第1節 目的
歌川視点
「アミ!如月!」
イムル村は変わってしまった。
皆で買い物に行った市場は、荒れ果てて民家や食事処は炎が燃え移っている。
セシルと一緒に、歩いた山への道も炎、クレアくんと出会った河にも炎。村の全てが炎に包まれてしまったのかもしれない。
アミと如月の居場所がわからない。私は無我夢中で走るしかなかった。3年近く一緒に過ごした友人が、死ぬかもしれない。馴染みのないこの世界で。
「いたぞ!」
部族の男が後ろから走ってきている。
──やばい。
ここがどこかもわからないけど、必死に逃げる。
普段通りの村だったら逃げる場所はわかる。だけど、今は違う。村が大きく変わってしまったからだ。
「捕まえた!」
私の腕を強く掴み、部族の男は笑った。
「離して」
「俺らは別にお前らを殺すつもりはない! 落ち着け」
「だとしても」
「離してやれ」
私が「この村を燃やすのは許せない」、と言おうとしたらどこかからか、声が聞こえた。
男は私の腕を掴むのをやめて、前を歩き声の主かもしれないマントを羽織った女性の隣ついた。
「アミ!」
女の人はアミを片手に引きづっていた。アミは傷だらけで、殴られたあとが特に酷かった。
女の人は、アミを私に向かって投げた。
「その子を手当してやってやれ」
「目的はなに?村を燃やすことが目的なの?」
「目的か、この世界を治すことかな」
──治すってどういうこと。
「おい、待てよ」
アミが起き上がろうとしながら、声を出す。
「無理しないで」
アミの体を支える。アミの体は震えている。起き上がることすら辛いのかもしれない。
「またいつか会おう」
女の人と男は一緒にどこかに歩き始めた。炎の熱気で姿がわからなくなってくる。
──なんで、こんなことになったの。
こうなる前までの平穏な日常を思い出す。




