第14節 仲直りと野菜スープ
授業、教室の撤収も終わって、アミと合流していつもの異世界転移組3人になる。家に戻る間私はアミに1つ聞きたいことがあった。
「セシルと話した?」
セシルと話したと思って、聞いた。
「…いや」
さすがに、三日も経っているのだから聞いていると思いきや聞いてなくて、驚いたもんだ。
「は? なんで」
「声かけにくくてさ」
アミは頭をかきながら目を逸らして言った。
「今すぐ声かけてきなよ」
アミに強い口調で、圧をかける。
「はい… すみません」
アミは頭を下げて謝りだした。
「すごい。歌川がアミのことしかってる」
横で私達のやりとりを見ていた如月が驚いた表情をしていた。
あまりアミのことをしかったことはないから、私自身も驚いている。普段なら私もふざけるか笑って済ませているけど、今回は訳が違う。
「だってさ、セシルもずっと怒っているの悪いけど。怒らせたアミが声かけて、謝んないとダメでしょ」
「確かにね」
「わかりましたよー、謝りますって」
家に着き、玄関を開けると広間が騒がしくなっていた。
また、誰かいなくなったのかと思いきや明るい騒ぎ方だった。
広間に入ると
「おかえり! 君たちに朗報がある」
クロノさんが企んだような笑い方をしていた。
「なんですか、今回こそ出てけって言うんですか」
「そんなわけないでしょう」
クロノさんは、咳払いして
「君たちは、王国に招待された」
「え、ほんとですか!」
「本当さ」
如月は「でも、なんでですか」、と聞いた。クロノさんは、怪しそうに笑う。
「君たちの青空教室の活動が王様の目についたんだ」
「それでも、早すぎませんか」
「兵士の人が、話していたのと村のみんなの評判が良かったからね」
「そんな単純な」
如月は怪訝そうな顔つきをした。
「まぁ、表向き君たちの活動を褒めたいってのだろうけど、デロルの件の穴埋めだろうね」
「だと思いましたー」、と如月がため息をついた。
「王国には、誰がいけるん?」
アミが手を挙げてきいた。
「もちろん。如月くん、アミくん、歌川くんだよ」
「えー、あたしはパスします」
如月は、手を振って私達から離れようとしていた。
「なんで?!」
「めんどくさいし、王国に行くまでの間部族、熊とかに、襲われるかもしれないんでしょ。なら、行きたくない」
自分勝手だなー、と文句たれると、クロノさんが真剣な顔つきで
「如月くんの言うとおりだね。別にこれは強制じゃないし、最悪僕が行けばいいしね」
私とアミは互いに顔を見合って、うなずいた。
「私とアミは行きます!」
「おうおう!」
「君たちは来ると思ったよ。じゃあ食事にしようっか」
みんなが、広間で席についている時に、アミをつかまえて話した。
「セシルと仲直りしなよ」
「わかってるって」
アミは私の手を振りほどいて、席についた。
ほんとにわかっているのかな、と内心疑いながら席についた。
食事中もセシルとアミは話そう、としていなかった、
「アミ」
小声で呼びかける、とうなずいた。
「せ、セシル」
アミの声は震えていた。
「なんですか」
「その、その、美味しいな。ご飯」
「はい」
アミの足を蹴る。
「セシルちょっといい?」
アミはかしこまった様子で声をかけた。
「なんですか」
「これ作った人、天才だな」
アミはスプーンで、野菜スープをすくいあげて、評論家みたいにうなずいている。
「ほんとなんなんですか…」
セシルは黙々と、ご飯をまた食べ始めた。
如月がセシルの耳元で、何かささやいている。セシルはうなづいて
「アミさん…」
と、小さな声で言った。
──まさか、セシルから謝ろうとしてんの!?
「アミさん、その。これ作った人お父さんですよ、褒めてあげてください」
私はテーブルをぶっ叩きそうになった。
「アミ、さっさと言ってよ」、と耳元で言った。
「いや、料理が美味しくて」
「あんたが謝るべきでしょ」
セシルの方を見ると、如月とセシルは私達と同じように、反省会をしている。
「セシルも言いだしにくそうなんだから、アミから言ってあげなきゃ」
「いや、言うけどさ。まだ時じゃないって」
「キメ顔で言うな、さっさと謝れ」
アミの足を蹴る。
「いった!」
咳払いの音がした。
音の方を見ると、クロノさんがこっちを見ている。
黙々と、ご飯を食べて食器を片づけた。
如月が皿洗いを手伝いながら
「そっちもなかなか手強そうね」
ため息交じりに言った。
「そうなんだよー。まぁ、ガチケンカした時ほど謝りにくいのはわかるけどさ」
「セシルもあまりケンカしたことないから、謝るのが恥ずかしいんだって」
「かわいいかよ。萌えじゃん」
「まぁ、ああやって話せてるから仲直りは時間が解決してくれそうよね」
如月の言うとおりだと思った。
──仲直りするのは、いつになることやら…。




