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サマー・HSS・マタステイシス  作者: 川上アオイ
第2章 女子高校生とマタステイシス
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第25節 ブス

「クソ! クソ! クソ! クソ!」


 アミは、ベッドを何度も殴りながら叫んでいた。その叫び声は、廊下にまで鳴り(ひび)いている。


「アミさん大丈夫ですか?」

「ケガはそこまでだけど。如月(きさら)が連れ去れたことが一番きいてるっぽい」

「如月さんが連れ去られたんですか。でも、どうして…」

「私にもわからない」

「如月さんを連れ去ったのもわかりませんが、自分達の身元を教えていたんですよ」

「え? どこなの?」

「コネ族ですけど、本当かわかりませんよ」

「でも、手がかりがあるだけましだよ」


「そういえば、お父さんは…」

 私は答えるのに、一瞬戸惑(とまど)った。

「クロノさんは…私達を逃がすために部族と戦って…」

「そんな…」

 セシルは手を口元に当てて、絶句(ぜっく)していた。


「戻ってくるよ。約束したから」

 私達を逃がすために、クロノさんの安否が確認できないのに、この発言はどうかと思ったけど、これ以外私が言えることはないと思った。

「ですよね。戻って来ますよね」

 周囲の物騒(ものさわ)がしい声、音がずっと聞えるくらい、静かになった。


「お前! 落ち着けよ!」

 ナミタの叫び声が、アミがいる部屋から聞こえてきた。

 私とセシルは、走っていくと、アミをナミタが引っ張って抑えている。


「どうしたの!」

「離せよ!」

「こいつが、あの赤髪の女連れ戻すって」

 身体中に包帯と、()れて色が変わった肌を見て、痛々しいという感想しかでなかった。


「アミ、落ち着いて。そのケガ治してからでも」

「遅くないってか? あ?」

「それは…」

 セシルは、アミの腕を掴んだ。

「今は、ケガを治しましょう。王国が助けてくれます」

「それじゃあ、遅いだろうが。今すぐにでも」

 アミは気を失うみたいに、セシルにもたれかかった。


「アミ!」

 セシルは、片手で前髪をかきあげながら

「眠らせてるだけです。少し皆さん休みましょう。自分も少し1人になりたいです」

 辛そうな顔で言った。

「うん、少し休もう」




「これからどうするの」

 アミをベッドに横にして、布団をかけて部屋に出ると、ナミタが声をかけてきた。


「どうなるのかな」

「あんたも、こいつと一緒に助けに行くの?」

「助けにいかないかな。王国に助けてもらう」

「それでいいの?」

「助けにいきたいに、決まってるよ」

「助けにいけばいいじゃない!」

 ナミタが(むな)ぐらを掴みかかってきた。


「お前、クレアのこと助けたんだろ? なら、あいつも助けなよ」

「私はただ説得しただけだよ。デロルを倒して最終的な幕引きしたのは、アミ」

「あいつと一緒に、説得でもいいから行けばいいじゃん」


 ナミタを掴んで、壁に押しつけながら

「言葉がほとんど伝わらない、要求も知らない。私は何に役立つの? ねぇ」

 怒鳴ってしまった。

 間があいて、私は後悔していると、ナミタは口を震わせている。

 ナミタは、私を壁に押しつけた。


「人に八つ当たりすんな! ブス! 友達なんだから、助けてあげなさいよ!」

「ブスじゃない!今のナミタよりまし!」

 ナミタを壁に押しつける。ナミタに押されて、壁に押しつけられる。

「うっさい、ブス! 性格もブス!」

 壁に押しつけようとしたら、壁に押し返された。

「ええ…」

「そこで一生悩んでなさいよ。ケガが治ってないのに行こうとするアイツよりダサいよ、お前」

 ナミタの後ろ姿を眺めて、私はこの場に座りこんだ。


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