第23節 フラグ
ナミタはもう吐くものがなくなったのか、ただ空気を吸って吐いてと過呼吸気味に、なっている。
「ナミタ、辛いだろうけど動ける? みんなと合流しよう」
自分の口を手で拭って「行ける」、と弱々しくも言ってくれた。
私達は、村をゆっくり歩いた。肝心なときに走れなくなったら大変だと、判断したのとナミタの体力を考えて、この行動をとることを考えた。
「ここどこだよ」
「たぶん、ここ市場だと思う。あそこに魚屋のおじちゃんの看板が落ちてる」
ナミタが指さした場所には、完全には燃えていないけど、何か書かれた看板があった。
「ここが市場なの?」
燃えて、姿が変わった市場と記憶上の市場を、照らし合わせると全然違っていて戸惑った。
「すぐ近くに、集会所があると思う。みんなそこにいるはず」
目には、涙が今にも零れそうなほどたまっていた。ナミタは涙をこらえながら言ったのが、私には理解できた。
「 」
前から男の声が聞こえた!
身を伏せる。足音と声の音がどんどん近づいてくる。
私は荒くなる息の音を手で、抑える。
「 !」
ズタボロのマントを着た男達が、過ぎ去った。
「あいつらが犯人…?」
「わかんねぇな。てか、さっきの奴もマントしてたけど、流行りなのか?」
「出身がわかるのを防ぐためにああやってマントかぶってるの」
ナミタは立ち上がりながら淡々と言った。
あれじゃあ人との違いなんてわからない、と内心思った。
「周り気をつけて急ごう」
また歩き出して、十字路になっている道を真っ直ぐ進む。
右には、さっきの部族が歩いていた。左を向くと、マントをかぶった人が目の前に立っていた。
「「え?」」
私とマントの人は、だらしない声が出てた。
アミが、マントの人の股関を蹴りあげる。
「走るぞ!」
アミの後ろをついて走る。
「待て!」
部族の人が大声で叫ぶと、何人か後ろで倒れている部族の人の周りに集まった。
3人私達の後をついて来ている。
徐々に、距離がつまってきている。
「くそ! うちが、こいつら潰すから先行け!」
アミは立ち止まった。
「アミ!」
「こいつらくらい余裕だわ。また後で会おうぜ」
「わかった。誰か呼んでくるから、それまで待っててね」
ナミタを連れて、私達は走った。
「君たち!」
前に、市場で会ったことがあるお兄さんが立ってる。
「あっちで、アミが。私の友達が部族と戦ってる」
「なんだって? やっぱりアイツら、人を浚うために来たんじゃねぇかよ!」
お兄さんは、アミがいた場所に走った。彼は一旦止まって、真っ直ぐ行けば集会所だ、と言って再び走りだした。
言われたとおり真っ直ぐ行くと、武装した大人たちが立っていた。
「大丈夫か!」
「大丈夫です、あっちで友達が部族と戦っています」
「わかった。とりあえず、中で休みなさい」
室内に案内にされると、中には村の人達が密になって、休んでいた。
──如月とセシル達はどこにいるんだろうか。
「セシル達どこにいるかわかりますか?」
近くにいたおばあちゃんに話しかける。
「あっちの方にいるよぉ」
おばあちゃんに言われた、おおよその場所に行くとセシル達がいた。パッと見た感じ家の子ども達はいる。
「セシル!」
「優花さん! ナミタ!」
私と会うと、セシルは私達をギュッと、抱きしめた。
「良かった、ほんと良かった」
耳元で泣きそうな声で言っていた。
「なにがあったの?」
「部族の人が、急に来訪してきました。最初は自分含めて村長代理の人で、話聞いてたら、村に火がつけられまして…」
「じゃあ、部族がやったの?」
「その時に、私と話した代表の人は否定していましたけど、何がなんだかわからないです」
「その話したって人はどこに行るの? その人に聞けば」
「その人も、こんな事態になったからか出て行きました。でも、村人の避難誘導を手伝ってくれました」
──何が狙いなの。もしかして、別の人がやったの?
「そういえば、如月見当たらないけど」
「え」
セシルは周りを見ている。
様子から見て、如月はさっきまでいたんだろう。
「如月連れ戻してくるよ」
アイツ何やってんだよ、と内心毒を吐く。
「優花さん!」
腕を掴まれ、振り返る。セシルの目力で一瞬怖気づく。
「ど、どうしたの?」
「い、いえ。何故か今止めないと離れていきそうな気がしたので」
「なにそれ。部族の人も実は良い人なんでしょ?すぐ戻るよ」
セシルの手を掴んで微笑む。すると、セシルは私の手を握り返した。
「3人で、絶対に戻ってきてくださいね」
「うん。絶対!戻ったら、いっぱいご飯食べよう」
セシルの手を離して、集会所から出る。
今は、アミと会って如月を回収すること考えないと。
「よくよく考えたら」
走りながら、さっきの発言を思い返す。
──死亡フラグみたいだな。




