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サマー・HSS・マタステイシス  作者: 川上アオイ
最終章 サマー・HSS・マタステイシス
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第4.5節 

 高台の頂上まで登ると猫耳をつけて、なにかの毛皮のマント、イヤリングを身につけている如月がたっていた。花火に見とれているのかずっと上を向いている。


「如月!」

 如月はゆっくりとこっちを向いて

「アミ?」

 と、呟いた。つい最近あったのに、なんで久しぶりに会ったみたいな表情してるんだよこいつは。

「お前を連れ戻しに来た」

「あたしは、これを終えるまで戻らないよ。ほっといてって言ったでしょ」

「ほっとけるわけないじゃん。何言ってんだし」


 如月は頭を乱雑にかいた。うちに対して苛立っているのが、見てとれた。

「あなた達に何をされても何を言われても、止めないよ」

 さっきとうって変わって、落ちついた表情、声色で言った。まだ、こいつカッコつけてんのかよ。

「そんなこと言っても、うちはお前を連れて帰るぜ?」

 ヘラヘラしながら言うと、こいつは眉間を上げていた。何か言い返すと思ったら、黙っていた。いつもだったら、怒ってるのにな。


 あたしは、と大きな声で言って深呼吸をした。

「あたしは、あたしがここに来た意味。生きてる意味を知らないと帰らない。そうしないと、あたしはあたしを、愛せない」

 泣いていた。たぶん心から言っているんだろう。うちは何も言えない。自分を愛せるのは自分しかいないし、うちらが愛していようと好いていようとこいつの心の問題には、寄りそうだけで解決できる気がしない。


「なんで、そこまで自分のこと認めたいんだよ」

「自分に自信がないだけ、ただそれだけ、アミみたいに自信もてるわけないじゃない。」

「あ? まさか、お前うちが自信満々の自己肯定感に満ち溢れたインスタギャルだとでも、思ってんのかよ」

 如月は無言でうなずいた。こいつ失礼なやっちゃな。人をなんだと思ってるんだ。

「うちは、そこまで自信はねぇよ。中身も外見も。うちからしたら如月の外見も中身もうらやましいんだぜ?」

「そんところ…」

 如月は顔を赤らめている。


「お前みたいに、綺麗な髪はないし元から赤髪ってのが良いなって思うわ」

 歌川がよく言う萌え属性? ってやつだと思う。

「あとな、うちはお前みたいに女の子らしくもイケメンな性格じゃない」

「どういうこと?」

 こいつ気づいてないのかよ。


「からかうと過剰に反応するところが、女らしいだろ! 男だったら惚れてると思うわ。あとたまにイケメンになるのずるいな。『おいで』とか人が辛い時に頭撫でるのは反則なんだよ!」

「ええ…」

「とにかく! お前は今のままでも素敵だし、自分を愛する方法はこれじゃない。夢を叶えたり、何かを一生懸命やったりして自分のことが好きになるんだろ」

 如月は俯いて笑っている。不気味だ。うちの説得というか言いたいことが伝わっていればいいんだけど。


「ありがとうね。この方法が間違っているとしても、ここに来て何か世界か誰かに大きな影響を与えられることのほうが、あたしにとって自信に繋がるよ」

「そんなの自信じゃねぇだろ! 間違ってるんだって」

 人を傷つけて手に入れる自信なんて、クソみたいなもんだ。なら、インスタに自己満足投稿している方がよっぽどマシだ。

「だから、来いよ?な?」

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