月になると満開の桜で公園が彩られ沢山の人が訪れる。特に人気な所が一本道の両脇に沢山の桜が咲き乱れ桜のアーチが作られている場所だ。そこでは毎年たくさんの人が花見を楽しんでいる。


しかし俺たちが向かっているところはそこじゃない。私たちが向かっているのは公園のはずれにある一本の桜の木のところだった。ここは昨日俺が花見の下見に来た時に見つけたとっておきの場所だ。ここは中心から外れた場所にあるから人の目を気にしないで結衣と楽しむことができる。けどなによりもこの一本の木を二人だけで観れるというのに惹かれたんだ。


「結衣、着いたよ」


「わぁ〜なんかいっぱいの桜に包まれるのも良いけど、こういう一本だけを見るのも良いね」


「でしょ〜結衣のためにお姉ちゃん昨日頑張って探したんだ〜」


「えへへっありがとうお姉ちゃん」


「いいの、お姉ちゃんも結衣が喜んでくれると思ってやっただけだから。ほら、はやくお花見しよ」


俺はそう言って桜の木の前にポツンと置かれていたベンチに腰をかけた。

ベンチに座って持ってきていたお弁当とちょっとしたお菓子を用意してお花見の準備を終わらせた。


「今日も豪華だね」


「当たり前でしょ♪ 折角の結衣とのお花見デートなんだから」


「へっ!? そそ、そういうの急に言うのやめてよ!」


『デート』という単語の敏感に反応する結衣。

結衣もしたいと思ってたんだけどなぁ。


「え〜なんで〜? 結衣だってデートしたかったんじゃないの?」


「したいけどさぁ…………そういうの急に言うのは…………違うと思う………」


「じゃあ前もって言った方がいい?」


「う〜ん……それはそれでやだなぁ」


じゃあどうすれば良いのよ。


「あ〜もう! 早くお弁当食べよ!」


「そうね、デートとか考えるのはもっと後でも良いもんね」


「そうそう! じゃあさっそく唐揚げも〜らい!」


そう言うと結衣は唐揚げを取って口に放り込んだ。まったく、結衣の口は小さいのにそんなに大きい唐揚げを放り込んだら………


「うっ! こりぇ………おほきい……」


「結衣〜今日は少し大きめに作ったって言ってたでしょ〜」


なんとか結衣は大きい唐揚げを飲み込んで水を飲んだ。

今日のおかずはいつもより大きめに作ったから、いつも通りに食べちゃうと少しキツイかもしれない。なんで大きくしたかっていうといつもは食べやすいように一口サイズで作ってたんだけどそれだとパクパク食べちゃってすぐに無くなっちゃってせっかくの楽しむ時間が減っちゃうからね。


「……! ねぇねぇお姉ちゃん」


「ん〜どうしたの〜」


結衣に呼ばれた方を見ると結衣が爪楊枝に刺した唐揚げを突き出していた。


「はい、あ〜ん!」


「あの〜結衣さん? こういうのは外ではやらないって約束なんだけど〜」


「え、知らないよ? それに今は人の目も無いんだし良いじゃん!」


まあ確かに人の目は無いけど、今までこんな事をやってこなかった身としてはハードルが高すぎる。けど………結衣が大きくなって正式に付き合い始めたらこんな事は当たり前にするんだよね? じゃあ今のうちに慣れておいた方が、良いの?


「じゃあ……一回だけだよ」


「うん! はい、あ〜ん!」


「あ〜ん」


「どおっ美味しい?」


「美味しいに決まってるじゃん、誰が作ったと思ってるのよ」


「結衣が作った!」


「勝手に人の功績を奪うなや」


「え?」

「……え?」


え、なんでそんなに驚いてるの? これ作ったの私なんだけど………


「結衣があ〜んってしたから美味しいんだよ?」


「………え?」

「え?」


なに、『あ〜ん』ってすることにそんな凄い効果あったの? 初めて知ったんだけど。ていう事は俺が好きな物を結衣に『あ〜ん』ってしてもらったらもっと美味しくなるって事?


「ふふっお姉ちゃんなんでそんなに真剣なお顔になってるの?」


「え、だって『あ〜ん』ってしたら美味しくなるんでしょ? だったらお姉ちゃんの好きな物を『あ〜ん』ってしてもらったらもっと美味しくなるってことじゃないの?」


「…………ぷっ! お、お姉ちゃん、今のウソだよ!」


「………結衣騙したの!?」


めっちゃ恥ずかしいじゃん! いや、こんなこと聞いた時なかったから一瞬本当かなって思ったけどまさか結衣が私に嘘をつくなんて思いもしてなかったもん。


「お姉ちゃんもカワイイところあるんだねぇ」


「うぅ〜絶対に許さないんだから……」


◇ ◇ ◇


「ふぅ、お腹いっぱいになったね」


「うん、やっぱりお姉ちゃんのお弁当は世界一だね!」


「ふふっ当たり前でしょ?」


あれから桜を楽しみながらお弁当とデザートを食べた。

まさか結衣が「お姉ちゃん、ほっぺたにクリームついてるよ。取ってあげる!」って言ってきてキスで取るなんて思いもしなくてすごくびっくりした。最近の若い子は…………凄いよねぇ。


「そろそろ冷えてくるし帰ろっか」


「帰りは桜のアーチがある所通って帰ろ!」


「そうね、次見れるのは来年だからしっかり目に焼き付けておかないと」


そして私たちは桜のアーチがある所へ歩いて行った。

そこは満開程ではなかったけどまだまだ花が咲いていて綺麗だった。そして私たち以外にもお花見に来ている家族やお年寄りの人が来ていた。


「お、お姉ちゃん」


「どうしたの?」


「手、繋いでもいい?」


「そんな事聞かなくても良いのに、ほら」


「ありがとう! 恋人同士みたいだね」


「………そうね」


そう言いながら握った手をブンブンと振りながらアーチの下を潜っていく。


「今度は満開の時に来ようね!」


「うん」


そうして私たちの遅めのお花見は終わった。

最後まで読んで頂きありがとうございます。


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