第12節 クレア2
歌川視点
猫は森の中に入り、私達は猫の後を歩く。森の中は火事の灯りがほとんど届いていなかった。
「どこまで歩かせるんだこの猫」
「クレアくんはこんなところにいるのかな」
「もしいなかったらこの猫潰す」
アミは両手の関節をポキポキ鳴らす。
物騒なこというな、猫のこと信じた私達が悪い、と思ったけど今は猫の手も借りたいので頼らざるをえない。
猫は急に暗闇の中を走り出した。
「ちょっとどこ行くの」
2人で猫の後を追いかける。
前の草木から、音が聞こえる。その音に近づこうとゆっくり歩く。
音は歩くと確かに聞こえてきて、それは誰かが泣きじゃくる声だった。
草木を手で払って、進む。
「ニャー」、と猫は声の主の元に寄り添い鳴く。
「やっと見つけたぞ、クレア」
アミがため息交じりに言う。
私はクレアくんの背中に抱きつき、安心して泣きそうなのをこらえて声をかける。
「ほんと心配したんだから」
クレアくんは私を強引に引きはがして立つ。
私は動揺して、その場で尻餅をついたままクレアくんの泣いているのに怒っているような表情を見つめる。
クレアくんは驚いた表情をして、走り去ろうとした。
「おい、待てよ。お前のこと必死に探してたんだぞ」
アミは素早くクレアくんの腕を掴んだ。
「離して!」
クレアくんは身体をめいいっぱい動かしている。でも、アミは簡単そうに腕を掴み続ける。
「アミ、離してあげて。もう逃げないよね」
立ち上がって、クレアくんに近寄る。
「わかったよ」
アミが急に手を離した瞬間クレアくんは後ろに倒れこんでしまった。
「大丈夫?」
「わり、急すぎたな」
「ほんとだよ、もう」
クレアくんの前に座り、もう1度「大丈夫?」と声をかける。クレアくんは黙ったままで顔をヒザの中に入れうずくまっていた。
「ごめんな、急に、手を、離して…」
アミは何かを見ながら緊張したみたいに張りつめた声になっていた。
アミはそれを拾い、クレアくんの胸ぐらを掴んだ。
「ちょっとなにしてんの」
アミはクレアくんの胸ぐらを掴むのをやめた。クレアくんの表情はそのとき見えた。泣きじゃくった後みたいで目の周りが赤く腫れあがっていた。
「お前だろ、学校に火をつけたの」




