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サマー・HSS・マタステイシス  作者: 川上アオイ
最終章 サマー・HSS・マタステイシス
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第6節 思い出

「江藤達はどうして、あたしを助けたの?」、と尾崎如月が聞いてきた。

 これは、今までの思い出だ。確か如月と仲良くなった直後だったはず。走馬灯でも見てるのかな。

「可哀想な奴だと思ったんよ」

「ドストレート」

 横にいた歌川が笑っていた。


「お前の髪は地毛なのに、くそセンコウにとやかく言われるのは腹たつじゃん」

 入学したての頃、如月は何かと目立っていた。なにせ、赤髪だったのもあるし、それを地毛だと言い張り(実際に地毛で証明書もある)教師に歯向かっていたから、交友関係が少ないうちでも、小耳に挟んでいた。

 保健室でいつも通り歌川とサボっていたら、保健室の前で騒ぎ立てる教師と如月の声がしてうるさくて、口をはさんだってだけ。


「赤髪が地毛ってアニメのキャラみたいでうらやましいなぁ」

「こっちは、迷惑してるんだけど…」

 歌川の素直なコメントに対して、如月が率直に答えた。

「それにしても、2人ってどういう関係?同中とか?」

 見た目も趣味も違ううちらが絡んでいることに疑問を持つのは当たり前のことだ。うちだって、こんなオタクとヤンキーが一緒にいたらカツアゲかと思っちまう。

「違うよ。同じクラスってのもあるけど、ねぇ?」

「ねぇ。じゃねぇだろ、ダチでいいよ」

 如月は納得のいかない様子で、ふーんと、呟いた。


「なんだよその態度は、聞きたいことあるなら聞けや」

「友達にしては、まだ距離感あるから日が浅いのかなって思って。あとどうやって仲良くなったの?」

「日は浅い、よな。どうしてだっけ」

「私に聞かれても困るって…。まぁたまたま保健室で会って話したら意気投合した感じだね」

 へぇ、と如月が呟いた。絶対何か勘違いしてる。保健室登校ではない、と伝えると納得した様子になった。

「赤髪って、親も赤髪なの?」

 歌川が如月の髪を触りながら聞いた。如月は手を叩いて答える。

「親は全然黒髪だよ。おじいちゃんが赤髪っていうか色素が薄かったらしい」

「私も染めようかな」

 歌川が自分の髪先を触りながら言った。この時はまだ青で染めていなかったから真っ黒な髪質だった。


「なんで? この流れで?」

「だって、江藤が黄色で尾崎さんが赤髪じゃん? なら青にしようかなって思ってさ」

「信号機カラーじゃねぇか」

「まず、あたし達まだ知り合って間もないのになんで、同じストラップ買う間柄みたいなノリになってるの?怖いよ」

「辛辣…」

 でもさ、と歌川が歯を見せて笑った。

「私達これから先もつるんでいきそうじゃない?」

 何故かさっき3人になったばかりなのに、いつも一緒にいるみたいな感覚だったから妙にこの言葉が突き刺さった。

「お前とは一緒に居たくないけどな」

「酷い!」


*  *  *  *  *


 目をゆっくり開けると、さっきまでの学校生活じゃなくて森が視界に広がっている。同時に顔や足に痛みがした。さっきまで夢を見ていたんだな。

 ミレットが歩く足音がする。うちに背を向けて。如月のところに行くんだろうな。

──それにしても。

何回こいつにボコボコにさればいいんだよ。如月を連れ戻すって啖呵を切ったくせに、結局またボコボコにされるとかダサすぎる。はたまた、こいつらのやってることにケチつけたら、論破されるなんてな。

──でも、そんなの関係ない


『私達これから先もつるんでいきそうじゃない?』

歌川の発言が脳内で再生された。その通りだ。うちらは、これからも一緒にいるんだ。笑顔で帰って、3人でまた一緒に学校へ行く。

「ミレット」

こっちを振り向いて驚いた表情をしていた。

「まさか起き上がるとはね」

「やっぱ負けるわけにはいかないんだよな。3人で一緒に何事もなく帰りたい」

「そうか」

ミレットは目を静かにつむってから話す。

「殺すしかないな」

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