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サマー・HSS・マタステイシス  作者: 川上アオイ
第2章 女子高校生とマタステイシス
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終節  報復

 アミが寝ていた部屋の扉が開いた。

 あくびをしながら、アミが出てきた。私と目が合うと、不思議そうな顔をした。

「お前何してんの?」


「どうすればいいのか、わかんないんだよね」

「うちは、これから如月助けに行くけど」

 アミの肩を掴んで、声の大きさを気にしながら言う。

「もう夜だから、明日の方がいいよ、私も行くから」


「お前は来なくていい」

「なんで…私も如月助けたいよ」

「お前人のこと殴れるのかよ、バットで人の頭かち割れるのかよ」

「……」

「できるわけない。お前は優しすぎるんだよ。だから、お前はここで待ってろ」

「やだよ、連れてかないなら、叫ぶよ」


 急に、視界が歪んだ。体に力が入らない。アミに寄りかかり耳元でささやいた。

「ごめんな、自分勝手で。絶対に如月連れ戻すから待っててくれ

 クロノさんも見つける、セシルに謝っておいて」

 アミは私を床に、優しく横にしてくれた。私の前に、トーテムが一枚落ちた。

──セシルがさっきアミを眠らせたときに使ったやつか。


 アミの足を掴んで

「自分で謝りなよ。クロノさんのこと、ケンカしたことも」

 声を振り絞って言った。

「謝れるかな。うちらここに、居られる時間が少ないんだろ」

「絶対に謝らせるから。待ってなよ」

 私の意識はそこで途切れた。


*  *  *  *  *  *


 錆臭(さびくさ)さと湿った地面の匂いがする。中は自然の光が差しこまない。

 松明(たいまつ)で壁にそって設置された牢屋(ろうや)を照らしながら歩く。牢屋の中には、骸骨や一人で壁に頭を打ちつけて、独り言を言っている性別がわからない人物がいる。


「どこにいるんだ?」

 マルクが両手を頭にまわして、退屈そうに言った。

「もうすぐのはずだ。あと服装を整えておけ」

 イムル村の民族衣装を着崩しているのを、注意すると、マルクは仕方なさそうに、ため息をついて、整えた。


 目的の牢屋に着いて、モザルが鍵を取り出した。彼は背が高く、天井をかがみながら牢屋を開錠(かいじょう)した。

「来ましたか」


「お久しぶりです。デロル様」


 デロル様は、下着以外()ぎ取られていて無精(ぶしょう)ひげを生やしている。

 以前の彼とは、姿は違えど立ち振る舞いや口調からして、精神には異常がなさそうで安心した。

「デロル様!お久しぶりです!」

 マルクが、デロル様の手錠を鍵を差しこむ。錆びているのか、取るのに手こずっている。

 要領が悪いマルクに対しても、笑顔で「元気でしたか?」、と答えた。

 良い人だ。この人についていこう。


「ムルラックくん。あの村に報復しましたか?」

「はい。あの村にコネ族がたまたま来たので、そこで村に火を放ちました。そうしたら、あいつら、コネ族がやったと勘違いして」

 笑いをこらえながら、説明しているとデロル様の手錠が外れた。

 手首を動かしながら、デロル様は一安心したのかため息をついて

「ご苦労様です。あの村は完全に部族と手を組んでいるので、後ほど壊滅させるとしましょう。まずは」

「江藤アミ、ですよね」

「ええ。彼女を殺します」、と笑った。

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