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サマー・HSS・マタステイシス  作者: 川上アオイ
第1章 転移・イムル村
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第5節 アンダルシア王国

アンダルシア兵視点



アンダルシア王国の王の間には、歴代の国を治めた王様の絵がいくつも飾られていて、高そうなものが色々と置かれていた。

まさに豪華絢爛(ごうかけんらん)という言葉がにあっている。


王の間には何百、何千という兵士が集まっていて今日は多くの大隊長がアンダルシア王国の国王、つまりは22代目国王デビヒロメル・クレランス・アンダルシアへの経過報告日だからだ。


国王の次に軍事で偉いのが大隊長で権力を分散させるために7人に分かれている。その7人の大隊長達が国王の前に並び、(ひざ)をついている。


「第1部隊、クーデリア・コーカ・ヘルム経過報告をせよ」

 国王が1人目の大隊長に経過報告を聞くが部族を殲滅できなかったなど、領地を拡大できなかったなど聞いて、ため息をついた。

次の大隊長の話も同じ反応を示したが,3人目の大隊長の経過報告は前の2人とは違った。


「私は小さいですが、2つの部族を殲滅しそして、その地にいた捕虜を助けました」

 他にも長々と自分が経過報告日までの間にやってきたことを第3部隊大隊長は言う。

 この長々とした話を聞いている間王の間はざわついた。


「さすが、デロル様」「あの人が大隊長になってからどれくらい部族が殺されたんだ」、などとデロルという人を褒める言葉が多かった。

「新人、お前は来たばかりだからあの男がどれ程すごい奴か、知らないから教えてやる」

 前に立っていた小隊長が後ろを振り向かずに話す。

「あいつは、メルディア・デロル・サリディア。15歳のとき、兵士になってそこから僅か3年で大隊長まで上り詰めた男だ」


 未だに国王と話しているデロルに目を向けるが、そこまですごそうな男かわからなかった。なにせ、真っ黒なドレス着て、黒いヒールを履いているのだから。

「あんな女みたいな格好をしているのに、そんなにすごいのかって感じだな」

小隊長は鼻で笑いながら俺が思っていたことを言い当てる。

「あんな身なりでもあの男はこの王国ではトップクラスの魔法を使える。そして、その魔法で何千という部族、いや人を殺してきた」

「何千…そんな恐ろしい人なんですね」

 俺はその話を聞いて(おのの)いた。


「メルディア・デロル・サリディア、其方(そなた)に頼みたいことがある」

 国王はさっきまでの2人への対応と変わり、見るからに上機嫌になっていた。


「何なりとお申し付けください」

「先日この近くの村、イムル村付近で族の者どもが現れたらしい。あそこは其方達も遠征で使ったであろう、あの地は我が国において重要な拠点でもある。そいつらを見つけて、退治して欲しい」

国王は伸びかかったヒゲを触りながら言う。

「喜んで。その族の者どもについての情報をお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか」


 国王が肘置きを人差し指で2回叩くとやせ細った大臣が書類を持ってきた。

それを国王に見せ、国王は話す。

「今のところ発見できたのは、3人で女なのだが、兵士が発見した時点ではすぐに逃げ去ったようだ。被害は特にはない。それで特徴は3人とも、部族にしては整った正装で赤い髪を肩まで伸ばした女、金の髪を背中まで伸ばした女、青の髪を背中まで伸ばした女だそうだ。大臣、もう少しまともな情報はないのか、抽象的すぎるぞ」

 呼ばれた大臣は、国王の耳元で何かをささやく。


「夜で酒を飲んでいてわかりにくかったのか…。そいつらの処分は小隊長に任せるとして、これらの情報しかないが、メルディア・デロル・サリディア頼めるか」

「ええ、お任せください。国王そいつらの首必ず取ってきますとも」

 デロルと国王の会話は終わり、次の大隊長へと話は変わっていった。


 イムル村というのは、大丈夫だろうか。族の者どもに襲われていなければいいけど。

俺は経過報告を聞き流して、見知らぬ村や故郷の心配をして時間が過ぎるのを待っていた。


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