公立共学女子高生:白石カレン
小説書いたの初めてです。カップラーメンが出来上がるまでに読めるかも。
「7月1日、本日の最高気温は30度を軽く超えるでしょう」
天気予報士がさわやかな声でそういった。今年の夏は天気予報し曰くかなり暑くなるらしい。朝から少し憂鬱だ。
学校は山の上にあり着く頃には汗だくであった。
「涼し~!」
教室に入ると一転、冷気が体を包んだ。どうやら先に来た誰かがクーラーを付けてくれていたらしい。
しばらくしてクラスメイトがぞろぞろと教室に到着し始めた。
「カレンおはよー今日も早いねー」
そう言ってきたのは親友のミカだ。
「ミカが遅すぎるんだよ~」
朝の会話はいつもこんなものだ。
ふと気付くと少し離れた席にいる肥後君を見ていた。
「そんなに肥後君が気になる~~?」
と、目を細めニッっと笑いからかうように言ってきた。
「そ、そんなことないよ!」
否定はするがミカは既に私が彼に好意を持っていることは知っているし、そのことを私は知っている。
肥後君は眉目秀麗文武両道の完璧超人だ。故に彼の席の周りにはいつも人が彼を囲っている。彼は今日も少し困った顔で彼らに話を合わせている。人気者というのも大変だ。私も彼に話しかけたいがそんな勇気はない。朝のこの時だけ、囲っている彼らになれたら何度思ったろう。
授業はとても退屈だ。電球頭で枯れ木のような教師の古文など念仏と相異ない。肥後君の後頭部を見続ける方がいくらか有意義だ。肥後君は念仏を真剣に聞きながらノートを取っている。かたや私はその後ろ姿をノートに落書きするのだ。
夏休み彼を誘って海にでもいけたらなあ。そんな叶えるができない妄想を思い描きながら机に突っ伏し眠りに落ちた。
「・・・様・・・です」
知らない人の声が聞こえる。私はふと目を覚ました。
目の前にいたのはまるまるとしたシルエット、テカテカの顔に細い目をした男。数秒経ってようやく気付いた。名前は・・・
「肥後様、後はごゆっくりご堪能ください」そう言って黒い服を着た人物は去っていった。何故私の目の前に憧れの肥後君が!?それよりさっきの黒服は誰??
手を前に出そうとしたが動かない。よく見れば私と肥後の前に透明なガラスがあった。そして私は身動き一つできない場所の中で直立に立たされていた。
ガラスの扉を開け肥後君は私の手を握りそこから出してくれた。
出た場所は、少し暗く紫や青の光が床や壁を走っていた。
事態は呑み込めないが肥後君がこんな間近にいて、しかも手を握ってくれるなんて夢のようだ。
肥後君はタオルで額の汗を拭き、黄色い歯を見せながら笑顔で言った。
「僕の事好きぃ?」
私はやはり夢なんじゃないかと思った。ほとんど会話もしたことがない憧れの人にいきなり告白されたのだ。
「は、はい!」
声は裏返ったが返事をすることができた。私にしては上出来だ。
「じゃあ、さっそく一緒に楽しいことしようね」
一体どんなことをするのか胸が高鳴った。連れられたのはいつもの教室だった。
「そこに立って」
言われるがまま教室の真ん中に立ち肥後君を見た。肥後君は眼鏡の奥を光らせたように見えた。
パシャ!パシャ!
肥後君は私の写真を撮り始めた。ポーズも変えながらたくさんの写真を撮ってもらった。
「次はどうすればいい?」
尋ねると肥後君は舌なめずりをしながら
「上全部脱いじゃおうか」
私は驚き顔を赤くした。
「恥ずかしがらなくていいんだよ。僕が脱がせてあげるね」
肥後君は鼻息を荒くしながら私の制服を脱がした。
すると自分の腕に見たことのないものが映った。[AW-17]。これは一体なんだろう、そう思ったとき頭に大きな衝撃が走った。
見えてきたのはたくさんの男の人達との映像だ。細身に坊主に外国人、あらゆる人と私は・・・。吐き気がした。が、すぐにそれは気のせいだとなぜかわかった。
「大丈夫ぅ?」
肥後君は心配して声をかけてくれたようだが、私はそれどころではなかった。
「ここはどこ!?」
私がそう言うと、肥後君は目を丸くし近くにあったボタンを押した。するとさっきの黒服が現れ、私を教室から連れ出した。
「離して!」
そう言うも私は再びあの身動きのできない棺桶のような場所入れられた。すると視界の端にあるテレビに私の顔が映った。
「当社のアンドロイドは人間としてこれまで生きてきた記憶を持っています。さらにオプションでお客様自身をアンドロイドの記憶に登場させることもできます!この機会に是非一度お試しください!」
思考が追い付かない...段々眠く...
「7月1日、本日の最高気温は30度を軽く超えるでしょう」